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第99回:3DCG用語の不思議(モデル編その1)

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第99回:3DCG用語の不思議(モデル編その1)

3DCG業界へようこそ!この春に3DCG関係に就職された新人デザイナの皆様、初任給は何に使いましたか?私はマッサージチェアを実家向けに買おうとしたところ、財布にお金が足りなくて親から借りるという訳のわからない使い方となりました…。

Mayaの研修を通して日々色々な疑問が湧いてきている頃でしょうか?特に、謎の多い専門用語なんかは、意味不明なことも多いのではないでしょうか?

3DCG用語の不思議について紹介するコラムは人気があるようですので、今回はモデル編として用語の使い分けを見ていきましょう。

モデルに関わる用語を改めてまとめてみると、いつにも増して理不尽感のある用語が揃いました!
思ったより話が長くなりそうなので、今回は一回目です。

選択しているモノ、それは「オブジェクト」?それとも「ノード」?

Mayaに慣れてくると、詳しい人がオブジェクトのことを「ノード」と呼んでいるの見かけることがありませんか? そもそも「オブジェクト」とは何なのか?

Mayaのドキュメントを見ても具体的に何が「オブジェクト」なのかは書かれていないようです。
「オブジェクト」と「ノード」は何が違うのか…?

Mayaでの「ノード」とは、アウトライナやノードエディタに表示されている物すべて「ノード」です。選択してアトリビュートエディタに表示されれば、それは「ノード」です。マテリアルもプリミティブの生成履歴も、メッシュもノードです。「アトリビュートが集まっていて」「なにか処理を行う」ものがノードです。

では、何を持って「オブジェクト」と呼んだり呼ばなかったりするかですが、おそらく「ビューに見えているノード」を「オブジェクト」と呼んでいます。

Mayaにはビューに見えているノードの正確な呼び方があります。Mayaでは「DAGノード」と呼びます。
DAGノードというのは「親子関係を作れる」ノードのことです。親子関係を作れるということは座標を持っていますので、ビューに表示されます。なのでこれが「オブジェクト」に当たる気がします。

アウトライナに表示されるものがオブジェクトのように思えますが、そうとは限りません。例えばセット(下の画像でのset1)はアウトライナに表示されますが、ビューでカタチとして見えないので、オブジェクトとは呼ばずにノードと呼びます。pSphere1やpCube1は見えているのでオブジェクトと呼びますね…。

セット

「オブジェクト」とは、ノードの中でも「物質的なもの」がオブジェクトということで、よいのではないでしょうか。オブジェクトもノードには違いないので、通はオブジェクトのことを「ノード」と呼ぶこともありますので、注意が必要です。

第87回のコラムで「形状・シェイプ・ジオメトリ」などを取り上げました。あれらも「オブジェクト」と呼べます。ジョイントやロケータのような、見た目だけの物も一応オブジェクトと呼びます。見えているからですね。

「プリミティブのオブジェクトを選択して」
と言われたら、ビューで選択すればまちがいなし!

ノードエディタで選択しようとすると、プリミティブを生成するノードなどの履歴も表示されるため、オブジェクトではないものを選択する可能性があります。ノードエディタでは、どのノードがビューで見えているかはわからないため、選択してみて確認します。繰り返していると「そっちじゃなくて、オブジェクトを選択して~」と言われることもしばしば…。

ノードエディタで選択しようとすると、プリミティブを生成するノードなどの履歴も表示される

「オブジェクト」をウェブで検索すると、Blenderでは位置・回転・大きさを持った部分とシェイプの部分を組み合わせて「オブジェクト」と呼ぶようで。MayaでいえばTransformとシェイプとなります。同じノリで大丈夫ですね。

ちなみに、Mayaではオブジェクトを選択しても、実際にはTransform(座標)ノードだけを選択することになるので、実はオブジェクトを選択しているのか微妙です。ビューの見た目にはシェイプがハイライト表示されますが。

例えばアウトライナの「Display > Shapes」をオンにすると、オブジェクトのTransformとシェイプが階層で表示されるようになります。ビューでオブジェクトを選択すると、Transformノードのみが選択されます。

アウトライナの「Display > Shapes」をオンにする

あと、MELコマンドにあるobjExistsは、オブジェクトが存在するかどうかを確認するコマンドです。でもオブジェクトだけでなく、見た目で確認できないノードにも効くので、それはnodeExistsでは?と納得行かない気もしますが…。(内部的には検索対象が「ノード」なので、オブジェクトには限定してないようです。ならなぜこの名前??)

lambert1

こんなふうに、lambert1は存在するとして値が返ってきます。確かに存在しますが、それはオブジェクトと呼んでいいのかどうか…。

オブジェクトとモデルは何が違う!?

これはほとんど同じですが、確かに使い分けがあります。メッシュはモデルと呼びますが、ジョイントはモデルと呼ばないような…。この違いはなんでしょうか?

ビューポートは別の呼ばれ方があります。「モデルエディタ」や「モデルパネル」とも呼びます。であれば表示されるものはすべてモデル?と思えてきます。でもそこに表示されるジョイントやロケータのように、「編集できない形状」はモデルと言わないような…。

モデリングしているとき、ツールはどれも対象のオブジェクトのことを「モデル」と呼ぶことが多いので、たしかに編集できる形状が「モデル」かもしれません。「モデル」という言葉の範囲が、Mayaのドキュメントに書かれていないようなので、やはりこれも曖昧な用語となっています。

あと、「モデル」と言うと、オブジェクトよりももっと「データ寄りの呼称」に聞こえます。

オブジェクト

セカンドオピニオンとしてChatGPTに聞くと、3D空間上にある個別要素は「オブジェクト」、3Dオブジェクトの集合は「モデル」と判断しているようです。例えば一つのジョイントはオブジェクト、集まるとオブジェクト。小物はオブジェクト、集まってキャラクタのモデルになれば、そう、モデル。というみなし方です。

こうなると…「モデル」も「オブジェクト」も大体同じでいいような気もしてきました。編集できるのは特別にモデルと呼びがち!!
キャラクタモデルのように、集まって使える状態になっているものをモデルと呼ぶこともある!という感じでしょうか。

コンポーネントとは?

日本語で言えば「構成要素」。でもMayaでは「構成要素」と呼ぶことはなく「コンポーネント」と呼びます。頂点・エッジ・フェースなど、形状を作るための細かい要素をひっくるめた言い方です。

コンポーネント

「コンポーネントを移動して形を整える」と言われれば、頂点・エッジ・フェースのどれを動かしてもいいから形を整える、ということになります。

逆に具体的なコンポーネントの種類を指定するなら、頂点を動かすなどの指定が必要ですね。

メッシュとポリゴンは違う?

メッシュの日本語読みはないですね…メッシュはメッシュです。

ポリゴンは日本語にすると「多角形」ですが、これも多角形と呼ぶことはないです。3DCGではポリゴンはポリゴンと呼びます。

で、そのポリゴンは何かというと「多角形の面」のことです。つまりフェース、面のことです。

ポリゴン(メッシュのフェース)

ゲームで使うデータはポリゴンですので、フェースといえばポリゴンのことになります。逆にポリゴンといえばフェースということになります。

本来「フェース」というと、NURBSサーフェスなど別の形状のフェースかもしれませんので、ポリゴンフェースと言って明文化することもあります。

ポリゴンが集まった形状をメッシュと呼びます。オブジェクトという意味でポリゴンを呼ぶときは「メッシュ」と呼びます。

メッシュ

でも「メッシュ」の意味で「ポリゴン」と呼ぶこともよくあります…。
「ポリゴンを選択する」ということは正確にはポリゴン=フェースを選択することになるのですが、話の流れ的にメッシュを選択するという意味であることも多いです。つまり「ポリゴンオブジェクト」という意味でポリゴンと呼んでいるわけです。この辺はセンスで乗り切ってください!

まとめ

今回はオブジェクトやモデルといった、Mayaを触り始めて始めに引っかかる謎用語について見てみました。なぜかこの用語は日本語でも英語でも呼ぶけど、これは英語でしか呼ばない、というような妙な慣習があります。慣習なのでそのうち慣れていきますが、こうして見てみると面白いものですね。

次回は更に細かく、頂点や法線の違いや呼び方を見ていきます。
「頂点」と書いても「バーテックス」と書くことはあまりない、けど話し言葉では「バーテックス」ということがよくあるなど、更に謎な慣習のオンパレードですので、お楽しみに。(ましてやVertexだからといって、ヴァーテクスと書いてあるのは見たことがないです)

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