トレンド&テクノロジー / WHY 3DCG? 〜3DCGが支えるコンテンツ制作の現場〜
ゲーム業界編
CASE02:QualiArts
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3DCGにより実現した"圧倒的な可愛さ"と生産性
家庭用ゲームが1990年代に2DCGから3DCGに移行したのに対して、モバイルゲームは2010年代、スマートフォンの普及に伴い、わずか数年での移行を余儀なくされた。
サイバーエージェントグループの一員として、2016年10月に創業したQualiArtsも、そうした激動をくぐり抜けてきた企業の一つだ。VRモード搭載の美少女RPG『オルタナティブガールズ』の開発で、モーション班のリーダーをつとめる小沼千紘氏に開発体制ならびに3DCGを用いるメリットについて伺った。
『オルタナティブガールズ』PV第3弾 ©CyberAgent, Inc.
フィーチャーフォン向けで急速に成長したモバイルゲーム。QualiArtsの前身となった、サイバーエージェント旧Amebaゲーム事業本部もその一つだ。当時はFLASHを用いた2Dゲームを中心に開発を行っていたが、スマートフォンの性能向上に伴い、2015年から3DCGの技術を本格的に導入する開発体制をつくりあげた。社外からベテラン社員を迎えて、セクションリーダーに据えつつ、社内でも技術の蓄積が始められた。
ストーリーパートのゲーム画面。キャラクターひとりひとりの性格に合わせ表情やしぐさの動きがつけられている。表情は手付けで、身体の動きはモーションキャプチャデータからアニメーションが制作されている。
©CyberAgent,Inc. ©QualiArts,Inc.
「オルタナティブガールズ」の3DCGチームはモデル・モーション・エフェクトチームに分かれており、他にテクニカルアーティスト担当の社員がいる。ノウハウの蓄積を目的に、内製主体で開発が進められている点が特徴だ。小沼氏は「3DCGの技術は積み上げが必要ですが、フェイシャルだけ、モーションだけといった具合に分野を絞れば、数年でスキルが向上します。技術力が蓄積されれば、2DCGよりも生産性が高くなります」と利点を語った。
「オルタナティブガールズ」の特徴はフルボイスの美少女が多数登場する学園RPGだ。女の子の衣装を自分好みに選択したり、迫力ある3Dコマンドバトルも楽しめる。モーションはほぼすべての動きがモーションキャプチャで収録されている。小沼氏は「女の子たちの個性を表現するうえで、表情、手遣い、足運びといった女性らしい繊細な動きが重要になります。この点で2Dよりも3DCGは有利で、さらに手付けよりもモーションキャプチャが有効です」という。
イベント期間限定で公開された、ミュージカルを意識した新たなVR表現
©CyberAgent,Inc. ©QualiArts,Inc.
業界標準のAutodesk製品。モーションキャプチャの収録にもMotionBuilderとMayaを用いたパイプラインが構築されている。「先行事例がたくさんあり、短期でノウハウを習得できました。MELでカスタマイズできる点も助かっています」(小沼氏)。モバイルゲームの中でもいち早くVR対応を掲げ、アップデートでミュージカル要素を取り入れた新たなVR表現にも挑戦した。「スマホVRといえば『オルタナティブガールズ』と言われるようになりたいですね」と語る小沼氏。新たな表現にむけた挑戦が続いている。
QualiArts
https://qualiarts.jp/- Q1会社概要について教えてください(業務内容や強み特徴など)
- スマートフォンゲームの企画・開発・運営を行っています。モノづくりの組織として作る人、使う人の感覚を大切にしサービス開発をしています。
- Q2メインで使用しているオートデスクの3DCGツールについて、また同社の3DCGソフトウェアを使用し続ける理由について教えてください。
- Mayaを使用しています。高性能でカスタマイズしやすく幅広いシェアがあるので使用させていただいています。
- Q3今後の目標について教えてください。
- 市場を驚かす、新しいユーザー体験ができるサービスをリリースしたいと思います。
QualiArts制作実績 『オルタナティブガールズ』
©CyberAgent,Inc. ©QualiArts,Inc.