VFXの話をしよう
浅野 秀二
1959年8月30日新潟県生まれ。立教大学卒業後、1983年に国内ではまだ希少な存在であったCG制作会社トーヨーリンクス(現イマジカCS部)に入社しCG制作に携わるようになる。博覧会やアトラクション、CMのCGの制作を経て、97年以降、映画のVFXを手がけ始める。VFXプロデューサー/スーパーバイザーとしての主な作品としては、『ドラゴンヘッド』(02/飯田譲治監督)、『ジョゼと虎と魚たち』(02/犬童一心監督)、『アカルイミライ』(03/黒沢清監督)、『交渉人 真下正義』(05/本広克行監督)、『SHINOBI』(05/下山天監督)、『どろろ』(07/塩田明彦監督)、『SAD VACATION』(07/青山真治監督)、『僕の彼女はサイボーグ』(08/郭在容監督)、『カムイ外伝』(09/崔洋一監督)、『東京島』(10/篠原誠監督)などがある。
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第7回:生き抜け!フィルム
今回の記事は今から2年前に私が「カムイ外伝」という映画のVFX制作に携わった頃に書いたものだ。今回、改めて読み返してみたら、たった2年しか経っていないのに、ずいぶんと古くさい感じがした。本稿は変遷するメディア媒体をテーマにした記事なのだが、...
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第6回:「アラビアのロレンス」にみる視覚効果とは
最近、一部の東宝系の映画館でやっている「午前十時の映画祭」という企画が好評らしい。毎朝、日替わりで朝10時からもう滅多に映画館では観られない過去の作品を上映するというもので、「カサブランカ」「雨に唄えば」「ゴッドファーザー」など、なかなかの...
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第5回:今さらですがVFXとはなんだ論 2
「VFX」という名称がいつから使われ始めたかご存知だろうか。私の知る限り、91年公開の「ターミネーター2」あたりだったと思うが、その呼称を決定的に印象づけたのは93年の「ジュラシック・パーク」だろう。現代に古代の恐竜が蘇るという、およそ従来...
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第4回:今さらですがVFXとはなんだ論 1
新人研修の一環でVFXの説明をしたときのこと。意外だったのは、参加した全員が比較的映画に詳しいにもかかわらず、VFXの正式な英語表現を知らなかったことだ。このコラムの読者は当然それがVisualEffects(ビジュアル・エフェクツ)である...
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第3回:映画「ACRI」撮影秘話
「カールスモーキー石井」こと石井竜也氏が監督し、1996年夏に公開された映画「ACRI」(アクリ)は、私が「VFXプロデューサー」として初めてクレジットされた作品として、個人的に忘れがたい1本である。同年1月から約半年をかけて、全篇、真夏の...
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第2回:日本CG黎明期
今回は現在のVFX(ビジュアル・エフェクツ)にとってなくてはならないCG(コンピューター・グラフィックス)に私が初めて関わったころのお話をしようと思う。私は長年CGという技術を利用した仕事でご飯を食べさせてもらっていて、この間数えたら来年で...
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第1回:VFXの話をしよう
私はここ数年間は劇映画における「ビジュアル・エフェクツ」と称される仕事をしている。ただ日常の会話で実際にこの単語を使ってみると、なんとも野暮ったく、思わず舌を噛みそうになるときもある。そこで単語の頭文字を組合わせて「VFX」と呼ばれるこ...