トレンド&テクノロジー / デジタルコンテンツの未来〜温故知新〜
第16回:塙 芽衣(Spade&Co. VFXプロデューサー)

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ShotGrid は Flow Production Tracking に製品名が変更されました。
塙 芽衣 氏

CGと縁の深い方々にお話をうかがい、デジタルコンテンツの未来を見通していく記事をお届けする本連載。今回は連載開始以来初めての女性制作者である塙芽衣氏に登場していただいた。『国宝』や『キングダム』シリーズなど、日本の映画業界で大活躍するSpade&Co.でVFXプロデューサーを務める塙氏。VFX業界における女性の働き方のモデルケースのひとつであるだけでなく、外からはなかなか伺い知れないVFXプロデューサーの仕事の内容やSpade&Co.の哲学まで自身のキャリアと重ねて多方面からお話いただいた。

【聞き手:野口光一(東映アニメーション)】
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TVドラマの助監督からVFXプロデューサーへ

東映アニメーション/野口光一(以下、野口):前回はKASSENのVFXプロデューサー・巻田勇輔さんにお話を伺いましたが、塙さんは日藝の映画学科の後輩だったそうですね。

塙:そうなんです。巻田さんは先輩で、KASSENの代表の太田君は1年間だけ同級生だったんです。彼は編入してきたので、単位の都合で下の私の学年の授業も取る必要があって、それで今でも太田"君"と呼んでいます(笑)。

野口:卒業後は映像監督の道に進まれたんですか?

塙:はい。大学の先輩の伝手でフリーの助監督として業界に入りました。最初は水田伸生監督のテレビドラマで、以降は仕事を通じたご紹介の繰り返しで、合計6年くらい助監督業を続けました。

水田伸生
1958年生まれ。日本大学藝術学部卒業後、日本テレビに入社。主にテレビドラマのディレクターとして活躍。代表作に『恋も2度目なら』、『お熱いのがお好き?』など。映画監督としても活躍し、『舞妓Haaaan!!!』、『おまえの罪を自白しろ』など。

野口:助監督というと、仕事が厳しいというイメージがあるのですが、いかがでしたか?

塙:私のいた頃はまだまだ厳しかったですね。最初に一番辛い世界を経験したことで、以降どんな現場でもポジティブに捉えられるようにはなりました。

野口:VFXに出会ったのはその時代ですか?

塙:キャリアの後半はWOWOWのドラマや映画の現場で出会った感じです。前半のテレビドラマの頃はほとんどVFXは使われていませんでした。助監督は撮影が終わるとまた次の作品の準備があるので、どんどん次の作品に行くんですけど、その頃の自分としては、監督になりたい思いがまだギリギリあったんです。そこで、仕上げについての勉強をしたくてラインプロデューサーの方に相談したところ、「助監督に対してそこまで頼めないけど、アシスタントプロデューサーとしてだったらお願いできる」と言われて、その現場では演技事務が半分、APが半分として入らせていただきました。その作品でVFXを担当していたのがSpade&Co.(以下、Spade)で、終わった時に社長の小坂(一順氏)から、「会社を大きくしようと思うんだけど来ないか?」とスカウトされて、入社した形です。それが8年前のことでした。社員はまだ5〜6人ぐらいで、フリーランスの方を加えても10人程度だったと記憶しています。

塙 芽衣 氏

野口:監督にならずにさまざまな現場で助監督をずっと続けるという、ある意味で安定した生き方もありますが、それは考えました?

塙:これは私の人生の考え方なのですが、仕事を100%大事にしたいのと同じように、私生活もきちんと大事にしたい思いがあります。結婚をして子供を産んで育てようとした場合、助監督を続けていると、生活の何かしらを諦めざるを得ない状況でした。幸い、Spadeに入社してからは、自分の担当の組が休みになったら土日祝日はお休みですし、産休や育休も取ることができました。私より先に、大友組(大友啓史)で助監督をしていた方がSpadeに入社をされていて、その方がいたことで私も「演出部としての自分のキャリアや人脈が活かせるかもしれない」と思えたことが大きかったです。

野口:VFXのキャリアはどのように積まれていったのですか?

塙:私が入社した頃はプロデューサーとかプロマネ制作系のスタッフが誰もいなかったんので、プロデューサーとしての仕事というものを誰かに教わったことがなくて、見様見真似でした。入って1年ぐらいの間はプロダクションアシスタントのような肩書で、小坂や白石(哲也氏、コンポジットSV)に付いて現場に行きましたし、そこで作品づくりの流れを一通り知ることが大事でした。準備期間にロケハンして、打ち合わせをして、社内の人間がどういうリクエストを出してるのかをクライアントに向けて交渉するようすを、実際に見て学ばせていただきました。あとは、白組のプロデューサーの羽原(直栄)さんを頼って教えてもらったりしたので、会社は違いますが師匠のように思っています。

野口:撮影の立ち会いにも行かれましたか?

塙:もちろんです。打ち合わせではなかったことが急に発生したりしますので、現場で学ぶことはとても多かったです。そのとき現場でどのように振る舞い、交渉すべきときは毅然と振る舞うような判断も、VFXプロデューサーには求められます。社長が持ち帰ってきたことに社内で議論になった光景も見てきましたが、私は「トータルで考えれば、あの時の現場判断は間違ってなかった」と思ったこともありました。

野口:スケジュールや予算を確保するのもVFXプロデューサーの大事な仕事ですよね。

塙:そうですね。私が入社した頃は作業目標がまだシステム化していませんでした。映画全体の予算があり、VFXの費用が予め決まっていて、その中での最大限をこなしてほしいといった頼まれ方が多かったのですが、外資の配信が参入してきたことによって、業界に変化が訪れました。ブレイクダウンの考え方が普及し、そのショットに対して必要なコストを算出する癖がつくようになったんです。それによってショットに対する作業時間やタスクをよりイメージできるようになりました。それは従来の経験の積み重ねがあって、初めてできることではあると思うんですけど。VFXプロデューサーって、皆さんが想像されているより裁量が大きくて。もちろんVFXではSVが監督に一番近いのですが、弊社の特徴として現場の最前線に立つことも多くて、そこで監督とコミュニケーションをして、その意図を社内に伝えるようなこともあります。

野口:自信がついたり、一人立ちできたと思えたのはいつ頃ですか?

塙:『全裸監督 シーズン2』で初めてNetflix作品に携わったのですが、それは今まで自分が予算管理した中でダントツに大きなもので、終わった時は一人立ちできた感じがしました。キャリアで言うと、5~6年前ぐらいですね。

塙 芽衣 氏

野口:規模が大きくなるとプロデューサーとして何が変わりますか?

塙:やっぱり全部の裁量が大きくなるんです。規模が大きくなると社内で捌ききれないので、協力会社さんを探すことも多くなりますし、仕切る物量がとにかく増えるので、そこで考えなければいけないことも増えていきます。『全裸監督 シーズン2』では初めての協力会社さんとも多くお仕事をしましたし、自分としても幅がグッと広がった手応えがあります。

野口:予算を組んでいくときは、具体的にどのような手順を踏んでいきますか?

塙:他社の方が分からないので比較が難しいのですが、大きな作品の場合は台本をもらったタイミングでまず大まかな見積書を作ります。その後、美術打ち合わせやロケハンを進めていき、詳細が決まってきたらそれを反映していき、クランクイン前にまた見積もりを出します。そして撮影中にまた作業が増えてきたら更新をして、編集が終わって最終的な作業量が確定したら、必ず作業前に見積書を出して、交渉できた金額でできることをします。

野口:金額がハマらなかった場合は?

塙:絶対に出ないということであれば、削減の提案をしたり予算采配をしたりしていきます。トータルの予算の話は全体のプロデューサーの仕分けの話もあるので、その人達を含めて全体の中での遣り繰りの話をすることもあります。

野口:実際にクランクインすると現場でいろんなことが変わりますよね。

塙:そうですね。不測の事態も発生します。極端な例で言うと、俳優さんが撮影中に怪我をしてしまって、全身にサポーターとかテーピングをするようになると、消し込みの作業が急増することになります。そうなったら見積書を更新して、プロデューサーに「現状はこのくらい増えています」と伝えて、編集で減らす努力をしてもらうように働きかけます。

クリエイティブな仕事に集中するSpadeの仕事術

野口:僕の記憶ではSpadeが最初だったと思うんですけど、VFXのマスクやトラッキングのような下準備作業を海外の協力会社に全部振って、社内はクリエイティブな仕事に集中することでクオリティを高める作り方をされていて。塙さんが入社した時からすでにこの方法だったんですか?

塙:それは徐々にですね。というのも、『キングダム』(2019年)の頃から作品数が増えそのくらいの頃から、1本1本の規模も俄然大きくなってきたんです。そこでショット数と関われる人員を考えた時に、迷いなくできそうな部分を協力会社に頼んで、演出のフィードバックが多くなりそうなものを社内で行なった方が良いだろうという結論に達しました。マスクとかトラッキングは、指示書を書けば日本語がたとえ通じなくともツールが同じなら作業をすることができます。そこでまず、英語ができる人を採用するところから始めました。

野口:それは海外の会社に頼む書類を書くために。

塙:はい。窓口業務を担ってくれただけでなく、海外の会社の開拓も私と一緒に行なってくれました。

野口:それは誰かの紹介とかではなく?

塙:もう地道にひたすら検索して探すという(笑)。ハリウッドの作品のクレジットを見て幾つもの会社に当たってみて、テスト用の同じカットをそれぞれに渡して、仕上がりの出来と所要時間を鑑みてお願いするかどうかを決めていきました。その後、段々と本番のカットで量を増やしていって、現在はトラッキングならここ、マスクならここというように、今では信頼してお任せできるところが決まっています。開拓から安定して発注できるまで、2年くらいかかりましたが、これも会社の資産だと思っています。

塙 芽衣 氏

野口:場所はインドとか東南アジアですか?

塙:ほぼインドですね。まず人が多いですし、世界中のどのタイムラインにも対応ができるように24時間を3交代制で行なっているんです。

野口:現地には時々足を運ばれたりしているんですか?

塙:いえ、インドには誰も行ったことがないんです(笑)。会社のある場所も曖昧なくらいで……。

野口:それで回っているのがスゴい!(笑)。ちなみに日本の場合もお願いする会社は決まっていますか?

塙:そうですね。とても頼りにしてる方が何人かいて、お願いする内容に合わせてまずその方に相談します。弊社の足りないところを持っている会社さんなので。

野口:Spadeに足らないことなんてないでしょ?

塙:いえいえ、色々と足りてないですよ(笑)。どちらかというと弊社はエンバイロメントや地形建物を得意としていて、キャラモデルはまだあまりやったことがないんです。なので、キャラ系や動物の時はCafeグループさんに協力いただいています。やっぱり得意な人が得意なものやった方が、絶対に良いものになると思っているので、作品ごとにアベンジャーズを揃える気持ちですね。

野口:これまでの作品で最もVFXのカットが多かったのはどのくらいですか?

塙:『キングダム 大将軍の帰還』ですね。本編の半分以上がCGカットで1400〜1500カットぐらいありました。

野口:監督のチェックはスタジオに来てもらう?

塙:はい。うちは全部Nukeスタジオで管理してるので、編集データを全部もらってタイムラインに並べて上に載せていく形です。これはどんなに小さいプロジェクトでも同じで、全部並べて全部チェックしています。

塙 芽衣 氏

野口:管理はFlow Production Tracking(以下、FlowPT)ですか?

塙:はい。私が入社した頃はAsanaという、主にビジネス用途のtodo管理ツールとスプレッドシートで制作の進捗管理をしていましたが、そこから当時はShotgunと呼ばれていましたが、それに変えて以降は使い続けています。協力会社さんの管理も全部FlowPTで行なっています。もうこれナシでは考えられないぐらい使い倒していますね。

野口:FlowPTのなかでのツール開発とかはどのようにされていますか?

塙:社内にテクニカルディレクターが3〜4人おりまして、プログラムを書いてます。たまにCGスーバーバイザーとしてフリーランス活躍されている山岸拓哉さんにアドバイスしてもらいつつです。

野口:それらを含めて作品の元請け機能を全部社内で運用しているとなると、相当な量ですね。

塙:この隣のビルにもオフィスが1フロアあるんですけど、そこの半分がサーバールームです。電源も大変なので、移転する計画を立てています。

野口:Spadeの社内は現在、どういう体制ですか?

塙:現在、社員が63人で+フリーの方が10〜15人です。そのうち1割くらいがフルリモートです。ベテランの方で作業スピードや納品物も安定してる方は、自宅で作業をされる方が多いですけど、弊社の平均年齢は29歳ぐらいで、ほとんどが20代と30代前半なので、そういうキャリアの場合はトレーニングが必要だったり、チームで育成していく方が環境として適しているので、出社して仕事をしてもらっています。組織図としては、社長である小坂の横に総務やシステム管理をしている迫田(憲二氏:VFXプロデューサー)がいて、白石はNukeのコンポジットのチームを見ていて、木川(裕太氏:CGSV)はMayaとHoudiniのチームを持っています。そして私がプロデュースチームの管理職で、大きくはこの3構成になっています。

塙 芽衣 氏

野口:小坂さんは塙さんをめちゃくちゃ信頼していますよね。

塙:(笑)。もう投げ方がすごいというか、よくここまで信じられるなってぐらいで(笑)。「何でもやっていいよ」って。

野口:塙さんはプロデューサーで管理職となると、自分で抱えている案件と、プロデューススタッフの監督をしている案件があるということですか?

塙:そうですね。プロデュースチーム全体でいうと、プロデューサーが4人、プロマネが2人という構成です。それで年間10本くらいの作品を回しています。なので、2〜3ヶ月に1回納期が来る感覚です。

野口:1作品に何人くらいつけるんですか?

塙:3人ぐらいがベースですね。多すぎると責任が分散してしまうので、大作でもこのくらいの人数で担当します。

野口:営業は小坂さんのお仕事?

塙:ありがたいことに、営業をしなくてもお仕事をいただける状況が続いていまして、早い場合ですと、台本になる前の企画段階から相談を受けることもありました。そして多くの場合、窓口は小坂です。次に塙と白石といった感じですね。小坂の姿勢としては基本的に断らないんです。私たちも「できないと言わないように」と厳命されていて、「難しいときは、対案を添えるように」と言われています。

Spadeにおけるワークライフバランス

野口:ワークライフバランスについて伺ってみたいのですが、VFXの作業をする人は社内の勤務時間で管理できると思うのですが、問題は撮影に入るオンセットSVの方たちはどのようにされているんですか?

塙:作品の規模が大きくなってきたタイミングで、現場の立ち合いとオンセットのワークフローができる人数を増やす努力を社内で行ってきました。そのなかで何とか遣り繰りをしています。

野口:なるほど、交代で現場の立会を行うと。

塙:ただ、やっぱり1つの作品は同じ人が行った方が現場とのコミュニケーションがスムーズですので、基本的には1人をメインとして、どうしても外せない用事が重なった場合に代理を立てる形で運用をしています。

野口:土日は社内の皆さんは休みですか?

塙:はい。平日もけっこう朝方で、11時までに来ましょうみたいな了解は一応あるのですが、1~2年目ぐらいの若手はみんな9時半~10時ぐらいには出社して、18時ぐらいから退勤していき、多くのスタッフは19時半~20時ぐらいに帰る感じですね。忙しい時はみんな残業して協力してくれるので、そうなると大体深夜手前の22時ぐらいまでっていう感じですね。でも夜型のスタッフもいて、白石は終電近くまで会社にいるんですけど。ただ、会社に泊まることは禁止されています。

塙 芽衣 氏

野口:ひとつ難しい課題があって、作業しだしたら集中して止まらない人ほど深夜とか土日まで働こうとする傾向があったりで、管理職はそのような働きをさせないことに昨今、頭を悩ませています。

塙:どちらかというと、私もそういうタイプだから分かるんですけど、仕事が好きだから苦じゃないんですよね。私の場合は娘が生まれてから強制的に変わりました。

野口:たしかにそれは大事です。

塙:娘は1歳なんですけど、朝は保育園に送ってから出社をして、17時半から18時までは退勤するような生活をしています。お迎えのある日は会社に居られる時間が決まっているので、会社でないとできないことは会社で済ませて、娘が寝たあと家で片付けるような生活です。

野口:産休・育休はどのくらい?

塙:私の場合はどうしてもやり遂げたかった仕事があったので、去年の6月に出産して2ヶ月休んで9月から復帰しました。臨月の頃まで打ち合わせしたり、現場に行ったりしていました。むしろ社長から「これから部下たちが休みにくくなるから、休んでくれ」と言われてしまいました。

野口:そうまでしてやり遂げたかった仕事って何だったんですか?

塙:『新幹線大爆破』と『国宝』だったんです。樋口監督とはメインでは初めての仕事で、会社としてご指名を受けたのでやり通したかったという思いが強くありました。『国宝』は李監督とは2本目で、先ほどの話のように予算と工数が撮影に入ってもハマらなくて、そのまま引き継ぐよりは、そこまでの流れを知っている自分が削減案を考えたり効率化を進めたほうが良いだろうと思って。とはいえ、産後2ヶ月でのフル出社は無理で、在宅でオンラインとか電話で仕上げの期間を乗り切りました。

野口:アメリカのCG会社だと連れてきたりしますよね。

塙:私もどうしても対面で参加したい日には、娘を会社に連れてきたことが何度かあります。今年の4月から保育園に預けられるようになったんですけど、そこまでは片手間でどうしても大事なタイミングのときはシッターさんにお願いしたりしていました。

野口:あとは仕事の属人化についても伺いたいです。どうしても上手い人に頼りがちで、それを分業で解決すると今度は会社としての個性がなくなりがちです。これはデジタル化による無個性化が進んだ上でのことなので、問題はさらに難しくなっているのですが、どのように考えますか?

塙:うーん、なるべく属人化させないという理念は変わっていないと思います。会社が小さかった時は、みんなでモデリングやって、その後みんなでトラッキングをやってみたいな感じだったんですけど、最近はトラッキングは協力会社さんで、モデリングも社内で捌ききれないときは、部分的に協力会社さんに割り振ることで誰か一極になるべく集中しないようにしたいと思っています。

野口:それは塙さんが考える?

塙:プロデュースチームみんなで考える感じです。プラス社長で何の作品を受注するかとか、大枠の打ち合わせを月に一回、定例で行なっていて、その1週間以内にSVや各セクションのリードを集めた打ち合わせをして、今後1~2ヶ月先のことを考えると、ここがピークになるから休日出勤を入れてほしいみたいな情報を伝えていきます。

野口:社内試写みたいなことはしていますか?

塙:各チームでそれぞれ違うんですけど、3D系のチームは定例で行なっています。コンポジットのチームは逆に監督チェックが終わった後にSVが全員を呼んで、修正のポイントやシーンの組み立てから、今一度みんなで演出の確認をする会をまとめて行なったりしています。

野口:チームで交流会や飲み会みたいなことって、開催されます?

塙:コロナ禍の前は1つの作品を納品したら社内打ち上げみたいなことをしていたんですけど、作品の本数が増えてきて、社内でも全員が同じ作品に入ってるタイミングはなかなかなくて、それぞれのチームがバラバラに動いている感じです。作品が終わって一息入れたいけど、他の人たちも忙しいので……みたいな。なので、絶対にやるのは忘年会と、新しいスタッフが入ったときの歓迎会としてチームで飲みに行ったりとかですね。

野口:この前は10周年の大きなパーティーがありましたね。

塙:はい。日本を代表する監督たちが来てお祝いをしてくださいました。大友啓史さん、佐藤信介さん、樋口真嗣さん、李相日さん、犬童一心さん、久保茂昭 さん、鈴木雅之さん、本広克行さん、武正晴さん、松木彩さん、片桐健滋さん、渡辺一貴さん、片島章三さん、三橋利行さん、平野隆さん……

野口:すごい面々ですね。

塙:ほかにも東宝の市川南さんやフジテレビの亀山千広さんといったプロデューサーの方たちも多くいらして、ゲストは全部で80人ぐらいお招きしました。こうやってさまざまな映画監督と仕事をしていることがSpadeの特長だと思うんです。映画というジャンルだけで会社が運営できるくらい回っているのがとってもありがたいことだと、改めて思った次第です。そして今後はVFXの傍ら、男女問わず働きやすい環境の整備と、後進の若者たちがこの業界に足を踏み入れやすい、挑戦したくなる業界の雰囲気作りにも力を入れたいと考えています。VFX業界の発展のため、今後も精一杯自分にできる課題に取り組み、その積み重ねが結果的に貢献に繋がるように目指したいです。

塙 芽衣 氏

塙 芽衣

はなわ めい。VFX Producer、株式会社Spade&Co. プロデュースチーム管理職、株式会社SGMX (福岡支社) 執行役員。
1989年群馬県太田市出身。日本大学芸術学部卒業後、映画やドラマのフリーの助監督として約6年間働く。2017年12月 株式会社Spade&Co.入社。プロダクションアシスタントとしてVFXのキャリアをスタートし、下記の作品を担当。約1年間プロダクションアシスタントを経験後、以降はVFXプロデューサーとして社内のプロジェクトに携わるようになる。

■フィルモグラフィー
2018 映画『銀魂2』
2018 映画『億男』
2018 映画『ニセコイ』
2018 映画『猫は抱くもの』
2018 映画『Vision』
2018 TVドラマ『SICK'S〜内閣情報調査室特務事項専従係事件簿〜』
2019 映画『キングダム』
2019 映画『マスカレードホテル』
2019 映画『最高の人生の見つけ方』
2019 映画『アイネクライネナハトムジーク』
2019 映画『かぐや様は告らせたい』
2019 映画『凪待ち』
2019 映画『映画 賭ケグルイ』
2019 配信ドラマ 『全裸監督 シーズン2』
2019 TVドラマ『6 from HiGH&LOW THE WORST』
2020 映画『新解釈三国志』
2020 映画『十二単を着た悪魔』
2020 映画『ステップ』
2020 映画『影裏』
2020 映画『37seconds』
2020 映画『ヲタクに恋は難しい』
2020 映画『mellow』
2020 映画『サヨナラまでの30分』
2021 映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』
2021 映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』
2021 映画『マスカレード・ナイト』
2021 映画『哀愁しんでれら』
2021 映画『奥様は取り扱い注意』
2021 映画『騙し絵の牙』
2021 映画『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』
2021 映画『ヒノマルソウル』
2021 映画『ドライブ・マイ・カー』
2021 映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』
2021 映画『孤狼の血 LEVEL2』
2021 映画『空白』
2021 映画『あなたの番です 劇場版』
2021 TVドラマ『君と世界が終わる日に』
2021 配信映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』
2022 映画『Pure Japanese』
2022 映画『劇場版 ラジエーションハウス』
2022 映画『流浪の月』
2022 映画『キングダム2 遙かなる大地へ』
2022 映画『HiGH&LOW THE WORST X』
2022 映画『ラーゲリより愛を込めて』
2022 映画『ケイコ 目を澄ませて』
2023 映画『THE LEGEND & BUTTERFLY』
2023 映画『湯道』
2023 映画『わたしの幸せな結婚』
2023 映画『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~』
2023 映画『銀河鉄道の父』
2023 映画『キングダム 運命の炎』
2023 映画『首』
2023 映画『悪は存在しない』
2023 配信ドラマ『湯道への道』
2023 配信ドラマ『御手洗家、炎上する』
2024 映画『ゴールデンカムイ』
2024 映画『夜明けのすべて』
2024 映画『ペナルティループ』
2024 映画『碁盤斬り』
2024 映画『キングダム 大将軍の帰還』
2024 映画『室井慎次 敗れざる者』
2024 映画『室井慎次 生き続ける者』
2024 映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』
2024 配信映画『Broken Rage』
2024 配信ドラマ『忍びの家 House of Ninjas』
2024 TVドラマ『わたしの宝物』
2024 TVドラマ『オクラ〜迷宮入り事件捜査〜』
2025 映画『少年と犬』
2025 映画『国宝』
2025 映画『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』
2025 映画『近畿地方のある場所について』
2025 映画『海辺へ行く道』
2025 映画『宝島』
2025 映画『旅と日々』
2025 配信映画『新幹線大爆破』

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INTERVIEWER : 野口光一(東映アニメーション)
EDIT : 日詰明嘉
PHOTO : 弘田充
LOCATION : 株式会社Spade&Co.

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