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第56回:3DCGツールで光学シミュレーション 〜輝度/照度を割り出して、開発や建築に役立てる〜
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光学シミュレーション
これまでの3DCGツールでは、ライトに物理的な輝度を設定することができましたが、どの程度部屋や対象物が明るくなったかは見た目(RGB画像による可視化)で判断するしかありませんでした。
そのためオフィスや作業場、車内空間などがどの程度の照度になっているかを物理的な数値で知ることは出来ませんでした。
照度や輝度を知るためには、光学シミュレーションソフトを使用する必要があります。
照明に輝度、照射範囲などを設定して、特定の距離での照度や輝度をシミュレーションすることができます。
しかし、このようなソフトは光学に関する知識が必要なため使いこなすのが難しく、またソフトウェアの価格が非常に高額です。そのようなことから、主な使用者は照明開発分野の方々になります。
Autodesk VREDは、照度/輝度を数値化することができ、可視化と同時に光学シミュレーションを行うことができます。
制作は従来の3DCGと変わらず、プロダクトデザイン開発に特化しているため、エンタメ系ソフトよりメニューも少なく、制作は楽かもしれません。
測定マテリアル(測定器を使用して正確なマテリアルを作成する手法)AxFも使用可能なので、より正確な可視化と光学シミュレーションが可能です。
光学シミュレーションで競合と差を付ける
例えばオフィスの照明を設計する業務では、健康的に業務ができる明るさが必要です。
JIS に「屋内照明基準(Z9125)」がありますが、
・事務室:750lx
・会議室:500lx
・休憩室:100lx
・廊下:100lx
など色々なシーンの推奨照度(ルクス)があり、これに合わせて設計するには現物を測定するか、光学シミュレーションを行う必要があります。しかし現物と言っても空間を構築するまでは判断できないため、シミュレーションを行わないと想定と異なる明るさになる危険性があります。
VREDは簡単に照度シミュレーションを行い、同時にイメージ画像も作成できます。
施工後の改修は避けたいですが、これなら小規模な案件でもシミュレーションが可能になります。
プレゼンテーション、設計確認の負担が減り、提案先の安心と信頼も上がるので、コスト削減はもちろんですが、事前シミュレーションを競合との差別化要因として活用できます。
カメラ設定でレンダリングを切り替える
通常のRGB画像から照度や輝度への切り替えは、カメラ設定から行います。
トーンマッピングのトーンマッパーから、輝度/照度を選択するだけで、簡単にシミュレーション画像が生成されます。リアルタイムレンダリングなので、一瞬です!
輝度/照度はヒートマップのように表示されます。
画面右側に値を示すバーが表示されます。このバート画像の色を見て値を判断します。
値の範囲はカメラ設定で行います。
またマウスカーソルを合わせることで、特定箇所の値を知ることが出来ますので、光がどの程度届いているのか? 明るくなりすぎている箇所、暗くなりすぎている箇所などを把握することができます。
JISの推奨照度か確認する
部屋全体の明るさや、作業机など特定箇所の明るさが、JISが推奨する照度になっているか確認して見ましょう。
まずはオフィス机です。
カメラ設定のトーンマッパーを「照度」に変更して、机の上にカーソルを持ってきて計測してみます。
758.03ルクスになっています。
JISの推奨値が750ルクスですから、適切な照明の設置と、天井/壁面の素材が適切な状態であることがわかりますね。
次は会議室を見ていきましょう。
カメラ設定のトーンマッパーの照度のままで、会議室の上の照度を測ってみましょう。
506.63ルクスになっています。
JISの推奨値が500ルクスですから、こちらも適切な設計になっていることがわかります。
このようにCGシミュレーションで簡単に照度を測ることができます。
可視化+光学シミュレーションの時代へ
見た目のシミュレーションだけでなく、照明の光学シミュレーションが同時にできるツールが簡単に使用できるようになりました。これは一種のトレンドで、可視化と光学シミュレーションが融合したツールが増えてきています。
二つの機能を活用することで、これまで以上のシミュレーションができ、効率向上/提案力向上ができるようになりました。
3つのパターンがあるので、自社のニーズに合わせて選択してみてください。
1:光学シミュレーションソフトが可視化を強化したツール
主に照明の製造/解析、照明を組み込んだ製品開発を行っている企業が活用しています。
複雑な計算ができる反面、高い知識と経験、複雑な操作、専門の測定器などが必要で、ソフト自体も高額です。
2:可視化ソフトが光学シミュレーション機能を追加したツール
見た目のシミュレーションを行うことが必須で、空間設計や製品開発を行っている企業が活用しています。
今回紹介したVREDがあてはまります。光線の解析などの複雑な計算はできませんが、例に出した輝度/照度の測定ができるので、建築/内装設計、モビリティ開発などには十分な機能を備えています。従来のCGソフト以上にシンプルなので習熟も簡単で、費用はDesingバージョンであれば従来のCGソフトと同じ程度です。
3:どちらも適度に強い
可視化ソフトが苦手な表現(正確な照明の再現、透過屈折などの正確な再現など)が必要な製品開発を行っている企業が活用しています。
光学シミュレーションの複雑な計算まではできないが、可視化ソフトより正確なバランス型です。知識も中程度で利用することができ、計測器の情報など現実世界の情報をより正確に利用することができます。
今回はVREDの輝度/照度シミュレーションを題材に、光学シミュレーションの活用についてご紹介しました。もし理解が難しかった方は、これまでの連載やカラーマネジメントの基礎知識をPERCHのサイトに掲載しているので、読みながら理解を深めていただけたら幸いです。
本コラムではカラーマネジメントに関する情報をお届けしていきます。
次世代カラーマネジメントの特徴、Autodeskソフトのカラー管理機能を紹介していく予定です。
カラーマネジメントの基礎知識や、導入事例などをまとめた情報サイトもありますので、合わせてご覧頂けると理解が深まるかと思います。
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