トレンド&テクノロジー / 冨田和弘が斬る!建築ビジュアライゼーション業界
第29回:下請けからの脱却!
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明けましておめでとうございます。一月遅れではありますが、今年も本コラムを宜しくお願いいたします。2014年を迎え1ヶ月を過ぎようとしていますが、皆さん調子は如何ですが? 私はと言うと、大型案件が何れも伸び伸びになっていて、だらだらした年明けを迎えることとなってしまいました。仕事って難しいなと思いつつ今回の話題に移ります。今回は「下請けからの脱却」というテーマですが、このタイトルから皆さんはどういった印象を持たれるのでしょうか?(実は私の会社Next Pictureの喫緊に実現すべきと思っているテーマでもあります) 下請けという言葉の定義からすれば、建築に関わるCGプロダクションは特殊な例を除き殆どが下請けです。今回のテーマはこの構造体質を何とか変えようという話ではありません。その仕事の中身、いいかれば仕事の仕方、もっといえばさせられ方を変えたいといった意味です。以下詳しくお話ししていきます。
思いつくオンリーワンを以下に挙げてみます。
・ライブラリが充実している
豊富な都市データを持っている。船ならば大抵のタイプのものを3Dで保有している。
関東全域の高校生の制服姿の添景を持っている。最新の車のモデルは網羅している。etc.
・モデリング技術
図面らしい図面がなくてもモデリング出来る。スケッチや写真からそれらしいモデルが出来る。
複雑な曲面をもつ形態のモデリングが得意。etc.
・建築に強い
図面が決まっていなくても、建築的に破綻のないモデルを作れる。
建築家や建築作品に詳しく、建築専門用語だけで説明されても難なく理解出来る。etc.
・新しい技術に強い
BIM等の知識・経験が発注者を上回っている。 海外の建築業界でメジャーなソフトを使いこなせる。
VR・ARコンテンツを作れる。プレゼンテーションの内容に対して、新たな成果品の提案が出来る。etc.
・制作コンテンツの種類が豊富
パースだけでなくアニメーションが出来る。DTPが出来る。WEBのオーサリングが出来る。
・プログラミングに強い
VR、AR系のプログラムソフトに強い。webでのHTML5やcss、JavaScriptに強い。etc.
大項目だけでなく、小項目の1つ1つが立派なオンリーワンです。ここに挙げたものは私が仕事上で実感したものです。この中にはうちでも何とかなりそうだというのもあるかもしれません。勿論すぐにどうこうという話ではなく、これまでお話しした考え方で、何か1つ強みにしたい事を設けて、日々努力を続けることが重要です。それにはただ漫然とオンリーワンを目指しても駄目です。ターゲットとなるオンリーワンに対してどの様に進めて行くか計画的に行う事が大切で、計画的に一歩一歩進められれば自ずとオンリーワンと言える強みを持つことになると思います。または自分(会社)は無理でも、そう言ったオンリーワンを持つ別の会社とタッグを組むというのは利にかなった考えです。現在オンリーワンに育てられそうなものが何も思いつかないような場合は、実は協業してオンリーワンを得ることが1番合理的で手っ取り早いと思いますが如何でしょうか。
私は現在パートナーのような扱いで仕事をさせて貰っているクライアントや、単一のプロジェクトが幾つかあります。この手の仕事をすると仕事に没頭してしまって喜々として徹夜をする事もしばしばです。全ての仕事がこうなる事は叶わないかもしれませんが、パートナーとしての仕事を増やす努力を怠ってはいけないと思い、日頃ちょこちょこトライを重ねています。パートナーとして仕事をするには、その仕事に入る最初の段階が実は結構重要だったりします。その最初の部分を上手くいくためにも今回のお話しは重要なのですが、その辺りのお話しは、また機会の有る時に本コラムでお話ししようと思います。
今回のイメージは今年刷新した弊社のHPのスクリーンショットです。オンリーワンとはとても言えるHPではありませんが、私がちょっと変わったトライをしてみたいと思って、一念発起して作りました。思えば最初のHPはアクションスクリプトを駆使して全てFlashで作りました。しかしweb制作が本業でない弱みで、久々内容更新をしようとすると、何をしているスクリプトかさっぱり思い出せず挫折。次は思いっきり簡単にiWebで作ってみたものの、私はやっぱり動的コンテンツが好きみたいで、その貧相さに興味を無くし放置プレー。今回はその中間で安いソフトを使って動的でしかも簡単に作れる事をコンセプトに謳っているソフトを使用してみました。しかし安価で難しいことをやろうとした宿命かバグが多く、結局コードを直接触って書き直したりと、結構な時間がかかってしまいました。今時は絶滅仕掛けているタイプのHPですが皆さんはどう思われるか、HPに直接訪問して頂てご意見を伺えると嬉しいです。それではまた次回。
クライアントとの関係性
ここでお話ししたい下請けとは、その言葉の意味から来るものというよりも、その言葉から来る仕事上の関係性にあります。端的にいうと、上か下か、「命令する側」か「される側」かという事です。では、上になろうという話かというと、プロダクション側が上になってゼネコンや設計事務所を使うという話には無理があります(と言うより無理ですよね)。ここでいう脱却とは同じ立ち位置に立つことは出来ないかと言うことです。下請けでは無くパートナーとして仕事が出来れば良いと皆さんは思いませんか。CG制作をしている時に制作サイドから見れば明らかに改悪と思える修正を依頼され、これと言った反論もせずせっせと修正作業をこなした事はありませんか。また、昼夜問わず修正依頼が来て24時間体制でしか対応出来ないような仕事をしたことは。はたまた、無理な注文に反論すると、何なんだこの外注はというった明かな上から目線の態度を取られたことはありませんか。徹夜で対応し無理難題を粛々とこなした後、それに見合う対価は払って貰えない。こんな事が普段の制作の時に起こっていませんか。もし心辺りがあれば、完全に下に見られ(下に立った)た関係です。こういった関係を解消するのが下請けからの脱却であり、ここでいうパートナーとなるという事です。こういう話を同業者にすると、ある程度仕方のないことと半ば諦めている姿勢が伺えます(気持ちは非常に分かりますが、この状態が続けば建築Visualization業界の衰退スピードが加速してしまいます。この様な事が日常茶飯事であれば、若い人は誰もこの業界に興味を示さないでしょう)。この様な関係を脱却する事は難しいのでしょうか。すこし極端な例を挙げましたが、この歪んだ関係性を、制作を行う際に此方の意見が言える関係で、更には意見が通るといったことが可能だとすれば、制作者として仕事に励みが出てくるとは思いませんか。パートナーになるには
答えは「オンリーワン」を持つことです。オンリーワンという強みを持つことが、制作側の立場を上げてくれます。オンリーワンというと何か凄い才能だったり技術だったり考えるかもしれませんが、オンリーワンにも色々あります。パースを例にお話しすると、パースの出来映えは並プラスα程度だったとしても、制作スピード(制作量と言っても良いかもしれません)は他社の倍はあるというのも立派なオンリーワンです。発注側サイドで短納期で何枚かのパースを描かなければならないとしたらどうするでしょう。制作スピードの速い外注を選択せざるを得ませんよね。受けた制作側からすれば、うちにしか依頼できない仕事として強い立場で受けることができます。制作中のオーダーにしろ、ただでさえ工期に無理のある仕事を依頼しているのですから変な事は言えません。それはそうです。無理難題を押しつけたため泣きが入って、さじを投げられてはもともこもありませんから。制作サイドからの制作効率アップのための提案も聞き入れてくれる可能性は高いと思います。何しろ相手も短納期という難しい仕事を頼んでいる自覚がある訳ですし、成果品を挙げる事が必須な訳ですから、それを達成する提案はむしろ歓迎されるはずです。ただ間違えてはいけないのは、オンリーワンという強みを振りかざして仕事を楽にしようとか、クライアントをいじめてやろうとかそういった話では無く(そんな事は思っていないと思いますが)、強みを生かして提案型の制作にシフトし、より良い成果を生み出しましょうという事です。仕事を真摯に完遂し納期に間に合わせればクライアントも感謝してくれるでしょうし、プロジェクト中の提案が成果品を良い方向に導ければ、仕事の依頼がある度に制作パートナーとしての立ち位置を固める事が出来るでしょう。オンリーワンを目指して
他にどのようなオンリーワンが考えられるでしょうか。例えば制作単価が安いということもオンリーワンです。制作者側が身を削った結果の価格設定では問題ありありですが、ワークフローの最適化や海外の安い外注を上手く使って等の強みであれば立派なオンリーワンです。1番思いつきやすいのは成果品のクオリティが非常に高く他社の追随を許さないといった制作クオリティのオンリーワンだと思いますが、これはあまりお勧めしません。私達が扱うVisualizationはある種答えの無いようなものです。発注側が気に入らなければ、他でどれだけ評価が高いパースでも彼にとっては出来映えの良くないパースになってしまいます。実際私も相手によってこれだけ評価が変わるのかと驚くばかりです。勿論、現在成果品のクオリティでオンリーワンを築けているのならどんどん推し進めて下さい。制作者側からすれば1つの理想像でありますから。このコラムを読んで何とかパートナーに格上げしたいと思った方にはリスクが高いのでお勧めできないという意味です。誤解を恐れずに書けば、建築業界全体のレベルがまだ低い状態だと言えます。この業界に目利きはそう多くいません。もっとVisualizationが活性化し、制作者同士も鎬を削るようになった時にこの類のオンリーワンは生まれるのでしょう。思いつくオンリーワンを以下に挙げてみます。
・ライブラリが充実している
豊富な都市データを持っている。船ならば大抵のタイプのものを3Dで保有している。
関東全域の高校生の制服姿の添景を持っている。最新の車のモデルは網羅している。etc.
・モデリング技術
図面らしい図面がなくてもモデリング出来る。スケッチや写真からそれらしいモデルが出来る。
複雑な曲面をもつ形態のモデリングが得意。etc.
・建築に強い
図面が決まっていなくても、建築的に破綻のないモデルを作れる。
建築家や建築作品に詳しく、建築専門用語だけで説明されても難なく理解出来る。etc.
・新しい技術に強い
BIM等の知識・経験が発注者を上回っている。 海外の建築業界でメジャーなソフトを使いこなせる。
VR・ARコンテンツを作れる。プレゼンテーションの内容に対して、新たな成果品の提案が出来る。etc.
・制作コンテンツの種類が豊富
パースだけでなくアニメーションが出来る。DTPが出来る。WEBのオーサリングが出来る。
・プログラミングに強い
VR、AR系のプログラムソフトに強い。webでのHTML5やcss、JavaScriptに強い。etc.
大項目だけでなく、小項目の1つ1つが立派なオンリーワンです。ここに挙げたものは私が仕事上で実感したものです。この中にはうちでも何とかなりそうだというのもあるかもしれません。勿論すぐにどうこうという話ではなく、これまでお話しした考え方で、何か1つ強みにしたい事を設けて、日々努力を続けることが重要です。それにはただ漫然とオンリーワンを目指しても駄目です。ターゲットとなるオンリーワンに対してどの様に進めて行くか計画的に行う事が大切で、計画的に一歩一歩進められれば自ずとオンリーワンと言える強みを持つことになると思います。または自分(会社)は無理でも、そう言ったオンリーワンを持つ別の会社とタッグを組むというのは利にかなった考えです。現在オンリーワンに育てられそうなものが何も思いつかないような場合は、実は協業してオンリーワンを得ることが1番合理的で手っ取り早いと思いますが如何でしょうか。
最後に
私は現在パートナーのような扱いで仕事をさせて貰っているクライアントや、単一のプロジェクトが幾つかあります。この手の仕事をすると仕事に没頭してしまって喜々として徹夜をする事もしばしばです。全ての仕事がこうなる事は叶わないかもしれませんが、パートナーとしての仕事を増やす努力を怠ってはいけないと思い、日頃ちょこちょこトライを重ねています。パートナーとして仕事をするには、その仕事に入る最初の段階が実は結構重要だったりします。その最初の部分を上手くいくためにも今回のお話しは重要なのですが、その辺りのお話しは、また機会の有る時に本コラムでお話ししようと思います。
今回のイメージは今年刷新した弊社のHPのスクリーンショットです。オンリーワンとはとても言えるHPではありませんが、私がちょっと変わったトライをしてみたいと思って、一念発起して作りました。思えば最初のHPはアクションスクリプトを駆使して全てFlashで作りました。しかしweb制作が本業でない弱みで、久々内容更新をしようとすると、何をしているスクリプトかさっぱり思い出せず挫折。次は思いっきり簡単にiWebで作ってみたものの、私はやっぱり動的コンテンツが好きみたいで、その貧相さに興味を無くし放置プレー。今回はその中間で安いソフトを使って動的でしかも簡単に作れる事をコンセプトに謳っているソフトを使用してみました。しかし安価で難しいことをやろうとした宿命かバグが多く、結局コードを直接触って書き直したりと、結構な時間がかかってしまいました。今時は絶滅仕掛けているタイプのHPですが皆さんはどう思われるか、HPに直接訪問して頂てご意見を伺えると嬉しいです。それではまた次回。