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鉄拳タッグトーナメント2 
バンダイナムコ スタジオ&プレミアムエージェンシー Interview 「プリビズと Entertainment Creation Suite を駆使し6カ月で創りあげた大作エンディングムービー」

鉄拳タッグトーナメント2 バンダイナムコ スタジオ&プレミアムエージェンシー Interview 「プリビズと Entertainment Creation Suite を駆使し6カ月で創りあげた大作エンディングムービー」
鉄拳タッグトーナメント2
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Entertainment Creation Suite の選択は必然

――MotionBuilderをご利用とのことですが?

伊達氏:そうですね。弊社ではツールについては Autodesk Entertainment Creation Suite がメインで、特に MotionBuilder と Maya を中心に使っています。これは設立以来ずっとこのスタイルなんですよ。

――Entertainment Creation Suite 選択の理由は?

伊達氏:弊社はモーションキャプチャーを活かしたクリエイティブを得意としていますが、モーションキャプチャーを扱う上では、これに特化したツールとして、MotionBuilder は絶対に外せません。MotionBuilder はキャプチャが扱いやすく、アニメーション再生がほぼリアルタイムでできるので、作業が非常にスピードアップされるんですね。実際、弊社のアニメータは「 MotionBuilder じゃないとアニメーション付けたくない」というくらい(笑)、このソフトを使わせてもらってます。

――Maya については?

伊達氏:これもやはり、MotionBuilder と非常に相性が良いCGソフトとして Maya が必須なんですよ。特に MotionBuilder から Maya へそのままシームレスにインポートできるスムーズさ、速さのメリットは非常に大きいと思いますね。特にキャプチャ主体でやっている当社にとって、MotionBuilder と Maya というペアは、間違いなくベストの選択だと確信しています。また、今回はスケジュールの問題もあって、Mel 等もあまり深いところまで組んではいませんが、必要な時は細かい Mel を組んでもらうなどしてさまざまに使えるのも Maya の魅力ですね。もちろんエフェクトなどをより多彩な効果をスピーディにつくり出したい時は 3ds Max を使いますし、お客様から求められれば Softimage も使います。ですから、Entertainment Creation Suite という選択は必然といえるでしょうね。

――皆さん MotionBuilder をお使いに?

伊達氏:ええ、アニメーションのシーン制作に関しては全て MotionBuilder を使っており、弊社のアニメータの仕事の8割はこの MotionBuilder による作業といえます。実際、弊社のアニメータはほぼ全員がキャプチャ技術を持っていますし、全員が MotionBuilder を使いこなします。やはりキャプチャを編集してシーン作っていくというと、ものすごい量のキーが入ってしまうので、他のソフトウェアだと動作が遅くなり確認もすぐにはできません。そういう状態だとどうしても作業効率が下がりますから、アニメータは、やはり即座に確認できて再編集もスピーディな MotionBuilder を選ぶんですよ。とにかく「 MotionBuilder が使えないと、ウチの作業はできないよ」という状態なので......(笑)。今回も当然、フルに使わせていただきました。

――初のプリビズ活用案件は大成功でしたね

櫻井氏:おおむね成功ですが、反省点がないわけではありません。前述の通り第1段階で時間がかかってしまった面もありますし、弊社の方でもう少し時間がかけたかった作業もあります。特に全ての素材が揃った後のコンポジットは、最終的な色味の調整やキャラクターのフェイシャルに関しては少し心残りがあって......フェイシャルの個性の演出部分に関しては、プリビズが終わった直後など、しっかり詰めるタイミングがあればよかったんですが......これは次への課題ですね。

――具体的にはどのような問題が?

櫻井氏:プリビズを導入して、ボディアニメーションやカメラアニメーション等の絵に映る大まかな範囲は、プリビズで全部フィックスに近いところまで持っていけたので、そこに関する心配はなかったんですが、プリビズで表現しきれない色味とフェイシャル、細かい揺れモノ等のアニメーションに関して少し課題が残った感じです。プリビズで揺れものとかフェイシャルなど細かい処まで入れてしまうと、何度もやり直しが効くというプリビズの利点を消すことになるし、難しいですね。

伊達氏:特にフェイシャルに関しては、もう少しバンダイナムコ様とやり取りする時間を設けて、内容を詰めていきたかったという思いがあります。アニメーションは基本すべて私が最終チェックし、どうしてもという処は修正もしていましたが、それを22本全部やるのは時間的に無理だったので......。やはりもっと各個人の処で仕上げたかったですね。

――今回の成果と今後の展開についてどうお考えですか?

櫻井氏:プリビズを使って作る手法も確立できましたし、TTFからもまた一緒にやりたいという声ももらっています。課題も見えているので、それを生かして改善しながら積極的に取組んで行きたいですね。個人的には一番の収穫は、プリビズという手法が加わったことで選択肢が増え、案件に合わせてより最善の手法を選べるようになったことです。もちろん提案の幅も同様で、今回、22本やったことでムービーのテイストもバリエーションが増えましたし、プリビズを使った手法の提案もムービーのテイストの提案も、大きく幅を広げられた実感があります。

伊達氏:制作側としては、やはり技術的にカメラや編集など各アニメータの力不足な部分も見えてきたので、そこはもう一度社内で教育していきたいですね。特にパーツとしてのアニメーションを作るというだけでなく、演出意図を持ってカメラを置き、尺を有効に使ってシーンを作るというワンランク上のクリエイティブに皆でステップアップしていきたい。特にカメラと尺の使い方、編集という点については、もう一度見直そうと思ってます。

――次回作についてはいかがでしょうか?

原田氏:前述の通り、今回のムービーはファンサービス色が強く、各キャラクター個々の、本編ではあまり見られなかった側面を中心に描いた処があります。ですから、次回やるとしたら、今度は全体のストーリィがどう進むのかを描いてみたいですね。実は鉄拳はシリーズを通して毎回のように謎を残しています。あえて「結」を語らない謎を残したムービーが非常に多いんですね。来年、シリーズは20周年を迎えるので、これを機に全体の謎をみんなで解決していかなければいけない、という思いがあります。20年間「前ふり」ばかりして解決してないことがあまりにも多過ぎるんで(笑)。その意味で、全体のストーリィを示すような一種の解決編のようなものを、1度区切りとしてやっておくべきだろう、というわけです。これは長く続いているシリーズが負っている一つの責任ですからね。

――では、来年はいちだんと期待できそうですね

原田氏:まあ、20周年になってから慌てて作り出して、完成した時には21周年になっているかもしれません(笑)。さもなければ、1年サバを読んで出すことになるかもしれませんが......期待には応えたいですね。

〈SPECIAL〉Interview with THE THIRD FLOOR inc

THE THIRD FLOOR inc
THE THIRD FLOOR inc

――プリビズというビジネスモデルの利点はありますか?

THE THIRD FLOORでは多くの映画監督を手助けするために、数百本の映画のシーケンスデザインのお手伝いをしてきました。「アバター」、「アベンジャーズ」、または「オズ はじまりの戦い」などが実績として挙げられます。プリビズは、本制作とポスプロの段階において、高いレベルの制作効率を約束することで、監督のビジョンを段階的にシーンに反映させることを可能にします。プリビズ技術は映画だけではなく、ゲーム業界においても重要なツールになるでしょう。最近のゲーマーは次世代ゲーム機上で展開されるカットシーンに、映画同様のクオリティを求めています。より表現力豊かなキャラクターと出会うことで、ゲームの世界へ引き込まれて、もっとプレイしたくなるでしょう。つまり、制作段階における効率性の向上だけに収まらず、プリビズを取り入れるべきもっとも重要なポイントは、物語を伝える能力を強化する点にあります。THE THIRD FLOORとプレミアムエージェンシーが協力し、共同の制作パイプラインを取ることで、限られた制作期間と予算内で、もっとも上質なデジタル映像を作り出すことが出来ます。この取組みは、制作の面でも、経済的な/コスト的な面においても「win-win」の関係であり、両社とも非常にわくわくしております。

――今回の鉄拳TT2のプリビズ作成において工夫した点はありますか?

ストーリー担当者のダッグ・レフラーと絵コンテチームが、より作品を理解し共通認識を持って作業をすすめて、それぞれのキャラクターに合わせたダイナミックでエキサイティングなデザインを行うことができました。そして、それらの絵コンテをベースに、Autodesk Maya 上での3Dカット割りの見本としてのアニマティクスリールを作成しました。最初のブロッキングのパスができたら、カットシーンが上手く流れる様に、シネマトグラフィー(映画撮影術)の見地から、どこを編集するべきカット部分がだいたい見えてきました。

――今回の鉄拳TT2のプリビズ作成において最も課題なったのは? またそれをどのように解決しましたか?

最も課題になったのはバンダイナムコのキャラクターリグに使える様なプリビズアニメーションを作ることです。最初から最後までシーンの継続性が失われないように注意を払い、全ての制作意図をシーンに盛り込めるよう Maya パイプラインチームは気を抜かず、日夜作業に当たりました。最終的に、努力を行った甲斐あって、鉄拳のファンが納得する演出を作ることができました。

――プリビズの今後の可能性について教えてください

THE THIRD FLOORとプレミアムエージェンシーでは、まずリッチなバーチャルワールドを3Dで作り、そこへ手付アニメとモーションキャプチャーにより動くキャラクターを入れ込み、そして、編集の際の参考資料として使用するため、それらをバーチャルカメラを使って実際に撮影します。従来の制作では、それらのプロセスは別々に分かれていますが、近い将来には、それらが一つになると確信しています。我々はワークフローを改善しながら、ライブ映像と同時に、さまざまなプロセスを現場で編集できるようにしています。このLIVEな(リアルタイムな)「バーチャルプロダクション」というプロセスは、監督がその場で適宜クリエイティブな判断を行うことを可能にし、結果、全てのカットが生き生きとしたシーンになります。そうすることで、デザイナーも演出や演技をリアルタイムで確認することができます。その場で使いたいレンズや撮影の仕方を選び、次のシーンの撮影が行う前にショットの確認を取ることもできます。両社は、これまで以上に、よりいっそう素晴らしいゲームを作るため、今後も、バーチャルプロダクション技術の開発と、その技術を持ったスタッフの育成に取り組んでいきます。我々は、全てのクライアントに対して、他の作品にはマネできないユニークなアドバンテージ(特徴)を作品の制作を通して提供していきたいと思っています。

導入製品/ソリューション Autodesk Entertainment Creation Suite
・Maya
・MotionBuilder
・3ds Max
・Softimage
作品概要 「鉄拳タッグトーナメント2」
対応機種 アーケードゲーム / PS3 / Xbox 360 / Wii U
ジャンル 対戦型格闘ゲーム
開発元 バンダイナムコゲームス
発売元 バンダイナムコゲームス
発売 アーケード:2011年9月
   PS3/Xbox 360:2012年9月
   Wii U:2012年12月
http://www.tekken-official.jp/tag2/ 鉄拳タッグトーナメント2
©2012 NAMCO BANDAI Games Inc.
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