『サイバーパンク 2077』のサイバーウェアとシネマティクス制作

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CD PROJEKT RED の『サイバーパンク 2077』は、近年最もリリースが待望されているビデオゲームの 1 つだ。2020 年 12 月の初回発売以来、世界中の数百万人ものゲーマーを魅了してきた。前年後半にリリースされた PC、PS5、Xbox Series X 版ゲームのアップグレードと、スピンオフ作品の Netflix オリジナル アニメーション シリーズ『サイバーパンク: エッジランナーズ』の成功を受けて、『サイバーパンク 2077』の人気が再燃。1 日あたりのアクティブ プレイヤー数が数週間にわたって 100 万人以上を記録した。拡張パック『仮初めの自由』の発売を目前に控えた現在は、数多くのファンたちが、奇想天外なナイト シティでの冒険を待望している。

そこで AREA は、開発の様子を詳しくお届けするべく、『サイバーパンク 2077』のリード シネマティック アニメーターを務める Maciej Pietras 氏にインタビューを行った。ベースとなるゲームの制作で Maya と MotionBuilder が果たした重要な役割や、未来のゲーム開発者に向けた思いやり溢れるアドバイス、さらには彼のお気に入りのサイバーウェアまで、さまざまな話を伺うことができた。

AREA の独占取材による Pietras 氏のインタビューをお届けしよう。

ーー自己紹介していただけますか?

Maciej Pietras 氏:こんにちは!CD PROJEKT RED のリード シネマティック アニメーターを務める Maciej です。約 9 年前からこのスタジオに在籍し、現在は「ポラリス」の開発に取り組んでいます。これは『ウィッチャー』シリーズの新サーガ、第 1 作目のコードネームです。

ーー『サイバーパンク 2077』では、どのような役割を担当されましたか?

MP:『サイバーパンク 2077』のリード シネマティック アニメーターである私の役割は、ゲーム内のストーリー コンテンツの品質を監督すること、アニメーターにサポートとフィードバックを提供すること、そしてシネマティック、クエスト、オープン ワールドの各チームと毎日協力しながら、できる限り質の高いストーリーを生み出すことでした。

ーー初めて 3D の仕事に取り組んだきっかけは何でしたか?そこからどのような経緯で CD PROJEKT RED に入社しましたか?

MP:初めて 3D 作品の制作に携わった時は、キャラクター アニメーションのみに専念しました。映画ファンである私は、アニメーションを媒体に、感情を揺さぶるドラマチックなストーリーを作りたいと思っていました。そうして CGI 業界のさまざまな分野を経験していたところ、『ウィッチャー 3 ワイルドハント』のゲーム シネマティクスに携わるチャンスに巡り合いました。チームに参加しないかというオファーに、私はすぐさま飛びつきました。私はゲームが大好きですし、感情を揺さぶるコンテンツをリアルタイムに創造するのは、途方もない挑戦のように思えたからです。

画像提供:CD PROJEKT RED
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ーー業務に欠かせない基本ツールは何ですか?何を、どのような目的で使用していますか?

MP:日々の業務では、MotionBuilder と Maya を使用しています。どちらのツールも、私たちのワークフローとパイプラインを補完する機能と、高い互換性を備えています。大量のモーション キャプチャ データを扱う際に最も重要なのは、リアルタイムのプレビューと処理速度です。この点では、MotionBuilder が優れています。サイバーウェアなど、複雑な設定を要するディテールの細かいオブジェクトのアニメーションを作成する作業には、Maya が欠かせません。ただし、アニメーターによって好みはさまざまです。CD PROJEKT RED では、ゲームにおける物語部分の構成要素として、膨大なアニメーション ライブラリを作成します。特定のアニメーション用にツールを選ぶ際には、常にスピードとクオリティの間でバランスを取ることを考慮する必要があります。

ーー「サイバネティック移植」やバイオテクノロジーは、『サイバーパンク 2077』のナイトシティの住人にとっては日常的な世界であり、ストーリーとゲームプレイの両面における重要な要素でもあります。サイバーウェアのアニメーション制作プロセスはいかがでしたか?特に気に入っている部分はどこですか?

MP:これはとても楽しいと同時に、困難な作業でした。はじめに、ビデオやショットなどの資料を基に、キーフレーム アニメーションのスケッチやプロトタイプをすばやく作成し、サイバーウェアが動作によってどのような感じになるかを視覚化しました。これらのプロトタイプは、コミュニケーション ツールとしても役立ちました。一貫性のある外観を構築するために、プロトタイプのモデリングを担当するキャラクター チームや、サイバーウェアの可動部全体を担当するリギング チームと連携しながら作業を進めました。私のお気に入りは、キロシ オプティクスです。マンティス ブレードなどのように派手な見た目ではないですが、シーンで最初に作成したので個人的に思い入れがあります。

画像提供:CD PROJEKT RED
画像提供:CD PROJEKT RED

ーーゲームの制作中、個人的にどのようなものからインスピレーションを得ましたか?

MP:チーム メンバーは、私にとっては大きなインスピレーション源の 1 つです。私はいつも、ストーリー/クエスト/シネマティクスの各デザイン チームとタッグを組んで緊密に連携しながら、ストーリー ゲームのコンテンツ制作における限界に挑戦しています。彼らの挑戦やアイデアからインスピレーションを受けることで、かつては思いつきもしなかった新たなアイデアや創造が生まれています。また、さまざまなゲームを調査するのも好きです。他のゲームがどのように構築されているか、他の開発者がどのようなソリューションを考案したか、などを研究します。絶え間なく挑戦し続けること。そして、常に前回のプロジェクトを超えることを目指して成長し続けること。私にとっては、それが究極のインスピレーションです。それこそが、アニメーションやゲーム業界における情熱と想像の原動力となります。2022 年に特に印象的だったゲームは、『エルデンリング』、『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』、『ホライゾンフォビドゥンウェスト』、そして『Chronicles of Myrtana: Archolos』です。

ーー『サイバーパンク 2077』のようなゲームの制作にいつか携わりたいと考えている学生や若い 3D アーティストに、何かアドバイスはありますか?

MP:そうですね、アドバイスは 2 つあります。まず、基本を学ぶことです。基本をしっかりと身につけて、理解することが重要です。ものづくりの基本原理をしっかりと理解することは、非常に重要です。一人のアニメーターとして、それから人事採用プロセスに関与する者として、この点を強調しておきます。それから、特定ジャンルのアニメーション分野について、深い知識を身につけましょう。たとえばシネマティック アニメーションの場合は、優れたアニメーション知識に加えて、カメラ動作の仕組みと理由、ショット間の編集やアクションのフロー、キャラクター動作の目的や動機などを理解する必要があります。ゲームプレイ アニメーションの場合はプレイヤーの視野を表現しますが、どのような入力があるか、シーケンス内の他のアニメーションとどのように連携するか、などを理解する必要があります。

そして、2 つ目のアドバイスです。ゲームの 3D コンテンツ制作には、技術的な分野からストーリー/キャラクター制作の分野まで、さまざまな役割の仕事があります。その内容を、オンライン リソースを大いに活用して学びましょう。さまざまに異なる役割の仕事があるため、自分自身が何が好きで、何が嫌いかをよく理解することが重要です。これらの職務には、1 つの共通点があります。それぞれに実践的かつ分析的なアプローチで、ビデオ ゲーム開発に携わるという点です。ゲームの制作過程について興味を持ち、理解することは、これからのアーティストにとって最も重要な要素の 1 つです。私がこれまで見てきた中で最も成功している人々も、そうした姿勢で仕事に臨んでいます。

私たちは、アーティストである以前に、ゲーム開発者です。これを、呪文のように時どき思い出すようにしてください。私たちの仕事は 3D ソフトウェアの中で評価される作品ではありません。プレイヤーの操るゲームの中で評価されるものだということです。

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