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ACE COMBAT ASSAULT HORIZON 
バンダイナムコゲームス Interview「より本物らしく、より効率的に――リアルかつ高密度な"実在都市"再現手法」

ACE COMBAT ASSAULT HORIZON バンダイナムコゲームス Interview「より本物らしく、より効率的に――リアルかつ高密度な

2012.01.24

  • Maya
  • ゲーム

実在する都市に似せるためのポイント

――手作業でやるにはスタッフの負担が大きすぎると?

千家氏:私は監修作業に従事していたわけですが、鈴木君たちが死にそうな眼をして建物を1個1個置いているのを見て、これはただ事じゃない、と。何とかしなければと思い、当時はプロジェクト全体がかなり忙しくて、こうした問題点を検証している余裕が全くなかったので、手が空いたスタッフにどんどんヘルプで入ってもらいながらとにかく頑張ってもらって、ひと区切りついた処......ちょうど「東京」を作るあたりで、問題の箇所をもう一度全部洗い直し、効率良く作業していく方法を考えたわけです。

自動配置ツールで地図データを元に建物を自動配置する。 ※画像は開発中のものです。

――そこで2番目の課題の答えが?

千家氏:ええ。これも答えは単純で、実際の街を測量して作った地図データを活用したんです。実際の地図やカーナビ等にも使われる、精度の高い地図データ作成に実績を持つ会社から、東京の建物や道路などの情報がデジタルデータ化されて入っている高精度の地図データを購入しました。このデータを社内開発したツールを用いて直接Mayaへ取り込み、自動的に建物を立体化し配置していったわけです。この手法により大幅な効率化が実現できました――が、実際の東京の風景に似せていくには、さらに幾つもの工夫も必要になりました。"似せ方のポイント"といいますか、これを一種のガイドラインとしていくことで、本物そっくりの東京を効率的に再現したんです。

――では、3つ目の課題とは?

千家氏:3つ目の課題は、処理負荷の増大やメモリの制約に対する対応です。大変な苦労をして本物通りの町並みを作りあげても、ゲーム機で処理できなければ意味がありません。実際、このゲームでは敵味方の戦闘機が入り乱れて戦い、爆発や炎上などのエフェクトもリアルタイムで発生します。背景も含め全パートが、そのゲーム機のスペックの制約の中で成立しなければならないんですね。ですから、本物の都市そのままの背景生成をいかにして高速化し、ゲーム機というお皿に載せて供するか。そのアプローチの仕方が課題となりました。......この取組みのうち、代表的なものが"建物のインスタンス化"です。これは似た形状の建物を共通のモデルに置き換えて一気に処理して、実機での高速描画を可能にしようという仕組みです。有効な手法でしたが、建物モデルを同じ形状で複製して並べただけでは使い回しが丸分かりでリアリティを損ないます。だから建物を複製し配置した町並みを、どうやって前述の地図データや実際の風景に似たカタチに並べられるか? という処で、前述の"似せ方のポイント"の工夫が必要になったのです。

――その"似せ方のポイント"をご紹介ください

千家氏:まず1つ目は、誰もが知る有名な建物を再現する、です。東京ならではの見慣れた有名な建物を置くことで、"らしさ"がぐっと増します。実際、今回の東京マップだけでも、そうした有名な建物を50前後作りました。私たちがいるバンダイナムコゲームスの建物も作ってありますので、探してみてください。

――似せ方の2つ目、3つ目は?

千家氏:その街の特徴を示す建物形状の再現です。たとえば、デトロイトといえば自動車工場の街、ハワイなら観光ホテルといった、街自体が持っている特徴をきちんと捉えて似せていくわけです。東京なら新宿のオフィスビル、港湾部の倉庫建物、また晴海周辺は新興の高層マンション......。こうしたイメージを把握して再現することで街に個性を持たせるんです。また3つ目は、都市の輪郭を再現するということですね。高層ビルが林立するマンハッタンなど、街それぞれの特徴的な輪郭を似せていこうというわけです。ただ、東京は駅ごとに発展してきた感じで都市全体の輪郭が捉えにくかったです。そこで建物の高さデータまで含んだ前述の地図データから復元していく形で進めていきました。

平均2.5カ月かかっていた工程を数日に短縮

大量の建物モデルを"整列ツール"で整列させインスタンスモデルの建物を選ぶ。※画像は開発中のものです。

――そうなるとインスタンス化も大変そうですね

鈴木氏:ええ。前述の"有名な建物"は手作業で配置しますが、問題はそれ以外の膨大な似かよった建物です。東京マップの場合、こうした類の建物を3万棟もインスタンス化しなければなりませんでした。これほどの数になると、自動生成した中から似た形状を探して集めるだけでも大変です。そこでこれもツールを社内開発し、自動化し効率化していきました。"自動配置ツール"で配置された大量の建物は"整列ツール"で整列させ、大きさや形状で選別しやすくします。そして、そこから基準となるベースモデルを選び、これをインスタンス元として同形状のグループ内で置き換えていきます。東京マップでは、このようなやり方で3万棟の建物を200棟程度のインスタンスモデルに置き換え、大幅な工程の効率化や処理の高速化が図れました。

――社内ツールはどのように開発されたのですか

鈴木氏:たとえば地図データを読込むツールの場合、地図データを他の仲介ツールを介さず、ダイレクトにMayaへ持っていって編集できる状態にするのが狙いでした。地図データとはどんなものか、テクニカルスタッフと事前に話しておき、サンプルデータが届き始めた段階ですぐ「どう読ませて・どうMayaでポリゴン化していくか」話し合って決めていきました。その上でGUIを実装してもらったんです。ですから、ツール作りといっても2〜3週間程度でできたと思いますよ。

――その地図読込みツールはどのような仕組みのツールですか

鈴木氏:地図データでは日本列島は碁盤目状にマス目で区切られ、管理番号が割り振られています。私たちのツールはこの対象地域のマス目に相当する管理番号と、建物の種類などの属性情報を一覧表示できるようにしています。そしてこの管理番号と、そこからどんな情報を読むかを指定し、後は読込みボタンを押すだけで、データを読込んでその建物の角の座標(緯度・経度)からMayaの座表に対してポリゴンの頂点部分を生成し、平面ポリゴンを自動作成します。各ポリゴンにはそれぞれの属性情報も割り当てられ、最終的に高さ情報を与えると、立体となって位置や向きも自動修正します。

――こうした新ツールや新手法による効率化の効果は?

千家氏:これまで平均2.5カ月程度かかっていた手作業の工程を、一気に短縮して数日で完結できるようになりました。単純計算で約2.5カ月分のコストを圧縮できたことになります。また、これは品質向上にも寄与しています。何しろ今まで目視で合わせて行っていたのを、地図でも使われる高精度なデータを活用できるようになったのですから、誤差が減り、本物に似せやすくなりました。実際、再現すべき箇所の精度をこれだけ高められたのは、一番大きなポイントだったと言えますね。

――効率化して空いた時間は別の作業に充てたのですか?

千家氏:ええ。そこにかけていた時間を減らして、そのぶん他箇所に力を注ぐことができました。前述の"有名な建物"づくりです。ですから東京のマップは、手作りした建物が他の都市よりもずっと多いんですよ(笑)。

東京MAPの完成画像
東京MAPの完成画像。※画像は開発中のものです。

――では、東京のマップはユーザの評判もよかったのでは?

千家氏:東京はダウンロードコンテンツなので、まだリリース前なんです(2011年12月21日より配信中)。ただ、出来上がったとき社内のメンバーに見せて、実際にこのマップでプレイしてもらったんです。これは16人くらいで一斉に対戦できる面なんですが、開始と同時に大きな歓声が上がりましたね。そして、みんなマップの各所を見て回るばっかりで全然戦闘になりませんでした。ある意味、背景班としては狙い通りの反応だったんで、とても嬉しかったです。

――今後の目標をお聞かせください

千家氏:より効率の良い制作手法に一番興味があります。どうやって効率の良い自動的なものづくりを進めるか。より情報量を増やしながらより手作業を減らしてものを作っていくにはどうすればいいか......。今回もそうした処で多くの課題を感じたんです。たとえば建物の立体化配置等についても、もっとスマートに作って並べる方法を研究したいと思っています。仮に架空の都市という以前の路線に戻ったとしても、今さら手作業に戻るわけにはいかないでしょうから。
鈴木氏:私も同じで、デザイナーがいかに簡単に、ボタンひとつで作業できるか、ということを追求したいですね。今回も整列ツールで並べてインスタンス化するという工程では、まだデザイナーの手が入っています。こういう処も自動的にできないか、と考えているんです。あとはMaya等のツールでどれだけ自動的にできるか、ということも今後の研究対象になりますね。

導入製品/ソリューション ・Autodesk Maya
導入目的 ・超音速・大破壊シューティングゲームのメインツールとして
・限られたスケジュールのもと新たな表現を追求し品質向上を図るため
導入ポイント ・あらゆる課題に対する柔軟性に富んだ対応力
・活用ノウハウの豊富な蓄積
導入効果 ・新しい背景制作手法の開発
・各種社内ツールの開発とこれによる自動化の推進
・上記による効率化の推進
今後の課題 ・さらなる自動化推進による品質向上と生産性向上
・3D CGアニメーションの新たな表現手法の開発
作品概要 「ACE COMBAT ASSAULT HORIZON」
対象機種 PS3 / Xbox 360
ジャンル 超音速・大破壊シューティング
プレイ人数 オフライン1人/オンライン2〜16人
http://www.acecombat.jp/ah/

「ACE COMBAT ASSAULT HORIZON」


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※画像は開発中のものです。

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