Maya

膨大な実績を誇るハイエンドな3Dアニメーション ソフトウェア
Image courtesy of Massimo Righi.
Maya 2020

Maya 2020 新機能概要

Maya 2020 では、制作パイプラインを通してアーティストを支援することを念頭に、新しいツールと更新が追加されました。アニメーター、モデラー、リガー、テクニカル アーティストはより迅速かつ直感的に作業できるだけでなく、クリエイティブなプロセスをより楽しく進めることができます。

・60+ のアニメーション機能:Maya 2019 で導入された強力なアニメーション機能をベースに、本リリースでは 60 以上の新しいアニメーション機能および更新が追加され、アニメーターに日々の作業の中で活用してもらえるようになりました。

・キャッシュされた再生:イメージ プレーンとダイナミクス用の新しいプレビュー モードおよび効率的なキャッシングを使用すれば、アニメーターはより高速にアニメーションを再生して、結果を予測できます。

・アニメーション ブックマーク:アーティストは、再生範囲を瞬時に変更したり、特定のイベントを時間に合わせてマーク、ナビゲート、整理できます。

アニメーション ブックマーク

・Arnold GPU:Maya 2020 には、CPU と GPU の両方のプロダクション レンダリングに使用できるようになった Arnold 6 が含まれています。

・Bifrost for Maya:大幅なパフォーマンスの改善、キャッシュされた再生のサポート、新しい MPM クロス コンストレイント コンパウンドにより、Maya のビジュアル プログラミング環境がさらに強化されています。

・ビューポートの改善:高密度のジオメトリのやり取りや選択、ビューポートと UV エディタでの細かなメッシュの大量処理がより高速で行えるようになり、パフォーマンスが著しく向上しています。

・モデリング機能:新しい再メッシュとリトポロジ機能を使用すれば、モデラーはモデルのクリーンアップに要する時間を短縮し、モデリングに時間をかけることができます。

・リギングの向上:行列制御型ワークフローと新しいラップ デフォーマなどの更新により、リガーとキャラクタ テクニカル ディレクターの作業が簡易化します。

Maya のアニメーション

Maya のコアとしての強みであるアニメーションは、リリースのたびに改良されています。アニメーション ワークフローの高速化と、アーティストがよりクリエイティブに取り組めるようにすることに焦点を当てることで、リアルで本物そっくりのキャラクタの動きを作成できる主力ソリューションとしての Maya の基礎を築いてきました。Maya 2020 は、Maya 2019 で導入された強力なアニメーション機能をベースに、60 以上の新しいアニメーション機能と、キャッシュされた再生、グラフ エディタ、タイム スライダなどの更新を提供します。

キャッシュされた再生

Maya 2019 で初めて導入されたキャッシュされた再生は、ビューポートでのアニメーション再生速度を上げるバックグラウンド処理です。アーティストはアニメーションの反復をビューポートですぐに評価できるので、時間をかけて複数のプレイブラストを作成したり、クリエイティブ面でフラストレーションを感じる必要がありません。

キャッシュされた再生は継続的にシーンを評価して、アーティストのアニメート時にバックグラウンドで変更を計算し、シーンをメモリにキャッシュします。アーティストが変更を加えると、Maya は影響を受けるフレームのみをインテリジェントに再度キャッシュします。その後再生ボタンを押すと、フレームは既にキャッシュされているため、Maya は高いフレームレートでシーンを再生します。

キャッシュされた再生の最新の更新により、アニメーター ワークフローがさらに高速化しました。

・レイヤ化されたダイナミクス キャッシング:新しいレイヤ化されたダイナミクス キャッシングは、ダイナミクス(エフェクト)のバックグラウンド処理と、シーン内のコア アニメーションを分離します。2 番目のレイヤでダイナミクス キャッシングをオンにすれば、アーティストはアニメートを続けながら、クロスやマッスルなどのシミュレーションをリアルタイムで実行して確認できます。

新しいゴースト化プレビュー

・アップグレードされたイメージ プレーン キャッシング:多くのユーザーからの要望に応え、イメージ プレーンは、キャッシュされた再生によるアニメーションと同じ方法でキャッシュされるようになりました。シーンにイメージ プレーンに適用されたイメージのシーケンスがある場合、再生中にイメージをロードするのではなく、評価キャッシュ内に直接イメージを保管できるので、再生が大幅に高速化しています。

アップグレードされたイメージ プレーン キャッシング

・スムーズ メッシュ プレビューのサポート強化:スムーズ メッシュ プレビューのメモリ使用量が低減し、可能な場合は GPU でプレビューを実行できるようになりました。これが特に便利なのは、高密度で大量のアセットを含むシーンで作業していて、すぐにメモリの上限に達するような場合です。

・カスタム プラグイン向けの API サポート強化:技術系のユーザーは、作成したノードにカスタム設定を設定できるようになったので、アーティストに多大な負担をかけずに、カスタム プラグインでのキャッシュされた再生の即時サポートを有効化できるようになりました。さまざまな設定とプリセットを記述して、キャッシュされた再生の柔軟性をフル活用することで、アーティストがキャッシュするものと無視するものの優先順位を付けて、パフォーマンスをさらに向上できるようにします。

・新しいゴースト化プレビュー:新しいゴースト化プレビュー機能を使用すると、アニメーターは前後の動きの外観を確認できます。この機能は、きめ細かい動作が必要なシーンに積極的に取り組む際に便利です。今までのアニメーターは、紙をめくってアニメーションの動きを確認していました。同様のことをこの機能で行えます。アニメーションを、フレームをまたいでチェックできるため、動きを把握したり、アクションの円弧と線をより簡単に確認できます。この機能を使用する際は、一部のフレームを選んで表示します。フレームの外観のコントロールも、使用可能なオプションを通じて適宜調整できます。

新しいゴースト化プレビュー

アニメーション ブックマーク

新しいアニメーション ブックマークを使用すると、Maya のタイム スライダで再生範囲をフレームに収められるだけでなく、特定のイベントを時間に合わせてマーク、ナビゲート、整理できます開始フレームと終了フレームを選択し、ブックマークに異なる色を割り当てれば識別しやすくなります。ブックマークにカーソルを合わせると、タイム スライダでそのブックマークが占める時間がはっきりハイライトされます。

オーディオ機能

タイム スライダの新しいオーディオ ボリューム コントロールにより、マルチタスク時のオーディオ調整が簡単になります。たとえば、Maya で作業しながら音楽やオンライン コースを聞く場合に便利です。いくつかの新しいオーディオ機能を使えば、オーディオ クリップの管理も容易になります。

・サウンドを削除:この新しいサブメニューでは、シーンの既存のサウンドをタイムラインから直接削除することができます。

・波形表示設定:波形表示ビューを「上部」(タイムラインの上から下に描画)、「下部」(タイムラインの下から上に描画)、「中心合わせ」(タイムラインの中央で描画)間で切り替えるプリファレンスに、オーディオ メニューから直接アクセスできるようになりました。

・アウトライナにサウンドを表示:多くのサウンド ファイルを含むシーンを処理する場合、オーディオや削除メニューからさまざまなサウンドすべてを管理するのは困難です。この解決策として、アウトライナに常にサウンド ノードが表示されるようになりました。ユーザーは簡単にサウンド ノードを名前変更したり、削除やミュートを行えます。

オーディオ機能

接線モードの更新

グラフ エディタで既定の接線モードを簡単に変更できるようになりました。接線スタイルが変更されると、明確にハイライト表示され、以降のキーは引き続きそのモードを使用します。またアーティストは、既定の接線ウェイトおよびイン接線/アウト接線をプリファレンスでなくグラフ エディタ内で直接調整できるため、より少ない手順で設定に変更を加えることができます。

接線モードの更新

カラー テーマ

複数のカラー テーマを使用できるため、ライト、ダーク、クラシックなグラフ エディタのカラー テーマをすばやく選択できます。独自のテーマを作成してスクリプトとして書き出せば、他の人と共有したり、次に使用するときに備えて保存しておくことも可能です。

カラー テーマ

新しいリベット コンストレイント

コンストレイント メニューの新しいリベット コンストレイントは、変形メッシュに直接アタッチするロケータを作成するためのワンクリック ソリューションを提供します。アーティストは、シーン内のフェース、ポイント、UV を選択して、すばやくロケータを生成できます。

新しいリベット コンストレイント

新しいホットキー

多くの新しいホットキーにより、Maya 内でより素早く簡単に UI をナビゲートしたり、特定のタスクに取り組むことができます。以下にいくつか例を紹介します。

・MotionBuilder と同様の x 線の切り替え:新しいAlt + a ホットキーを使って x 線モード間を順番に切り替え、ジョイント、コントロール、キャラクタをすばやく確認できます。

・キーフレームと接線のマーキング メニュー:Shift + s で表示できるマーキング メニューは、キーと接線の多様なオプションを提供します。

・4 つの新しい表示切り替えホットキー:頻繁に NURBS カーブのオン/オフを切り替えて、コントローラの表示/非表示を切り替えることができます。メニューを使用する手間が省け、最も一般的なアクションを簡略化できます。
 ・NURBS カーブ: Alt + 1
 ・ポリゴン メッシュ: Alt + 2
 ・イメージ プレーン: Alt + 4
 ・ワイヤフレーム付きシェード: Alt + 5

・左右にキーを微調整:新しいホットキーを使用して、選択したキーを簡単に左または右に微調整できます。
 ・左方向: Shift + 9
 ・右方向: Shift + 0

・前後のキーフレームを選択する:スクラブ コマンドをしっかり再現するものとして選ばれた新しいホットキーを使うと、前後のキーフレームの選択作業が高速化します。この機能はグラフ エディタで既に使用できますが、新しいキーはグローバル レベルで機能します。これらのホットキーを上記の微調整ワークフローと組み合わせると、ワークフローや仕上げをスピードアップできます。
 ・前のキーフレームを選択する: Ctrl + Alt + ,
 ・次のキーフレームを選択する: Ctrl + Alt + .  

Maya のレンダリング

Arnold 6

Arnold 6 が Maya 2020 に搭載され、CPU と GPU の両方のプロダクション レンダリングに使用できるようになりました。ワンクリックで CPU と GPU レンダリングをシームレスに切り替えて、ユーザーは特定のニーズとワークフローに最適なレンダリングのタイプを選択できます。ルック デベロップメントからインタラクティブ ライティングまで、Arnold の GPU レンダリングならユーザーのワークフローがスピーディかつパワフルになるため、最終イメージの品質に近いレンダリングをインタラクティブに作業可能なスピードで生成し、作業を進めることができます。シェーダーやライティングを調整するとリアルタイムで画面に反映されることから、アーティスティックな作業に時間をかけることができます。

Arnold 6 ではまた、アダプティブ モードとマルチスレッド モードでのハードな折り目のサポート、粗い誘電体のマイクロファセット間での複数散乱のサポート、Physical Sky シェーダの改善、オーレン ネイヤー拡散反射光 BRDFの粗さマップの改善、Standard Surface シェーダにおける薄い壁の粗いトランスミッションの改善、より正確なアルベド AOV、新しい AOV Write Vector シェーダも追加されています。

新しい Standard Surface シェーダ

レンダラーに依存しない新しい Standard Surface シェーダでは、微調整するパラメータは少なくなり、コントロールはアーティストにとってより使いやすく直感的になったため、Maya でのマテリアル作成ワークフローが向上しています。

ライト エディタの改善

ライト エディタの改善により、ライトの追加、有効化/無効化、複数のライトの同時調整、レンダー レイヤのライト アトリビュートのオーバーライドを簡単に行えるようになりました。ライト グループを.json ファイルとして書き出し、他のシーンで再利用することも可能です。

レンダリングの設定の改善

レンダリングの設定にいくつかの改善が行われ、オブジェクトのシェーディングをより詳細にコントロールできるようになりました。たとえば、ランプ テクスチャのそれぞれの位置マーカーのカラー、位置、ノイズといったアトリビュートをオーバーライドして、.json ファイルとして書き出し、他のシーンで再利用することができます。

Maya の本格的なエフェクト

SIGGRAPH 2019 での Bifrost for Maya の最初のリリースに続き、最新の更新(Bifrost 2.0.3.0)では新しいビジュアル プログラミング環境がさらにパワフルになりました。パフォーマンスと安定性の大幅な改善、キャッシュされた再生のサポート、Arnold のサポート強化、新しいシミュレーション機能が導入されたほか、あらかじめ用意されたグラフが増えたことでアーティストが作業を始めやすくなっています。また、ユーザーからのフィードバックに基づいて、100 以上のバグが修正されたうえに、ユーザーは独自のグラフやコンパウンドを AREA のコミュニティで共有できるようになりました。

・高速な Bifrost:ボリュームデータを扱う作業では、ビューポートのパフォーマンスが最大で 2 倍高速になりました。また Bifrost グラフは Maya の DG 評価ルールを有効活用できるようになったので、さらなるスピードアップにつながります。

・キャッシュされた再生のサポート:ほとんどの Bifrost グラフ(シミュレーション グラフを除く)で、キャッシュされた再生がサポートされるようになりました。

・Arnold のサポート強化:Arnold は Bifrost で作成されたアダプティブ ボリュームを高速でレンダリングしたり、Bifrost でインスタンス化したボリュームをサポートできるようになりました。

・MPM クロス コンストレイント:新しいコンパウンドにより、MPM クロスのコンストレイントがずっと簡単になりました。

MPM クロス コンストレイント

・UNC パス サポート:Windows の UNC パスから、Bifrost(任意のコンパウンドを含む)をロードできるようになりました。

・ユーザー エクスペリエンスの向上:グラフ エディタのパラメータ エディタとスタート画面が改良され、より魅力的な外観でナビゲートしやすくなりました。アーティストはワンクリックで Bifrost ブラウザを開き、新しいグラフを作成して、AREA の Bifrost コミュニティ ハブにアクセスできます。

・ビジュアル プログラミング ツールキットの改善:新しい数学ノード、配列操作、処理ノードが使用できるようになりました。

・Bifcmd の改善:サード パーティのカスタムコンパウンドに依存する Bifrost グラフを、コマンド ラインで直接実行できるようになりました。

・新しいあらかじめ用意されたグラフ:今回の更新では、すぐに使える新しいグラフが多数 Bifrost ブラウザに追加されたので、火炎からクロス シミュレーションまでさまざまな作業を始めやすくなります。

ビューポートの改善

すばやい選択 & ビューポートのパフォーマンス

高密度のジオメトリとのやり取りや選択、ビューポートや UV エディタにおける多数の細かなメッシュの作業が迅速に行えるようになりました。これによりパフォーマンスが大きく向上し、アーティストは事前選択ハイライトをすばやく確認したり、より簡単にナビゲートできます。選択項目の分離といった全般的な処理もスピードアップしています。

新しいモデリング機能

再メッシュ

ポリゴンモデリングでは、メッシュの粗い領域で操作可能なポリゴンが不足することがあります(ポリゴン数が少ない頭部から角を押し出す場合など)。再メッシュ ツールでは、メッシュ上の任意の領域のトポロジを再定義することで、モデルで追加のディテールが必要な場所を正確に特定します。メッシュをさまざまな密度で均等に再三角形化することができ、フェースを均一に配分できます。

再メッシュ

リトポロジ

リトポロジは再メッシュとの併用に最適です。モデラーは再メッシュでメッシュを必要な密度にし、リトポロジでそのメッシュをすばやく簡単にクリーンアップできます。リトポロジにより、サーフェス トポロジを均等に分散した四角形に再構築しながら、元のメッシュ形状を保持する新しいクリーンなトポロジを生成できます。その結果、パイプラインを継続してたどることのできる、変形可能で生産に適したメッシュを得られます。アーティストは再メッシュとリトポロジを組み合わせることで、モデルのクリーンアップにかかる時間を短縮します。

リトポロジ

高密度メッシュ

Maya 2020 では、UV エディタで UV を編集する際のパフォーマンスが改善されています(特に高密度メッシュを使用する場合)。

リギングの向上

新しい行列制御型ワークフロー

新しい行列制御トランスフォームと操作ノードを使用すれば、シーン内のノードおよびコネクションの複雑さを大幅に軽減して、パフォーマンスを格段に向上させることができます。以下のような点が改善されています。

・新しいオフセット親行列入力アトリビュートにより、単一のコネクションを使用してトランスフォームをコントロールできるため、変換値を制御する他の方法よりもシーンの複雑さを軽減し、DGの評価時間を短縮できます。

・新しい行列ウィジェットを使用すると、行列の値(未処理および分解されたビュー内の両方)をアトリビュート エディタで直接編集できます。便利な右クリック メニューで使用できる一般的な行列操作により、トランスフォームをより直感的に操作できるようになりました。

・行列のブレンド ノードを使用すると、特定の行列操作の結果を組み合わせることができます。

・行列の選択アトリビュートを使用すると、変換行列成分のフィルタと抽出を簡単に行えます。

・エイム行列ノードを使用すれば、別のアトリビュートを通してエイムや方向といったコンストレイント動作を定義できます。

新しい行列制御型ワークフロー

ジオメトリに固定

新しい近接ピン ノードおよび UV ピン ノードを使用して、変形ジオメトリ上の位置を正確にトラックできます。これらのノードは、シャツにボタンを付ける単純なコンストレイント リグを設定するなど、キャラクタにプロップを追加する場合に特に便利です。

ジオメトリに固定

新しい近接ラップ デフォーマ

新しい GPU アクセラレート対応の近接ラップ デフォーマにより、ワークフローでのメモリの使用が効率化し、パフォーマンスが大幅に向上します。

新しい近接ラップ デフォーマ
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