レンダリング ソフトウェア
機能
Arnold 5.4 のご紹介
Arnold 5.3 をベースとする本リリースでは、GPU レンダラーの OSL および OpenVDB の初期サポート(現在はベータ版)を含む重要な更新が追加され、ワークフローのスピード、パワー、柔軟性が強化されています。
Arnold 5.4 にはまた、ジオメトリをクリップするための新しいシェーダー、Alembic サポートおよびプログレッシブ サンプリングの強化、新しい Bifrost プロシージャルが導入されているため、Maya の新しいビジュアル プログラミング環境でプロシージャル ジオメトリおよびボリュームを直接レンダリングできます。
課題
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時間のかかる反復サイクル
バッチ レンダリングを実行して最終的な仕上がりを確認するには時間もコストもかかります。それまでアーティストは、簡略化された表示を基に最終イメージを推測しながら作業しなくてはならないことがよくあります。
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複雑さの管理
ますますデータセットのサイズが増大し、シーン ファイルの複雑性が高まるなか、ワークフローが滞って生産性が低下し、大型プロジェクトの受注が困難になることがあります。
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最新のハードウェア テクノロジーの活用
ツールセットを統合してカスタム ワークフローを構築する場合、技術的な障害を効果的に回避するには膨大な投資が必要になることがあります。
ARNOLD 5.4 のソリューション
Arnold GPU で柔軟性の高い環境を実現
ルック デベロップメントからインタラクティブ ライティングまで、Arnold の GPU レンダリングならユーザーのワークフローがスピーディかつパワフルになります。CPU と GPU をシームレスに切り替えてレンダリングできるため、柔軟性の高い環境を実現。アーティストやスタジオは特定のニーズ、ワークフロー、パイプラインの段階に最適なレンダリングのタイプを選択できます。
3 月に発表された Arnold GPU パブリック ベータ版では、一部の機能で GPU レンダリングが初めて搭載されました。初期リリースでほとんどのシェーディング ネットワーク、ヘア、SSS、大気、インスタンス化、プロシージャルがサポートされ、Arnold 5.4 で以下のサポートが追加されました。
- Open Shading Language(OSL)
- OpenVDB ボリューム
- ボリューム ディスプレイスメントおよびボリューム サンプル シェーダー
- Randomwalk v2 サブサーフェス スキャッタリング
- 標準サーフェスでの透過の拡散
- ライト ポータル、円形ライト、円柱ライト、低いライトのしきい値
- 屈折および間接照明でのノイズ減少
今回、OSL および OpenVDB のサポートにはいくつかの制限があります。詳細については、Arnold ドキュメント ポータルのサポートされている機能と既知の制限事項および Arnold GPU のハードウェアおよびドライバ要件を参照してください。
Bifrost プロシージャル
Arnold 5.4 は Maya の新しいビジュアル プログラミング環境である Bifrost をサポートしているため、エフェクトの最終的なピクセルのプレビューを Arnold ビューポートで表示して、プロシージャル ボリュームおよびジオメトリをレンダリングできます。Arnold は以下の Bifrost ジオメトリ タイプをすべてサポートしています。
ボリューム
Bifrost の強力なマルチ解像度ボリュームを Arnold で直接レンダリングできます。アーテイストは進行中のシミュレーションを Arnold ビューポートまたは RenderView でプレビューできます。またビューポート 2.0 レンダリングも Arnold の結果に非常に高い精度で一致します。いずれかを使用すれば、ボリュームを使用するエフェクトがライティングやレンダリング適用後にどう見えるのか、当て推量で作業することがなくなります。
ストランド
ヘアやファーから、けば、衣服、草、鉄線さらには塵に至るまで、アーティストは多数のストランドとしてうまくモデル化したものを頻繁に作成する必要があります。Bifrost ならプロシージャルにその作業を行い、Arnold を使ってヘア シェーダーではリボン、サーフェス シェーダーでは円柱としてレンダリングできます。
インスタンス
Bifrost のレンダリング向けの高性能なインスタンス化機能によって、非常に複雑なシーンを作成できます。アーティストはレンダリング可能なあらゆるアセットをインスタンス化できます。メッシュ、ボリューム、ストランド、ポイントなどの Bifrost ジオメトリに加え、.ass ファイルなどのレンダリング アーカイブ形式の完全にレンダリング可能なアセットもここに含まれます。インスタンス シェイプも、シンプルな方法でさまざまなレイヤーから選択して簡単に調整できるようになりました。たとえば、草と花を区別するレイヤーもあれば、ドリル ダウンしてそれぞれのバリエーションを選択するレイヤーもあります。
Bifrost プロシージャルに関する詳細は、Arnold ドキュメント ポータルのBifrost ページを参照してください。
Clip Geo シェーダー
新しい Clip Geo シェーダーで、シーンの一部を簡単にクリップできます。これは、マシンの内部動作、製品のパーツ、建物の内装を視覚化するときに特に便利です。
パフォーマンスの向上
効率とパフォーマンスを最大限に高めるために、Arnold 5.4 には数々の改良が施されています。
- アダプティブ サンプリングによる高速な収束率
- CPU および GPU でのプログレッシブ サンプリングでノイズが減少
- Alembic レイヤー機能、および Alembic プロパティとして Arnold プロパティとマテリアルをサポート
- MaterialX 標準ライブラリ サポートの強化
- 高速のシーン作成および破棄(特に Windows)
- トレース セットのよりシンプルなセットアップ
- AOV read シェーダー
- GPU、オペレーター、Alembic の安定性が向上
Arnold 5.4 のアップデート内容全体については、リリース ノートを参照してください。
プラグインの改善
Arnold 5.4 の新機能と改善に加えて、Autodesk® Maya®、Houdini、Cinema4D、Katana、Autodesk® 3ds Max® の Arnold プラグインにいくつかの更新を行いました。注目すべき点は次のとおりです。
- Maya(MtoA):Bifrost の統合とオペレーター UI の改善
- Houdini(HtoA):マテリアル コンテキストのサポートと Alembic の改善
- Cinema4D(C4DtoA):IPR ウィンドウ、プロシージャル、オペレーターの改善
- Katana(KtoA):MaterialX ワークフローの改善
- 3ds Max(MAXtoA):Arnold ライトのビューポート表示、Alembic とプロシージャルの改善、テクスチャのベイク処理の改善
各プラグインのリリース ノートはArnold ドキュメント ポータルでご覧いただけます。
関連資料
Arnold Answers は、すべての Arnold ユーザーにご参加いただけるテクニカル Q&A フォーラムです。