レンダリング ソフトウェア
Arnold GPU パブリックベータ版を搭載した Arnold 5.3 が登場
Arnold 5.3 には初めて Arnold GPU のベータ版が搭載され、一部の機能ではレンダリングに CPU と GPU のどちらを使用するか選べるようになりました。リアルタイムのルック デベロップメントからインタラクティブ ライティングまで、Arnold GPU ならユーザーのワークフローがスピーディかつパワフルになるため、反復サイクルとレビューにかかる時間を短縮できます。CPU と GPU をシームレスに切り替えてレンダリングでき、柔軟性の高い制作環境を実現。ジャンルや分野を問わず、アーティストやスタジオの作業効率を向上させることができます。Arnold 5.3 には、新バージョンのランダムウォーク SSS モード、アダプティブ サンプリングのパフォーマンスの向上、オペレーターの UX の改良のほか、レンダリング処理を細かくコントロールするための機能強化など、さまざまな新機能が搭載されています。
パブリックベータのArnold GPUを含むArnold 5.3はこちらからダウンロードできます。リリースノートはこちらをご覧ください
課題
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時間のかかる反復サイクル
バッチ レンダリングを実行して最終的な仕上がりを確認するには時間もコストもかかります。それまでアーティストは、簡略化された表示を基に最終イメージを推測しながら作業しなくてはならないことがよくあります。
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複雑さの管理
ますますデータセットのサイズが増大し、シーン ファイルの複雑性が高まるなか、ワークフローが滞って生産性が低下し、大型プロジェクトの受注が困難になることがあります。
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最新のハードウェア テクノロジーの活用
ツールセットを統合してカスタム ワークフローを構築する場合、技術的な障害を効果的に回避するには膨大な投資が必要になることがあります。
インタラクティブ:GPU ベースの高速レンダリングにより、最終イメージの品質に近いレンダリングをインタラクティブに作業可能なスピードで生成し、作業を進めることができます。
- シェーダーやライティングを調整するとリアルタイムで画面に反映されるため、アーティスティックな調整により時間をかけることができます。
- ルック デベロップメントではスピーディな作業環境が整っているため、すばやくイメージにデノイズ処理を行い、初回プレゼンテーション用のイメージや最終的なルックを仕上げられます。
- ライティングの作業効率も向上しており、ライティングをプレビューして問題点をその場で特定できるようになりました。もう仕上がりを確認するために一晩かけてレンダリングし、フィードバックを受け取ってから判断するといった必要はありません。
柔軟性:ワンクリックで CPU と GPU をシームレスに切り替えてレンダリングできます。
- Arnold GPU は独立したレンダラーではなく、Arnold の CPU レンダリングと同じ設定、インターフェイス、ノード、実行ファイル、コードベースを使用します。
- Arnold GPU の目的は、ピクセル、機能、API において CPU レンダリングとの互換性を確保し、ユーザーが固有のニーズやワークフローに最適なレンダラーを選べるようにすることです。
- 制作全体にわたるアーティストやスタジオのワークフローの最適化を通して、修正版の納品までの期間を短縮するとともに、これまで手間のかかっていた作業を簡単に管理することができます。
拡張性:CPU レンダリングでも、大規模なビジュアル エフェクトやアニメーションのプロジェクトを手掛けるスタジオなら、最終フレームのレンダリングのためにすばやく拡張することが柔軟にできます。一方、Arnold GPU レンダリングでは、アーティスト個人や小規模なスタジオでも簡単に反復作業をスピードアップしたり、必要に応じてレンダリング能力を拡張できるようになります。
- Arnold を使用すると、最新のテクノロジーを活用しながら、必要に応じて GPU を追加してレンダリング能力を拡張することが可能です。
- Arnold は複数の GPU でのレンダリングに対応しており、Nvlink テクノロジーを使用して GPU をまたいでメモリを共有することができます。
- Arnold GPU は NVIDIA RTX テクノロジーの活用に最適化されているため、RTXベースのグラフィックスボード上でよりスピーディかつパワフルなレイトレーシングが可能です。
Arnold 5.3 の GPU 対応機能
Arnold 5.3 の Arnold GPU パブリックベータ版では、ほとんどのシェーディング ネットワーク、ヘア、SSS、Atmosphere、インスタンス化、プロシージャルがサポートされています。
この Arnold GPU パブリックベータ版は、さまざまな機能を備えた GPU テクノロジーをユーザーの皆様にお試しいただくためのものです。Arnold チームは今後も引き続き GPU レンダリングの開発に取り組み、新機能が提供可能となった場合にはベータ版に追加していきます。
動作環境など Arnold GPU の詳細については、Arnold ドキュメント ポータルでArnold 5.3 リリース ノートとArnold GPU ページを参照してください。
バージョン 5.3 のその他の新機能
効率とパフォーマンスを最大限に高めるために、Arnold 5.3 には数々の改良が施されています。
- Adaptive Sampling:品質とパフォーマンスが大きく改善され、より細かくコントロールできるようになりました。作業時間を短縮し、最終イメージの品質はそのままに、短時間でレンダリングすることができます。
- 改良版のRandomwalk SSS モードでは、よりリアルなシェーディングが可能になりました。
- StandardSurfaceの操作性が向上し、きめ細かくコントロールできるようになっています。
- Operatorを含める機能が追加されたほか、適用方法がアーティストに使いやすく改善されるなど、Operatorのフレームワークが改良されました。
- バンプ マッピングの正確性が改善されました。
- Skydome ライトのサンプリングが向上し、直接光のノイズが低減。
- MaterialX のサポートもアップデートされ、シェーディング ネットワークを MaterialX のルックとして保存できます。
- インスタンサーの手順が新しくなりました。
Arnold 5.3 のアップデート内容全体については、リリース ノートを参照してください。