ゲーム Game
Assassin’s Creed. © 2016 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved.
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ゲーム業界の仕事

text by 小野 憲史
Posted: 2017.04.21

ゲーム開発者の役割

ゲーム開発者の主な役職
ゲーム開発者の主な役職

黎明期のゲームはプログラマーが一人で作っていました。しかし、ゲームの規模が大きくなり、内容が複雑になるにつれて専門職に分かれていき、分業化が進んでいきます。まずグラフィックデータの制作を担当する「アーティスト(デザイナーとも呼称)」が誕生し、次にオーディオデータ制作を担当する「オーディオ(サウンドとも呼称)」が誕生しました。その後、ゲームの企画を担当する「ゲームデザイナー(プランナー、企画とも呼称)」が誕生します。

さらにアーティストの中でも2Dアーティストと3Dアーティストに分業化され、それぞれがさらに専門職へと分業化していきました。大規模なゲームプロジェクトでは、図のように非常に多くの専門職が存在し、それぞれのアーティストが得意分野を活かしながら作業を進めています。同様の分業化はゲームデザイナー・プログラマー・オーディオでも進みましたが、その中でもアーティストは、最も職種の定義がしっかりなされている点が特徴です。

主なゲーム開発の職種

ゲームデザイナー

ゲームのコンセプトにもとづいて具体的なアイディアを出し、ルールやシステム策定などの設計業務を行う。アセットリストの作成、開発工数の洗い出し、仕様書(設計図)の作成など業務は多岐にわたり、中小規模の開発では進捗管理も兼ねる。近年では商業(内製)ゲームエンジン上でレベルデザインやイベント作成などを行うことも増えている。

プログラマー

ゲームデザイナーが設計し、作成した仕様書(設計図)に基づき、実際のプログラムを行う。大きくクライアント側とサーバ(インフラ)側にわかれる。近年ではツールやゲームエンジンの開発・保守などを通して開発環境の整備を行い、実際のゲーム制作はゲームデザイナーやアーティストが担当する傾向にある。

アーティスト

ゲームに必要なグラフィックデータを作成する。大きく2Dアーティストと3Dアーティストに分かれ、専門領域に応じてさらに細分化される。このほかプログラマーとアーティストの中間的な立ち位置で、両者が抱える問題を解決するテクニカルアーティストや、テクニカルディレクターといった職種もある。

モデラー

Mayaや3ds Maxなどを使用して、3DCGの基本となるポリゴンモデルを作成する。大きくキャラクターモデラーと背景モデラーに分かれ、プロップ(武器・小道具)モデラーが存在する場合もある。テクスチャー制作も担当する場合が多い。

リガー

Maya・3ds Max・MotionBuilderなどを使用して、3DCGモデルにアニメーションをつける上で必要な設定(セットアップ)を行う。

アニメーター

Maya・3ds Max・MotionBuilderなどを使用して、セットアップが終了した3DCGモデルに対して実際の動きを作成する。

ライティング

Maya・3ds Maxやゲームエンジン側の機能などを使用して、場面ごとに必要なライティングを行う。

UI(ユーザーインターフェース)

メニュー・体力ゲージ・アイコンなど、ゲームの進行に必要な情報を視覚的に表現するためのグラフィックデータを作成する。

エフェクト

爆発・ヒットダメージ・特殊攻撃(魔法など)といった、さまざまな視覚効果で必要なグラフィックデータを作成する。

オーディオ

ゲームに必要なサウンドデータを作成する。大きくBGMを作曲するコンポーザー(作曲家)と効果音を作成するサウンドエフェクト(SE)に分かれ、オーディオ演出を担うサウンドデザイナーや、サウンドデータの組み込みを担当するサウンドプログラマーが存在する場合もある。声優のボイス収録を行うボイスオーバー(VO)などの業務もある。

このように現場のクリエイターが細分化される中で、開発チームの「まとめ役」もまた分業化が進みました。ディレクター、プロデューサー、プロジェクトマネージャです。

ディレクターの役割は開発チームを統率し、現場のクリエイターが制作したデータやプログラムをチェックしながら、ゲームの完成度を高めていくことです。これに対してプロデューサーは経営陣・営業・宣伝といった非開発部門や、外部企業などと連携して、ゲームを予算通りに完成させ、売上の拡大を行います。ゲームの内容面に対して最終責任を負うのがディレクター、ゲームの売上面に対して最終責任を負うのがプロデューサーと言えるでしょう。両者は互いにディスカッションを行いながら、ゲームの完成形を共有し、プロジェクト全体の牽引役となります。

これに対してプロジェクトから一歩引いた位置に属し、全体の進行管理を統率するのがプロジェクトマネージャです。もともと日本では、進行管理をゲームデザイナーが担当することが一般的でしたが、ゲームの開発規模が増加するにつれて、次第に専門職として認識されるようになりました。予算と納期を見ながら、プロデューサーやディレクターを補佐して開発を進めていくポジションです。

小野 憲史

小野 憲史

ゲームジャーナリスト。NPO法人IGDA日本名誉理事・事務局長。「ゲーム批評」編集長などを経て現職。ウェブニュース媒体を中心に活動中で、E3・GDCなど海外取材も多数経験。教育機関などでの授業・講演もこなす。主な著書・編著に「ゲームクリエイターが知る97のこと(2)」(オライリージャパン)など。

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