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第89回:3DCG用語の不思議(アニメーション編)

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3DCG用語の不思議(アニメーション編)

いよいよ夏がやってきました。今年入社された新人さんも研修を終えてプロジェクトに入ったりして、会社の人が言っている謎の用語も段々理解できてくる頃ではないでしょうか?

私は夏過ぎても「ライブラリ」の意味がイマイチよくわかっていなかった気がします。プログラマの言っているライブラリって図書館のこと?ライブラリが足りないって蔵書数が少ないということ?なぜライブラリがバグるのか??

とまあ相変わらずよくわからない、今更聞けない、という用語は数あると思います。今回は3DCG用語を見ていくシリーズの第二弾として、アニメーション周り多めで見ていきましょう! 幸いアニメーション周りの用語は英語の物が多く、前回より用語の混乱は少ないです。

デザイナとアーティスト

デザイナとアーティスト

もともと日本では「アーティスト=芸術家」という印象が強いため、映像業界もゲーム業界も3Dモデラーやアニメーターなど、絵周りの作業をする人を「デザイナ」と呼んでいました。

一方海外の場合「アーティスト」といえば、もちろん芸術家でもありますが、ゲーム・映像ではアートワークを行う人としてモデラーやアニメーター、キャラ絵やイラストなど2D周りの人のことを指します。

「デザイナ」というとデザインをする人です。ゲームデザイナやインターフェースデザイン、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインといった人たちのことを指します。日本でいうところの企画・プランナー、2Dデザイナといったところが当たります。

この用語の違いのため、GDCやSIGGRAPHとかでは気を付けておかないと、肩書を間違って認識したり、話が理解しにくくなります。昔この違いを知ったとき、これは日本でも用語を変えていかないといけない!と思い、積極的にアーティストと呼ぶようにしましたヨ。

で、ここが重要なのですが、
海外では一般的な立場として「デザイナ > アーティスト」という扱いになります。デザイナの方が格上です。
デザイナは理論やプログラムに近いところに関わるからでしょうか、給与の傾向でも明らかで、デザイナはアーティストより給料がいいです…。工業製品の分野でも、デザイナは製品の設計に関わる感じでまさにデザインするのですが、アーティストは見た目を感覚的に決めるような感じです。

…というわけでGDCに行く時は3Dアーティストとしていたところ、肩書を3Dデザイナに戻しました! (デザイナとだけ書いてしまうとゲームデザイナと思われてしまうので、3Dと足しておくところがミソです。)

ちなみにTA(テクニカルアーティスト)という用語が入ってくる前、私の居た部署ではプログラムできるデザイナということで「デザグラマ」と呼んでいました。デザイナの方が格上なら今こそ、このノスタルジー感のある呼び方を復活するべきでしょうか!?

色々あるレイヤ

Display Layer、Render Layer、Animation Layer

Mayaで作業する時に「レイヤ」と呼ばれるものが登場します。
さてこのレイヤ、話の流れに応じて正式な名称で呼ばないことが多いので混乱の元になります。

Mayaにあるレイヤは、基本的に次の三つです。
・ディスプレイレイヤ(Display Layer)
・レンダーレイヤ(Render Layer)
・アニメーションレイヤ(Animation Layer)

レンダーレイヤは仕様が変わってチャンネルボックスには表示されず、Render Setup内に表示されます。
アニメーションレイヤはTime Editorに置き換わってきています。MotionBuilderでもアニメーションレイヤがあります。

ゲーム作成では主に「ディスプレイレイヤ」と「アニメーションレイヤ」が関わってきます。
モデラーがレイヤと言っていれば、ほぼ間違いなく「ディスプレイレイヤ」です。

アニメーターが言っている場合がちょっとややこしくなります。
「リグのレイヤが…」と言うときはリグのコントロールを含んでいるレイヤのことですので、「ディスプレイレイヤ」のことになります。
「キーフレームのレイヤが…」と言うときは「アニメーションレイヤ」です。

「カーブのレイヤが…」と言うときは、アニメーションカーブのことか、リグのコントロールで使っているNURBSカーブのことか判別付かないので厄介です。前後の話から、アニメーションのことなのかリグのことなのか推測します。ああ、ややこしいですね。

リファレンス

リファレンス

これもまた曖昧な用語でして。リファレンス(reference)の訳は「参照」です。

シーンを読み込み専用として読み込む機能は「ファイルリファレンス」と呼ぶのが正式名称です。大抵は略して「リファレンス」と呼んでいます。
ディスプレイレイヤでR表示にすると、リファレンスモードになります。描画はされても選択できないという表示にできます。これもリファレンスと呼びます。

プログラマにとっては、C++などのプログラム言語側でも「リファレンス」と呼ぶ機能がありますので、なおのこと話がややこしいです。Mayaのヘルプドキュメントを見ると、参照という意味合いでメニューにリファレンスという単語が出てきます。

もし誰かが「リファレンスしたシーンをリファレンスとして使っている」と言っているときは、「ファイルリファレンスしたシーンを参考にして作業している」という意味になります。感じ取りましょう。
「リファレンスしているから選択できない」というのはレイヤのリファレンスが有効になっていることが想定されます。ファイルリファレンスしていてもビューポートでオブジェクトを選択できますので。

「別のシーンを参照して作業している」となると、おそらくファイルリファレンスを作って作業しているということですが、Mayaを二つ立ち上げて別のシーンを見ながら作業していないとは言えません。稀に見かけますね。

モーションキャプチャ

モーションキャプチャ

モーションキャプチャ(Motion Capture)は、略してモキャプ(Mocap)と呼ばれることが多いです。Mocapなのでモーキャプと呼ばれることもあります。

いわゆる、全身タイツのもじもじ君スタイルで動きをキャプチャしてキーフレームアニメーションに変換するシステムや、作られたデータのことを指します。(そして…この「もじもじ君スタイル」がなんなのか、もはや伝わらないという現実に若干ショックを受けております。)

モキャプの現場を見学に行くと「アクター」という言葉が聞こえてくるかもしれません。日本語では役者ということですね。
モキャプの役者のことを指しますが、MotionBuilderにもアクターという機能があるため混乱しがちです。MotionBuilderのアクターは、モキャプの位置を示すマーカーをキーフレームに変換するために使うリターゲット用のモデルのことです。

「アクターの動きをアクターに読み込んだ」と言うのは、モキャプの役者さんの動きをキャプチャしてマーカーデータを作り、MotionBuilderのアクター機能に読み込んだ、という意味になります。

この「モキャプの役者」としてのアクターは全身タイツであるため、アニメーションを作っているシニアアニメーターはやりたがらない傾向があります。代わりに新人がやらされることもあります。

みんなの視線が色々な意味で痛いため、どうしても腕と足が同時に出てしまい、散々リテイクされたりします。キャプチャの結果をキャプチャのスタジオで確認すると、思いのほか自分の歩き方の癖がわかって嫌な気持ちになる危険性があります。(自分の声を録音して聞いた時の如く)
やってみると面白いですが、「アクターやる?」と言われたらこの一連の洗礼を意味しますので、慎重に返事をすると良いでしょう。

なお、モキャプを監督している人が言う「後でモーションなおすんで、今のテイクOKです」には気を付けましょう。思った以上に修正は大変なので、全ての火の粉が自分にかかってくると肝に銘じましょう!すぐに撮り直してもらうのが最善です。撮るのは5分、修正は1時間と思いましょう。

ちなみにMotionBuilderはMobuとも呼びます。海外のフォーラムとかでMobuと書かれていればMotionBuilderのことです。モブキャラ(mob)のことではないです。

キーフレーム

キーフレーム

キーフレーム(keyframe)はアニメーションをつけるときに、アトリビュートの値を時間軸に沿って記録する物のことです。略してキー(key)と呼ぶことも多いです。Mayaでは鍵と呼ぶことはないです。鍵のアイコンは見かけますが。

キーフレームを作成することを「キーを打つ」と言ったりします。もともと紙に書いていたものなので、なんで打つのかわかりませんが、キーはキーボードのことも指すため、「キーを打つ」というと若干わかりにくいです。キーボードのキーを打つのかと思ってしまったり。
「キーを作成」であれば、キーフレームのことで間違いないです。アニメーターがキーと言うときはほぼキーフレームのことです。

GraphEditorではキーフレームをつけると、キーフレーム間にカーブが表示されます。これはアニメーションカーブと呼ぶものです。キーフレームもアニメーションカーブも、どっちも同じようなことを意味します。アニメーションカーブは見た目に存在しても、実際には存在しません。保存されるのはキーフレームの値です。

アニメーターが「カーブを書き出す」という場合、このアニメーションカーブのことを示しますが、実際にはキーフレームのデータを出すため、正確には「アニメーションカーブに含まれるキーフレームの情報を書きだす」ということになります。逐一ここまで指摘すると面倒なやつと思われがちなので、さらっと流しながら話すのが良いです。

キャラクタ

キャラクタ

最後はキャラクタについてです。略してキャラと呼びます。普通は人型モデルのことです。人以外でも重要な登場人物はキャラクタ扱いだったりしますが。
データとしては人型のジオメトリと骨、バインドされたものをひっくるめてキャラクタと呼ぶことが出来ます。リグも含めてキャラクタと呼ぶこともあります。

Mayaでもいくつかキャラクタという用語を使った機能があります。古くはTraxエディタを使うためにアトリビュートをまとめたCharacter Setというもの作成し、これをキャラクタと呼んでいました。今はHIKがありますので、HIKで骨がどの人体のパーツに当たるのか設定した情報丸ごとをキャラクタと呼びます。MotionBuilderでもキャラクタと言えば、HIKのセットアップ済みデータのことを指します。

英語でもプログラムでもCharacterは「文字」のことも意味します。キャラと混ぜて話すことはないと思うので、混乱することはないです。

「あの人のキャラクタはすごい!」と聞こえてきたら、おそらくキャラデザインやモデリング、テクスチャ、ブレンドシェイプの表情とかのことを指しています。性格的なことを指している可能性も否定できないので、雰囲気で察してください。

まとめ

まだまだ沢山あいまいな用語があるもので、新しい機能が出てくると、そこにも同じような用語が登場します。CG業界はかなり言葉を推測する力が重要かもしれません。

ちなみに冒頭の「ライブラリ」はプラグラムで使う汎用性の高いプログラムをまとめたものです。こういう物というか概念は、日常的な常識に現れないものですから、なかなかわかりにくい用語です。こういった概念的なものは慣れて知っていくしかないですが、その分専門性の高い分野であることを感じます。

CG業界を目指す方には、本を読むことをお勧めしようという気分になってきました…。結局のところ、デザイナもプランナーもプログラマも、どの役職も国語力が差を生みますよね。

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