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第32回:カメラの構造と特徴を学ぶ カメラの設定が変わると、見る人の気持ちが変わる3

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ちょっとした写真用語

【絞り】は【絞り羽】という羽のような形をしたいくつかの板でできています。 この絞り羽を動かして小さくしたり、大きくしたりして、光量を制限していきます。その行為を特別に「絞る」と呼びます。
「絞りを絞る」と言われれば、「絞り値を小さくすること」。
逆は「絞りを開ける」といいます。
また「絞りを完全に開いている状態」を「開放」といいます。


図7「レンズの絞り羽」 左がこのレンズの最小絞り値 f 1.8(開放)の状態。徐々に絞っていき、このレンズの最大絞り値 f 22 ではかなり光量が制限される。

レンズによって変わるピント領域

前回レンズの焦点距離を5つに分類して、それぞれの特徴について説明しました。そのなかで「物理的な効果」とその特長を生かした「利用に適したシーン」を紹介しましたが、実はこれには【ボケ】も関係しています。
図8は前回と同じチャートです。緑色の列が機能面についてです。


図8「5つの区分ごとの効果一覧表」 画角が与える心理効果と、それに適したシーン。レンズの物理的効果と、それに適したシーンをまとめました。 ここでは緑の列に注目してください。

【広角】の物理的な効果に「手前にある被写体と、背景を広く写し込むことができる」とあります。これは、広角レンズが広い画角でたくさんのものを映し出すことの他に、ピントの合う領域が広いために手前から奥までハッキリと写すことができるという効果があるからです。

逆に【中望遠】の物理的な効果に「手前にある被写体と、背景に分離感が生まれる」とあります。広角と逆の効果ですね。これは、狭い画角で写るものが少ないことに加え、ピントの合う領域が狭いことが原因です。

これらの効果を3DCG制作に役立ててみるとリアリティが増します!

《広角》の場合

3DCGのカメラ設定で《広角》を使用した場合は、被写界深度を弱く設定します。 風景などの遠景、または建物で、手前にものがなければ被写界深度を使わなくても自然に見えるはずです。

しかし、広角レンズを使った場合でも被写体が近い場合(ピント面が近い)は、被写界深度を設定して、被写体の奥と手前をぼかすようにします。

《望遠》の場合

3DCGのカメラ設定で《望遠》を使用した場合は、被写界深度を強く設定します。 中望遠より、望遠の方がより強く、というふうに画角が狭くなればなるほどボケが強くなるようにしましょう。

広角でも望遠でもボケの程度は、そのシーンに求めるコンセプトによって変わってきます。被写体に強くフォーカスしたいときは、強くぼかす。シーン全体のイメージや、どのような場所かを表したいときは、弱くぼかすかベタピンにしましょう。


今回は【ボケ】をより自然に使いこなす方法でしたが、いかがでしたか。ただぼかす、度合いを変えるだけではなく、カメラの構造に沿って調整するとよりリアリティが増したり、実写撮影との合成も自然になると思います。
次回も引き続き、カメラの構造と、映像が与える心理についてです。
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では、次回もお楽しみに。

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