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第15回:色に厳しいプロは、どのような基準でモニターを選んでいるのか

2010.07.16

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こんにちは、パーチ長尾です。

先日、ある制作会社さんに伺って「3DCGのためのカラーマネジメントセミナー」を行っているときに、あらためて気がついたことがあります。
そこでは受講された方のほとんどが、初めてカラーマネジメントに触れて、「何を行ったらいいのか」を理解されたということです。

セミナー修了後にお話しした方が、「何をするにもモニターの色が合っていないとダメなんですね」と言ったのを聞いて、あらためてモニターの重要性を感じました。もちろんカラーマネジメントは統合的なシステムですから、モニターの色だけ正しくても意味がありませんが、重要なものであることは間違いありません。
クリエイターにとって作業中に見ているのはモニターですし、スキャンした画像も、3DCGソフトでマテリアルを作るときも、Photoshopで色調整するときも、すべてモニターで色を判定しています。

普段使っているモニターに良し悪しがあるのか? 正しい色で表示されているのか? などを気にすることは無いと思いますが、カラーマネジメントを導入する上で、【色再現性に優れたモニター】を選ぶことは非常に重要です。
そこで今回は、「色に厳しいプロがどのような基準でモニターを選んでいるのか」についてお話ししたいと思います。
今使っているモニターの評価や、カラーマネジメント導入時のモニター選びの際に参考にしてみてください!


モニターの発色特性は狂っている

ちょっと過激なタイトルですが、RGBのデータを正しく表示するモニターはかなり少ない、色が狂って表示されていることが多い、という意味です。モニターは私たちにとって作業現場であり、私たちは色を見ながら良し悪しを決めています。その心理の裏には、「RGBの入力信号に対して、適切に応答してくれている」という思い込みがあるはずですが、実はそうではないんです。

図1、図2をご覧ください。この2つの図はモニターにRGB信号を入力してモニター(液晶面)の発色を測定したものです。入力したのは「白~グレー~黒」の無彩色(RGBが均等だと無彩色になります)です。RGBを均等に、崩れることなく、出力するのはモニターにとって一番難しいので、無彩色を入力します。そして、測定はRGBのような相対的なデータではできませんので、色の絶対値を測る「XYZ値」で測色した物です。

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図版1:ハードウェアキャリブレーションモニターの測色結果

図1は【ハードウェアキャリブレーションモニター】という色再現性に優れたモニターのため、XYZ全ての値がきれいに重なって、「色のブレが全域で無い」非常に優れたバランスが見て取れます。そして、カーブもきれいな「ガンマ」を示しています。


02.gif
図版2:一般的なモニターの測色結果

図2は【一般的なモニター】で、XYは重なっていますが、Zが大きくずれています。しかも0~255の出力がガタガタで、ガンマが乱れていることがわかります。

図2のような特性では正しい色は再現できないので、「自分の作ったデータが他の人が見ると違っている」「過去のデータを見ると変わっている」ということが起こってしまい、3DCGの競争優位点である『データベース』『グループワーク』ができなくなってしまいます。


印刷・写真業界のプロの厳しい目

すでにカラーマネジメントというシステムを導入活用しているのは、印刷・写真業界です。例えば、ポスターなどをコンピューターで制作して印刷するときに、モニターで見たとおりの色が印刷されなければ何度も印刷し直すことになり、コストと時間がかかります。写真も同じです、撮影したものが正しい色で再現できなければクレームになってしまいます。そこでカラーマネジメントシステムをきちんと導入し、非常に厳しい目でモニターをはじめとしたハード・ソフトを導入しています。

そんな色に厳しい彼らが、モニター選びの時に使う「ある方法」はあまり紹介されていませんので、知る機会はほとんどありませんよね。実はこんな方法を使っています。


色に厳しいプロが使っている【モニター選定方法】

モニターはRGBの3色を発光して色を再現しています(中学校の理科や美術で習った【光の3原色】【加色混合】ですね)。
その3色が入力されるRGB信号通りにきちんと発光すればいいんですが、実際はバラバラに狂っているんです。今はほとんどのモニターが液晶だと思います、そしてその液晶は電気信号に従って色を作っていますが、物理的な【物】ですから、モニター自体の性能、製造時の品質のバラツキ、使用しているうちに劣化する経年変化、など100台あれば100通りの色が出てきます。デジタル信号を扱うから安定している、ソフトをきちんと設定したから大丈夫、ということは全くなくて、【モニターを適正な状態にする】作業を行わないと正しい色を見ることはできません。

モニターには色再現性に優れた製品から、そうでないものまで多くの物がありますが、それらを見極める方法が必要です。
RGB信号通りに表示されるモニターが優れているんですから、その状態を確かめればいいわけです。それを人間の目で評価することができる方法があります。

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図版3:グレーは均等なRGB値でできている

【グレー】という色は均等なRGB値でできています。そのためRGBのうち1つでもバランスが崩れれば「色がついたグレー」が表示されてしまいます。もう少しモニターで起こる現象で説明すると、R179, G179, B179(濃度30%のグレー)を表示するようにモニターに信号を送って表示すると、モニターの発色特性が狂っていて、Gが少し強めに発色してしまい、少し緑がかったグレーが見えてしまうという現象が起きてしまいます。

モニターにとっては全ての出力(白から黒まで)で、入力されたRGB通りに完璧に発色させない限り「完璧なグレー」を再現することはできないので、このテストはモニターの発色性能を見るのに最適です。

人間の目は色を数値化して判断するのは苦手ですが、2つの色を並べて、その違いを判断するのは得意です。
そこで、さきほどのモニターの判断方法と、この人間の特性を利用して以下のテストを行うと、モニターを一目で評価することができます。

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図版4:発色特性が悪い、もしくは測定や管理が行われていないモニターは、所々に緑や紫の縞模様が現れる(この画像はわざとバランスを崩した物です)

図版4のような横長で白から黒へのグラデーションを作り、表示します。ほとんどのモニターでは、図版4のように緑と紫の縞模様が見えるはずです。これはモニターの発色バランスが均一に崩れている のではなく、白から黒にかけて (発色の強いところから弱いとこ ろにかけて)蛇のように崩れているからです。しかもRGBごとにバラバラにバランスが崩れているからモニターの調整ボタンで直した程度では補正することができません。

これが元々の発色特性が優れているモニターを、モニター測色機を使って測定して管理したモニターでは、きれいなグレーのグラデーションを見ることができます。つまり白から黒の全域で色のバランスがとれているということです。私が今見ている(使っている)モニターは EIZO ColorEgde という【カラーマネジメントモニター】ですが、ほぼ完璧なグレーに見えています。しかも、ちょうどモニター測色機で調整したばかりなので本当にいいバランスです。印刷・写真業界では定評のあるモニターです。

図版4は誰が見てもわかるようにバランスを崩しましたが、グレーのグラデーションを見るとちょうどこんな感じで見えると思います。
自分が今使っているモニターや、購入検討中のモニターをテストする際には、このプロが使う方法を試してみてください。製品の良し悪しが良くわかりますよ。

このテスト用グレーチャートの作り方と、評価ポイントをまとめたものをお分けしようと思っています(無料です)。モニターの測色についても簡単に説明しているページ ( http://www.perch-up.jp/design-viz/color_facility2.html )があるので、このページから申し込んでみてください。

今回は、カラーマネジメントで最も重要な機材【モニター】の選び方についてお話ししましたが、いかがでしたか? 仕事の品質アップと効率アップに欠かせないカラーマネジメン ト、是非活用していきたいですよね。

次回も仕事に役立つ情報をお届けしたいと思いますので、ご期待ください。

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