トレンド&テクノロジー / 冨田和弘が斬る!建築ビジュアライゼーション業界
第2回:建築ビジュアライゼーションとBIM(Building Information Modeling)の関係
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建築ビジュアライゼーション関係者から見たBIMの最大の特徴は、設計の上流から施工段階、更には竣工後に至るまでその中心に3Dモデルがある事だ。これまでパースやアニメーションを制作する際の多くは2DCAD図面から3Dモデルを起こしていたと思うが、このモデリング作業が曲者で図面の不整合ならまだしも、まだ確定していない図面から制作しなければならなかったりと、レンダリング作業に入る前にモデリングの正否の確認で煩雑なやり取りが発生していたし、更には締め切り間際の設計変更などもありレンダリング作業に大きな負担になっていた。


これらの情報に嘘は無いだろうと私は思っているが、建築業界全般の話にまではなっていないと考えている。確かに中小の設計事務所やゼネコンでは大きな会社に比べて社員数も非常にコンパクトだしコストの締め付けもより厳しいため可能な限り内作を勧めるのは道理で、BIMによってコスト削減できることは積極的に推進する事は間違いないからだ。ただこれは中小規模の会社に見られる例で、建築ビジュアライゼーション業務の発注総量から見た場合の割合は少ないだろう。
考えて見て欲しい。ここ最近自動車産業や製造業で派遣切りやリストラなどのニュースが日々メディアを騒がせているが、建設業もその荒波の中にいる。バブルが弾けた以降のリストラで現状でも社員が目いっぱい働いてもこなせないような業務を何とか乗り切っている時に更に人を減らすのだからより業務が過酷になるであろう事は想像に難くない。勿論業務量の減少に伴うリストラであるから人減らしは見合っているように思えるが、実際は黒字右肩上がりに回復するため業務量の削減に見合う以上の人員が削減されていると考える方が普通だ。だとすれば本業の設計が更に忙しくなる中でCGのスキルを身に付けることは容易ではない。これまで建築ビジュアライゼーション業務の外注発注率が高い会社(クライアント)ほど内作は難しい。勿論、どのような規模の会社であっても経費削減のために外注を減らして内作を増やす試みはあるだろうが、建築ビジュアライゼーションの適用範囲が増えた中での一部分であろう。

前者についてはその分業務量を増やすか、高品質により価格を維持するかの2択になろう。後者については、これまでマンション不動産絡みの広告系の仕事が主体だったところは心してかかった方が良い。それは私が上手くいっていない事例しか見聞きした事が無いからだ。その内容をお伝えするには紙面の都合上難しいので割愛するが、厳しい状況である事は間違いない。逆に短納期の(一週間前後)制作業務に上手く適応出来ている前述の会社があれば積極的に情報発信をして同業者に知らせてあげて欲しい。何れにしろこれからは設計者の痒いところに手が届く業務の進め方ができて、建築ビジュアライゼーションの高い表現力とその引き出しを多く出来たところが台頭してくるだろう。

執筆時点ではまだ開催前だが、皆さんがこれを読まれる頃にはHP上で参加各チームの取り組みや成果品を見れると思うので、建築ビジュアライゼーションがBIMに果たす役割と可能性をご自身の目で見て考えてもらいたいと思うと同時に、私が今回語っているような事が本当に起こるのかどうかの判断材料にして頂ければ幸いだ。参考の写真として昨年ロンドンを舞台に開かれた世界規模の同様のイベントを載せておくのでHPと併せて見て貰いたい。(HP http://bltokyo2009.seesaa.net/)