チュートリアル / fieldjamのDesignVizエッセンス
第9回:植栽について(3Dモデル)
- 3ds Max
- コラム
- チュートリアル
- データ
- 建築・製造・広告
今回は3Dモデルを用いた植栽についてです。皆さんご想像の通り、もの凄いポリゴン数でレンダリング時間も長くなってしまいます。敢えて3Dモデルを用いるにはそれなりのメリットが必要なので、そのポイントを考えてみましょう。
・アニメーションへの対応
ビルボードで対応できない場面では3Dモデルが必要です。アニメーションにおいては、3Dモデルの植栽は必須であると言えます。
・ライティングなどの反映
影やGI、反射などを正確に表現できます。ビルボードでは、前回の内容のようにいろいろな工夫が必要になりますが、それでも正確な表現はできません。
・いろいろなアングルへの対応
3Dモデルであれば、鳥瞰や配置図などにも対応できます。
理想的には、すべての植栽を3Dモデルで入力したいところですが、クオリティの高い植栽モデルはデータ量が膨大になるので躊躇してしまいます。しかし、3ds Maxでは「プロキシ」という方法を使ってメモリ消費を抑え、効率良くレンダリングする方法が用意されているので、状況に応じて上手に利用しましょう。
3Dモデルを利用するにあたって、いくつかの方法が考えられるので、それぞれについて簡単にご紹介します。
・Autodesk Seek
http://seek.autodesk.com/
ここにはいろいろな素材が置いてありますが、その中に植栽もあります。後でご紹介しますが、XFrog という植栽のモデリングソフトで作成されたものを、100点無料でダウンロードできます。
高木と低木を配置してレンダリングしました。高木のポリゴン数は38万、低木は19万くらいです。このほかに草花などいろいろなものがあるので、常に使用しなくても頭の片隅に置いておけば役に立つことがあるでしょう。
・EVERMOTION
http://www.evermotion.org/
ご存知の方も多いと思いますが、EVERMOTIONは数多くの素材集をリリースしています。素材集ひとつは150EUR程度で、植栽のシリーズには60点程度収録されています。
サイトに掲載されているサンプル画像です。クオリティは高いのですが、ポリゴン数も凄いです。ちなみに右側の木は56 万ポリゴンあります。
素材集の大きな問題点は形状の変更ができないことですが、回転やスケール、マッピング画像の差し替えなどを用いればある程度のバリエーションを持たせることができます。
・Onyxシリーズ
http://www.onyxtree.com/
樹木モデラーとしては、古くからある定番ツールです。広葉樹、針葉樹、竹、椰子、花、草それぞれに特化したツールがあります。3ds Maxに取り込むためのプラグインも用意されています。
・Xfrog
http://www.xfrog.com/
階層構造によって、有機的なオブジェクトを生成するソフトです。Maya用のインポートプラグインはありますが3ds Max用はないので、objなどの汎用フォーマットを用いなければなりません。ライブラリも多数用意されており、その中には様々な3Dフォーマットのデータが収録されているので、ライブラリのみを購入して使用することも可能です。
両者の考え方はほとんど同じです。木を例にすると、根→幹→大枝→小枝→葉という階層構造を頭に入れながらモデリングを進めます。Onyxの場合は、この構造がタイプ別に固定されていますが、Xfrogは自由に組むことが出来ます。一方、Onyxは作成したものの「シード値」を変化させることによって、似たものを簡単に生成できますが、Xfrogはできません。3Dで植栽をモデリングするには両方を使い分けられればベストですが、どちらかひとつだけでも用意したいところです。
http://bionatics.jp/
これは、素材集/専用モデラー2つの特徴を併せ持ったユニークなもので、3ds MaxやMayaのプラグインとして動作します。建築ビジュアライゼーションなどに向けたEASYnat(フリー)と、詳細な設定が可能なnatFX(有料)の2種類のプラグインがあります。必要な樹木を購入し、樹齢、季節、表現方法(ビルボード、フルポリゴン、両者のハイブリッド)などのパラメータを設定しながら、使用します。
さて、大量の3Dモデルの樹木をレンダリングするには「プロキシ」を使用する必要があります。mental rayの場合は「mr プロキシ」、V-Rayなど他のレンダラーの場合はそれぞれに用意されたプロキシオブジェクトを使用します。具体的な作成方法はここでは述べませんが、ひとつだけとても大切な注意点を。複数配置する場合には、必ず「インスタンス」を用いなければなりません。「コピー」ではプロキシオブジェクトの意味がなくなるので、注意してください。
あるアニメーションの1フレーム(V-Rayでレンダリング)です。樹木類はすべて3Dモデルのため、シーン全体のポリゴン数は2億ポリゴンを超えますが、プロキシオブジェクトを用いているので、レンダリング時のメモリ消費量は2.5GB程度でした。
最後に、コツをひとつご紹介します。樹木をマスな視点で認識する場合、見えてくるものは幹と太い枝と葉です。特に、葉の占める面積が大きいので、そのマテリアルにひと工夫与えると雰囲気がかなり変わります。ポイントは「トランスルーセンシー」ですが、その設定方法はレンダラーによって異なるので、使用しているものでいろいろ試してみてください。
トランスルーセンシーを用いずにレンダリングしました。葉の部分が暗く沈んでいます。
トランスルーセンシーを用いると、逆光気味でも葉の部分が明るく、立体感が出ているのが確認できます。
植栽に関して、静止画であれば画像を貼り込んで処理することも可能でしたが、アニメーションでは写真を用いたビルボードのみの処理では、ほとんどの場合対応できません。
ここ数年で、プロキシオブジェクトが一般的に使用できるようになったため、全ての樹木や草花を3Dモデルで扱うことが可能になってきました。
あとは、どれだけのモデルを用意できるのかか課題になっています。特にアニメーションにおいては、部品集、専用ツールなどを状況に応じて使い分けながら対応することが求められています。
・アニメーションへの対応
ビルボードで対応できない場面では3Dモデルが必要です。アニメーションにおいては、3Dモデルの植栽は必須であると言えます。
・ライティングなどの反映
影やGI、反射などを正確に表現できます。ビルボードでは、前回の内容のようにいろいろな工夫が必要になりますが、それでも正確な表現はできません。
・いろいろなアングルへの対応
3Dモデルであれば、鳥瞰や配置図などにも対応できます。
理想的には、すべての植栽を3Dモデルで入力したいところですが、クオリティの高い植栽モデルはデータ量が膨大になるので躊躇してしまいます。しかし、3ds Maxでは「プロキシ」という方法を使ってメモリ消費を抑え、効率良くレンダリングする方法が用意されているので、状況に応じて上手に利用しましょう。
3Dモデルを利用するにあたって、いくつかの方法が考えられるので、それぞれについて簡単にご紹介します。
素材集を使う
マッピングなどの質感設定がされている素材集であれば手軽に使用できます。主なものをまとめておきます。・Autodesk Seek
http://seek.autodesk.com/
ここにはいろいろな素材が置いてありますが、その中に植栽もあります。後でご紹介しますが、XFrog という植栽のモデリングソフトで作成されたものを、100点無料でダウンロードできます。
高木と低木を配置してレンダリングしました。高木のポリゴン数は38万、低木は19万くらいです。このほかに草花などいろいろなものがあるので、常に使用しなくても頭の片隅に置いておけば役に立つことがあるでしょう。
・EVERMOTION
http://www.evermotion.org/
ご存知の方も多いと思いますが、EVERMOTIONは数多くの素材集をリリースしています。素材集ひとつは150EUR程度で、植栽のシリーズには60点程度収録されています。
サイトに掲載されているサンプル画像です。クオリティは高いのですが、ポリゴン数も凄いです。ちなみに右側の木は56 万ポリゴンあります。
素材集の大きな問題点は形状の変更ができないことですが、回転やスケール、マッピング画像の差し替えなどを用いればある程度のバリエーションを持たせることができます。
専用のモデラーを使う
樹木や花などのモデリングに特化したツールがあります。ここでは代表的な2つをご紹介します。・Onyxシリーズ
http://www.onyxtree.com/
樹木モデラーとしては、古くからある定番ツールです。広葉樹、針葉樹、竹、椰子、花、草それぞれに特化したツールがあります。3ds Maxに取り込むためのプラグインも用意されています。
・Xfrog
http://www.xfrog.com/
階層構造によって、有機的なオブジェクトを生成するソフトです。Maya用のインポートプラグインはありますが3ds Max用はないので、objなどの汎用フォーマットを用いなければなりません。ライブラリも多数用意されており、その中には様々な3Dフォーマットのデータが収録されているので、ライブラリのみを購入して使用することも可能です。
両者の考え方はほとんど同じです。木を例にすると、根→幹→大枝→小枝→葉という階層構造を頭に入れながらモデリングを進めます。Onyxの場合は、この構造がタイプ別に固定されていますが、Xfrogは自由に組むことが出来ます。一方、Onyxは作成したものの「シード値」を変化させることによって、似たものを簡単に生成できますが、Xfrogはできません。3Dで植栽をモデリングするには両方を使い分けられればベストですが、どちらかひとつだけでも用意したいところです。
その他
・バイオナティックス natFX / EASYnathttp://bionatics.jp/
これは、素材集/専用モデラー2つの特徴を併せ持ったユニークなもので、3ds MaxやMayaのプラグインとして動作します。建築ビジュアライゼーションなどに向けたEASYnat(フリー)と、詳細な設定が可能なnatFX(有料)の2種類のプラグインがあります。必要な樹木を購入し、樹齢、季節、表現方法(ビルボード、フルポリゴン、両者のハイブリッド)などのパラメータを設定しながら、使用します。
さて、大量の3Dモデルの樹木をレンダリングするには「プロキシ」を使用する必要があります。mental rayの場合は「mr プロキシ」、V-Rayなど他のレンダラーの場合はそれぞれに用意されたプロキシオブジェクトを使用します。具体的な作成方法はここでは述べませんが、ひとつだけとても大切な注意点を。複数配置する場合には、必ず「インスタンス」を用いなければなりません。「コピー」ではプロキシオブジェクトの意味がなくなるので、注意してください。
あるアニメーションの1フレーム(V-Rayでレンダリング)です。樹木類はすべて3Dモデルのため、シーン全体のポリゴン数は2億ポリゴンを超えますが、プロキシオブジェクトを用いているので、レンダリング時のメモリ消費量は2.5GB程度でした。
最後に、コツをひとつご紹介します。樹木をマスな視点で認識する場合、見えてくるものは幹と太い枝と葉です。特に、葉の占める面積が大きいので、そのマテリアルにひと工夫与えると雰囲気がかなり変わります。ポイントは「トランスルーセンシー」ですが、その設定方法はレンダラーによって異なるので、使用しているものでいろいろ試してみてください。
トランスルーセンシーを用いずにレンダリングしました。葉の部分が暗く沈んでいます。
トランスルーセンシーを用いると、逆光気味でも葉の部分が明るく、立体感が出ているのが確認できます。
植栽に関して、静止画であれば画像を貼り込んで処理することも可能でしたが、アニメーションでは写真を用いたビルボードのみの処理では、ほとんどの場合対応できません。
ここ数年で、プロキシオブジェクトが一般的に使用できるようになったため、全ての樹木や草花を3Dモデルで扱うことが可能になってきました。
あとは、どれだけのモデルを用意できるのかか課題になっています。特にアニメーションにおいては、部品集、専用ツールなどを状況に応じて使い分けながら対応することが求められています。