チュートリアル / fieldjamのDesignVizエッセンス
第1回:リニアワークフローについて<その1>

2009.03.03

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linearworkflow_1_01.jpeg今回から暫くコラムを書かせていただくことになったフィールドジャムの林田豪元(はやしだひでゆき)と申します。建築系のCG制作をおもな仕事としています。ここでは3ds Maxのテクニックだけではなく、デザインビジュアライゼーションを進める上で、知っておくと便利なことをいろいろな角度から取り上げてみたいと思います。最初は、耳にしたことがあるかもしれませんがリニアワークフローというものについて、数回に分けて取り上げていきます。




ガンマについて

まずは、少し目を細めながら次の画像を見てください。LCDの場合は見る角度によって異なるので、なるべく正対して見ましょう。周囲のグレー部分にもっとも馴染んでいるものが、ディスプレイのガンマ値です(大体です)。ガンマって何?良くわかんないし面倒なんだよねという人、損はさせないので少しの間お付き合いください。

linearworkflow_1_02.gif

ガンマとは、入力情報と出力情報のバランスのことです。言葉では解りにくいので図が必要ですね。

linearworkflow_1_03.jpeg

表示するディスプレイのガンマ値が1.0の場合、このようになります。ガンマ1.0の環境をリニアスペースと呼び、入力された情報はそのまま出力されます。確かに理想的ですが、ありえません。なぜならば通常は次のようになっているからです。

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はっきりと暗いんです。ガンマ値を2.2にしたのは、Windows環境のディスプレイは2.2が多いためです。ガンマ値が1.0を超えると、そのカーブが下向きに膨らみます。ディスプレイに限っていえば、必ずこのような変換が行われて表示されます。この場合、最大値と最小値は変わらないけど中間値がぐっと押さえられているので、大きな問題です。

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そこで、あらかじめ明るくしたデータをディスプレイに送り込んで、相殺させてリニアスペースで表示するということを行います。こうすると、作成した画像の情報をそのまま表示できることになります。理屈は単純ですが、なんだか、やっぱり面倒ですね。

なぜガンマが存在するの?

そもそも、ガンマ1.0のディスプレイがあれば問題ないんですが、この話はブラウン管テレビの誕生にまで遡ることになります。その昔、ブラウン管テレビを作ったら電気的な特性上、ガンマが2.2だった。そこで、ガンマ1.0に補正する機能をテレビに持たせようと思ったけどコストが掛かってしまう。だったら、放送する側のテレビカメラで補正することにして、テレビの価格は抑えて普及を目指そう、という流れがあったそうです。ここでのテレビカメラの補正値が0.45(2.2の逆数)になっています。先ほど説明したものは、一般的なテレビ放送でのガンマ補正と同じ考え方です。

さて、Macが大好きな人、さらに昔から使っている人、WYSIWYG(ウィジウィグ)なんて言葉がありましたよね。これはWhat You See Is What You Getの略でディスプレイ表示と処理結果(特に印刷物)を一致させる技術のことです。Macではこのことを実現するために、いろんな環境を整えました。その中のひとつにMac環境のガンマは1.8というものがあります。あれ?2.2じゃないの、やっぱりMacって異端!なんてひどいこと言わないでください。実は当時Appleが出していたLeserWriterというレーザープリンタでの印刷物のガンマが1.8だったんです。印刷物のガンマ???って思いますよね。一般的な印刷での中間色は網点の集合体で表現されますが、この網点が紙に印刷されたときに少し太ることをドットゲインと呼びます。リニアスペースの情報を印刷しても、中間色が濃くなるというこの現象をガンマに置き換えると1.8になるということです。そこでWYSIWYGの精神に従って、Mac環境のガンマも1.8にしたということらしいです。Windowsの話ではないのですが、私はもともとMac使いだったのでちょっと(かなり?)触れておきました。

sRGBについて

1998年にsRGBという国際規格が登場します。これはカラースペースを定義するもので、WindowsでもsRGBを標準として定めており、ディスプレイやスキャナー、デジカメなどの周辺機器でも採用されています。そこで、作業そのものはリニアスペースで行い、ガンマ2.2という値を考慮してディスプレイ表示など必要なときにガンマ補正すれば理想的だよね、という考え方が現れました。これをリニアワークフロー(LWF)と呼び、数年前から巷で流行ってます。

リニアワークフローを用いると

流行ってるからといって何らかのメリットがないと、これまでのワークフローは変えられないですよね。そこで、次回に繋げるために図を用意しました。

linearworkflow_1_06.jpeg
どちらもmental ray(ファイナルギャザー使用)でレンダリングしています。いかがでしょう?右の画像の方が、暗い部分のディテールが潰れずに表現できていますよね。このことが大きなメリットのひとつです。最近のレンダリングではGIを使うことが標準になっていると思いますが、その場合、直接光があたっていない部分でも、間接光の回り込みによって若干明るくなっているところがたくさんあります。そのような表現を行うには、リニアワークフローを用いることをおすすめします。左側の画像でもPhotoshopなどで補正すれば右側に近づけることはできますが、当然手間が掛かりますよね。ガンマの話が面倒だと思った人、どうですか、リニアワークフローって魅力的に感じませんか。

ここまで読んで、よしっディスプレイと3ds Maxのガンマを2.2に設定するぞと思っても、まだ待ってください。ワークフローという言葉からわかるように、作業する上で気をつける過程がまだまだあるんです。次回はリニアワークフローの構築方法について解説しますので、切り替えるかどうかはその後に検討してください。

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