Autodesk MasterClasses 2010 イベントレポート
MasterClass for Softimage 2010年12月8日(水) ICEの実践
美しく、繊細な、アニメーション、モーショングラフィック、映像を手掛ける映像クリエィティブチーム、 「Psyop/サイヨップ」 の創業からのメンバーの一人、Todd Akita 氏がMasterClassに登壇。限られたスケジュールのなか、最高のクオリティを生み出す手段としてICEを活用するTodd氏のアプローチについて冒頭に解説が行われた。生産性を上げるための効率化と効率化のために研究時間を割くことは、これまでバランスをとるのが難しい課題であった。しかし、ICEを用いることでプロダクションと同時進行でこれを実現出来るのだとTodd氏は力強く解説を行った。
そして、ICEを利用する前提として、数学の基礎を理解することの重要性について触れ、実際にICEノードを用いた解説へと講義は進行していった。ピタゴラスの定理、ベクトルの処理、内積と外積、行列と変換といった数学の基礎をICEのノードで再現しながら解説は行われた。
ベクトルと内積を用いてパーティクルのバウンスをICEでゼロから構築するというレッスンでは、段階的アプローチが分かりやすく解説された。複数の外積計算を利用した押しつぶしディフォーマでは、実際のプロジェクトのどういった表現でこのテクニックが利用されたかという実例も紹介。3DグリッドにおけるICEのパフォーマンス改善のアプローチ、頂点カラーを利用した擬似リフレクションやAOといった多岐に渡るICEの話題がカバーされた。そして、リニア、バイリニア、トリリニアといった様々な補間方法を活用したセルコーナーのスムーズなブレンドからICEベースのラティスデフォーマなどTodd氏の惜しみない知識の共有が行われた。
講義の終盤には最新プロジェクトでのヘアを利用したカーペット表現など、各種Psyopのメイキング紹介も行われた。一部のプロジェクトでは、トラディショナルなインクエフェクトによるコンポジットと2.5Dのリグ表現を利用するなど、技術だけでなくアーティストとしてアイデアの重要性についてもふれられた。濃密な講義内容と詳細なドキュメント、多数の関連サンプルデータにはMasterClass参加者からも高い満足度の声が上がった。