トレンド&テクノロジー / DirectX 11とWindows Gaming Technology
第1回:DirectX 11 Windows Gaming Technology

2010.10.01

「Direct X11を採用したら何がいいのか?」

じゃぁ、Direct X11を採用したら何がいいのって声が聞こえてきそうなので説明しますと、ずばり新世代グラフィックスとパフォーマンスと互換性です。
ご存知だと思いますがDirectX 11にはテッセレーターがあります。テッセレーターを使うことによって高精細なモデルやアニメーションの実現ができるようになります。例えば波の表現とか髪や髪の毛がなびくようなモデルやモーションといったものをこれまでとは違うレベルで美しく表現できます。DirectX9とか現行のコンシューマー機では表現できないハイエンドなクオリティがDirectX 11で実現可能になったということです。
ゲームは絵じゃないという方もおられると思いますが、やっぱり美しく綺麗なゲーム画面の方がいいじゃないですか!
パフォーマンスの面で言うとDirectComputeとマルチスレッド対応があげられます。
DirectComputeはこれまでCPUで行っていた処理をGPUで高速処理させるというものです。最近だと動画のエンコードに採用されているアプリケーションもあるので耳にした方も多いのではないでしょうか。
マルチスレッドはDirectX 11の場合、アプリケーションコード、ランタイム、グラフィックコマンド等において分散処理が可能となりパフォーマンスの向上が望めます。
ではゲームにおいてどんなことができるのかというと、AI計算や、物理計算、アニメーションエンジンへの応用が考えられます。言い換えればより賢いAI、リアリティーのある風景やアニメーション、エフェクトが実現可能になるということです。

ところで、いくらハードウェアやグラフィックスライブラリが強力になってもそれを実現するためにはツールが良くなくてはなりません。その点、Autodeskさんのツールは非常に強力だと思います。いくつかソリューションがある中で個人的に強力だと感じたのはHumanIKとKynapse。HumanIKは自然なモーションの実現、Kynapseは人間行動にかぎりなく近い振る舞いを実現するものです。HumanIKやKynapseをゲームに採用することで、これまででは実現できなかったリアリティーや自然で存在感のあるアニメーション、状況に応じたモーションや立ち振る舞いといったものがDirectX11を採用することで実現できると予想しています。
もっと言えばこれらの機能はゲームをもっと面白くするための必須ソリューションの一つじゃないかと。
Windows ゲームの最大の楽しみと面白さはコンシューマー機では絶対に体験できない最先端テクノロジーを使用した最高級品質のゲームですからね!

「これからのゲームは?」

ここ最近はSNSゲームが流行っているのは周知のことだと思います。私が思うのはこれらのゲームにも3Dの波やハイエンドグラフィックスの時代が来るということです。次世代のInternet ExploreではDirectX 11の新しい機能であるDirect2DやDirectWriteが使えるようになります。結果よりクリアで鮮明な画像でゲームを楽しめるようになるでしょう。そこで重要なのはツールです。デザイナーの方が作成した画像がそのままゲーム中で表示される時代がすぐそこにやってきているのです。
これからもCGはツールと共に進化し続けます。願わくばDirectX11を使用して進化していってほしいと切に思う今日この頃です

著者

鵜木 健栄

鵜木 健栄

ホーム&エンターテイメント事業部
デベロッパーネットワークグループ
テクノロジーリサーチ&エベンジェリズム
プログラムマネージャー/DirectXプログラムマネージャー

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