キャラクターアニメーター 島田信也氏(株式会社セガ)インタビュー

更新日 2011.07.29

Parkour Animation[DemoReel] from 島田信也氏 on Vimeo.

  • はじめに、島田様の自己紹介をお願いします。

    映像出身でゲーム業界でのキャリアは10年です。キャラクターアニメーターとして古くはシェンムー2、バーチャコップ3、ゴーストスカッド、龍が如く1 , 4、最近まではバーチャ ファイター5などの作品に携わってきました。趣味は映画鑑賞と海外旅行です。


    島田信也 氏
    株式会社セガ 開発生産統括本部 第二研究開発本部
    プロダクトサポートセクション 所属 キャラクターアニメーター

  • 担当業務について少しお聞かせください。

    プロジェクトによって比率は変わりますが、平均すると5割程が手付けアニメーションとなります。
    私はプレイヤブルアニメーションがメインですので、カメラ、フェイシャル作業に関しては、ほとんど担当していません。

    Softimageを利用する作業以外にも、後輩への指導、キャプチャー立ち会い(演技指導含む)、担当プロジェクトの打ち合わせなどの業務が主なタスクです。

  • アニメーターとして要求されるタスクに昔と現在で変化を感じられていますか?

    プレイヤブルアニメーションに限りですが、以前はデフォルメされ記号的なアニメーションでしかありませんでした。しかし、モデルのクオリティが上がるにつれ、デフォルメされた動きの中にもリアリティーや個性を入れる必要性が生じていると感じています。
    ここ近年ではフェイシャル、物理演算等の作業といったタスクへ取り組む必要も出てきているかと思います。

  • 今回、動画サイトで作品を公開されたきっかけについてお聞かせください。

    海外の人達が自分のリールをVimeo、Youtube等にアップしているのを見て興味を持ち、簡素なキャラクターでリアルなアニメーションを表現する事を目標にデモリールを作成しました。

    そこで、以前から興味があったパルクールを題材に選びました。色々な動きの要素が入っているためアニメーションのリールとして分かりいと考えたためです。曲に関しては友達のバンド(FLOATTT)の音源を使用しています。

  • 作品を完成させるまでの課程のご説明をお願いします。

    絵コンテ等はなく、集めた資料から大体のアニメーションの構成を考えました。カメラに映る部位のアニメーションだけを作成するのではなく、全てのアニメーションを作成したのちカメラを作成しています。



    作業期間(一日8時間程度と計算)としてはアニメーションで1週間です。
    他には、カメラ1日、モデリング3日、レンダリング以降の作業が1ヶ月程度となります。
     *アニメーション作業以外はほとんどがはじめてに近い作業でしたので、調べながらの作業となり時間が掛かっています。

  • 苦労されたショットはございましたか?

    アニメーション的に難易度が高いモノはなかったのですが、1600 Frame弱のハンドアニメーションを一関節ずつRotationで制御するのは大変でした。

  • 作品中のカメラのカット割り、カメラ手ぶれ表現といった演出のこだわりをお聞かせください。

    カメラアニメーションに関しては同僚のアドバイスを受けながら構想を練りました。
    この映像に関しては、アニメーションが主体です。このため、出来るだけ固定カメラで撮りつつ味付けとして手ぶれ演出を入れています。

  • 島田様のアニメーションスタイルについてご説明願います。

    1.  初めに動作を構成する上で最低限必要なポーズを任意のフレームに差し込みます。
    そして、Softimageのフレーム補完を使用して全体の動きを大まかに作成します。

    2.  動きの流れが出来た段階ではドープシート等で気持ち遅めで全体をフレーム調整します。
    (後に色々な動きの要素を足すことにより、どうしてもアニメーションスピードが早くなりがちです。そこで、気持ち遅めに調整することで、そういった状況に対するマージンを持たせています。)

    3.  フレーム調整後は体の中心(基本は腰)から末端への順番にF-curve上で動きの要素を追加します。そして、動き的に無理がある個所を修正しながら作成していきます。(基本的な作業の流れは中心から末端に設定していきますが、往復を繰り返しながら調整します。)

    4.  ある程度出来た段階でまたドープシート等で再度スピード調整をします。

    5.  ③と④を往復しながら理想の動きを作成します。

       

  • 島田様とは異なるアニメーションスタイルを好む方もいらっしゃるのでしょうか?

    最近ではF-curveをまったく使用せず、Viewer上でしか作業をしない方が多いです。逆に少数派としてFcurveしか見ない(どういう数値を入れたらどういうポーズになるかわかる)という方もいたりします。あるいは、キャラクターの腰だけで大まかな移動、タイミング等を作り、その後それに合わせて全体の動きを作る方もいると思います。

  • Softimageのアニメーション作業で気に入られているポイントはございますか?

    F-curve Editorの操作が直感的かつ痒い所に届く仕様になっているところです。例えば、キーやキーのハンドルに対しても簡単に数値入力で移動が出来る所や、HLEを使ってF-curveを簡単に調整出来るところです。

    F-curve EditorとDopesheetという基本機能がしっかりとしている点は私のアニメーションスタイルとって非常に重要です。

  • キャラクターアニメーターというお仕事の魅力をお聞かせください。

    ベタかたもしれませんが、ポリゴンという無機質なモノを表情豊かに動かす事により、命を吹き込む感覚がアニメーターとしての面白みです。またゲーム製作する上でプレイヤブルアニメーションは操作性や面白さに直結している部分があるのでやりがいを感じます。

  • キャラクターアニメーターの職業病は?

    気になる動きがあるとついつい自分自身が動いてしまう癖があり、道端でよく他人に白い目で見られます...。

  • 影響を受けた作品はございますか?

    映画は好きですので色々と影響は受けています。キャラクターアニメーターとして一番刺激を受けたのは、ピクサーの「レミーのおいしいレストラン」です。エンドロール上で No Motion Capture!! という記述を観た時に鳥肌がたったのを覚えています。

  • アニメーターとして常に心がけていることはございますか?

    プレイヤブルアニメーションを作成する時は、全フレーム上で動かしているキャラクターが理想的(かっこいい)なポージングになる様に作成しています。逆にプレイヤブルアニメーション以外では、理想とは少し外れたポージングを部分部分に入れる事により、リアル感を出す様にしています。

       

  • アニメーターとして重要な能力はどういった技能でしょうか?

    アニメーターとして必要な能力は、細かく言えば色々とあるでしょう。しかし、最終的には以下の2つだと考えています。

     ① 動き(動)とポーズ(静)の引き出し量
     ② ダメ出しをする力

     仕事上言葉では一つで済む様な動き(パンチ、走りetc)を何種類も作成しないといけない事が多々あります。その際に引き出しが少ないと絵的に変化が少ないバリエーションしか作成できません。それでは、結果として面白みのないモノになってしまいます。

    また、その引き出しも作成するキャラクターの性質にもよりますが、時代に合った引き出しである必要があります。
    どんなに良い動きをしていても、古臭い動きやポーズでは見る側に響いてはくれないでしょう。

    あとダメ出しをする力ですが、それがないと技術、引き出し量共に伸びません。私も常に自分が作成しているモノに対して客観的にダメ出しをしています。それを次回への課題としてモノを作成する事が、より良いモノを作成する基本となると考えているからです。
     *課題を持つ事は、アニメーションを作る上での意識レベルを上げてくれます。ですので、課題はたくさん持った方が良いです。

  • キャラクターアニメーターを目指す学生の皆様にアドバイス(あるいは、ダメだし)をお願い致します。

    Softimageはアニメーション関連の機能がとても充実しています。逆を言うと、それらを使用する事によってある程度のクオリティのアニメーションが楽に作れてしまいます。ですが、機能ばかりに頼ってしまうと、いざワンランク上のクオリティを要求された場合の対応に苦労する事になります。

    アニメーションレイヤー、ミキサー等の機能は、アニメーションを理解している人が作業スピード向上のためのテクニックだと私は考えています。ですので、学生の内は出来るだけ基本機能(F-curve EditorやDopesheet)のみでアニメーションを作り、F-curveを熟知する事をメインにモノ作りをするほうが良いと私は思います。あとは出来るだけ色々なモノを経験して引き出し量を増やしていく事ですね。

  • 最後に一言お願い致します。

    CEDEC 2011では、3Dアニメーター列伝!に参加させて頂きました。もしよろしければご覧ください。

    今後もSoftimageを武器にキャラクターアニメーターとしてのスキルをより一層と磨いて行きたいですね。

     
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