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第10回:Autodesk Human IKはシンプルです

2011.07.27

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Siggraphが近づいてきました。

今年もCG屋さんにとっては欠くことができないSiggraphのシーズンがやってきました。今年のSiggraphはいつもと異なりアメリカではなく、カナダのバンクーバーで行われます。 最近でこそ頻度は減りましたが、以前はSiggraphの前にMontrealに渡り、リリース前の製品を「あーでもない、こーでもない」と弄りまわしその後Siggraphに挑むという長期の出張になっていました。ただその場合でも出張先はMontrealなので、私にとっても今回のバンクーバーは新鮮です。Siggraph後にMontrealに行かなければいけないのですが、少なくても土曜日は体が空くのでバンクーバーを満喫したいと考えています。
Siggraphに参加される方は皆さんカンファレンスに参加されると思いますが、仕事で参加している私は大体会場の隣のホテルに朝から晩まで缶詰になって中学生レベルの英語力で泣きそうになりながら仕事をしています。自費で良いのでカンファレンスを受けることができるようになりたいと思っています。


Autodesk Human IK(以下Human IK)を使うメリット

オーサリング側でIKを使うメリットは勿論簡単にわかると思います。ランタイムでIKを使うことのメリットはなんでしょうか?私が解説するのもなんですが、やはり起伏のある地形をキャラクターが動くことだと思います。
ではHuman IKを使うことのメリットはなんでしょうか?前回のコラムでは簡単に解説させていただきましたが、各IKのルートまでではなく体全体のアニメーションが自然に補正されることです。たとえばキャラクターが岩を登るということを考えてみてください。FKベースでランタイムを構築している場合、アニメーションは基本的に変化しないため、登るルートを制限するのが常套だと思います。IKではある程度自由度を与えることができますが、基本的には手足だけの補間であるため、不自然さは隠せません。
HIKの場合は基本モーションに対し各ボーンにオフセットが入る場合、モーション全体を自然に補正してくれるため、ある程度は環境に応じてプロシージャルにモーションが生成されます。以下の動画を見てください。



この動画ではUnrealEngine 3のラインチェックの機能を利用し、地形の起伏情報を読み取りHuman IKの手足と肘、膝、そして腰の部分にオフセットをランタイムで与えています。元のモーションは一つだけなのですが、Human IKのフルボディIKのソルバーによって起伏のある地形であってもモーションが破綻することなく、正しく補正されていく様子がわかります。


Human IKができること

Human IKは非常にシンプルです。基本機能としては2つしかありません。フルボディのIKとリターゲットです。フルボディIKは今までお話ししてきたように体全体に作用するIKシステムです。通常のIKシステムではパラメータとしては基本的に2つだと思います。(勿論内部計算では複数あると思いますが、一般的に公開するという意味です)言ってしまえばエフェクターに対する位置と回転の情報です。図に描くとこんな感じでしょうか。


mark_arrow.gif



通常のIKシステムではターゲットがエフェクターに届かない場合、ルートは起点となるため移動しません。そこで上図のような結果になります。Human IKではこれに加え、Pullというパラメータを持っています。そのためPullに0以外の数値を入れればエフェクターがターゲットに届かない場合、パラメータの強弱によってルート、更にその上部構造も引きずられて動作するようになっています。図に表すとこんな感じです。



基本的にはこのフルボディIKの振る舞いは2足歩行のキャラクター又は4足歩行のキャラクターに関して適用することができます。
勿論関節の数に関してはプロシージャルに15ジョイントから170のジョイントまで可変にコントロールすることが可能です。ただし、プルポイントなどはある程度決まっていますので、必要最低限のボーン構造は規定されています。下図で赤い部分が最低限必要なものです。



最大のボーン数では手の指の骨、そして背骨なども再現できるようになっています。どうでしょうか?だんだんHuman IKに興味が湧いてきませんか?

次回からは更に詳しく解説していきたいと思います。お楽しみに。

著者

門口 洋一郎

門口 洋一郎

オートデスク株式会社
技術営業本部
M&Eマネージャー

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