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第15回:ビットからアトムへ

2013.01.09

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米国本社のAutodesk Universityに参加してきました

日本では春から夏の頃に開催されるAutodesk Universityですが、米国では晩秋に開催されます。日本のAutodesk Universityも2千人近くの人が訪れる大きなイベントですが、本国のものは巨大です。主に米国を中心としたオートデスクユーザが集まるイベントですが、LasVegasの巨大な施設を使用し、ほぼ一週間に渡って開催され800以上のセッションが行われています。またキーノートスピーチではコンベンションホール全体を使用して弊社CTOやCEOそしてMakerから多くの参加者にメッセージが届けられました。


そのメッセージの中で今回感じ取ったのがFabricationとコミュニケーションというキーワードです。3年前のキーワードはDesign Visualization、2年前はポイントソリューションからトータルソリューション、昨年くらいからクラウドをうたってきました。時間差はあるにせよ実際弊社から出てくる製品はその思想を実在化してきたと思います。ではこのFabricationという言葉はなんなのでしょうか?


MAKERSに関して

MAKERSという本をご存知でしょうか?著者であるクリス・アンダーソンの名前は思いだせなくてもWiredの元編集長の肩書や、フリーやロングテールなどの著書には覚えがあると思います。
ご興味のある方には是非ご一読をお勧めしますが、インターネットやオープンソース、3Dデータそして3Dプリンターによって、今までビットの世界のみで動いていた進化のスピードがアトムの世界にも降りてこようとしているんだということを感じることができます。恥ずかしながら私自身Kindleが手に入る前にKindle版を購入してしまい、(iPhoneのKindleアプリでは目が疲れて読み続けることができませんでした)Kindleを入手した今、現在進行形で読んでいる最中です。クリス・アンダーソンは自身のプロジェクトにおいてアイデアをWeb上で公開し、オープンアーキテクチャーを使用し、コミュニティの支援を得ながら実際に製品を作っていく過程を紹介しています。MAKERSを読んでいただくとわかりますが、文中に何度もオートデスクという名前が出てきます。なぜなら弊社製品がビットからアトムに変換するFabricationの一翼を担っているからなのです。


実体化に関して

このコラムをご覧の方々は日々Autodesk 3ds Max, Autodesk Maya, Autodesk Softimageのいずれかを使用してデジタルデータを生成していると思います。3Dのデータからの出力先がゲームであれ、映画であれ、ARであれ、基本的に手で触ることはできません。モーションキャプチャーや3Dスキャナー、モーションコントロールカメラ等現実世界から入力は有っても手に触れる形で出力する機会は少ないのではないでしょうか。Fabricationはその実体化を可能にします。
Fabricationに関しては大きく3つの手法が存在します。
・レーザーカッター
・CNC
・3D Printer
実は前回のコラムで紹介した123Dのテクノロジーを使用すれば、上記デバイスから簡単に3Dデータを実体化することができます。それぞれの手法によって特徴がありますが、まずは一番入りやすいレーザーカッターから紹介してみましょう。


レーザーカッターは高出力のレーザーを使用し、様々な素材を切り抜いていく手法です。基本的には板状のものを切り抜きますので、レーザーカッターに送る情報は2次元の情報です。
ただ、我々のツールは3次元の情報を持っています。これを2次元の情報に落とすのには123D Makeを使用します。下記サイトからダウンロードしてみてください。

http://www.123dapp.com/make

iPad版もありますが、機能限定なので、ここではPCまたはMac版を使用してください。
軽く遊んでみてください。サンプルでRocket等を読み込んでください。
File>Open Example Shapeで読み込めます。


あとは左のメニューの中からConstruction Techniqueを選択するだけです。私の場合はRadial Slicesを選択しました。


レーザーカットで実体化するので、ここで切り抜く素材の厚さや、最終的に組みあがった際の大きさなどを入力してあげれば、epsやpdfの形式でデータを出力することができます。

ただ、我々はプロ向けの製品である3ds Max、Maya、Softimageのいずれかを使用しているはずです。せっかく世界最高の造形ツールがあるのに、それを使用しない手はありません。そこで実際に試してみました。実験に使用したのは弊社がGamewareのデモ用に作成したゲームであるHyper Space Maddnessの主人公であるSvenのデータです。



まずはこのデータをCGツール上に読み込みます。


全体をパーツに分けるとコストが掛かるので、今回は頭部のみとします。なお123D MakeはSTL又はobjのデータを受け付けますので、どちらかでデータを吐き出します。
123D Make上でobjを読み込みます。


今回ディテイルが欲しかったのでConstruction TechniqueはSliceを選びます。
また、サイズも等身大にしたかったのでHeightやDepthを調整しました。


さて、ここからですが、レーザーカットしなくてはいけません。123DのサイトからSVGファイルを指定して業者を指定し、日本にキットを送ってもらうという方法がありますが(MAKERSでも世界中どこからでもFabricationできる手法として勧められています)ここは日本です。様々な業者さんが既に存在します。私の場合は自分でカットされている様子を見たいという欲求からデータとカット素材を持ち込むことにしました。実際にくみ上げたのが下記の画像です。


凄いでしょ。バーチャルなデータが手に触ることができるなんて素敵だと思いませんか?
次回以降でこの工程を更に説明していきたいと思います。ついでにこのFabricationを行うことでエンターテインメントの業界においてもちょっとした変革が起きるなーと気づき始めました。次回はそのことに関しても言及していきたいと思います。お楽しみに!


著者

門口 洋一郎

門口 洋一郎

オートデスク株式会社
技術営業本部
M&Eマネージャー

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