トレンド&テクノロジー / Case of CG Production 〜理想構造へとシフトさせる環境づくり〜
第1回:Case of SANZIGEN ~商業アニメにおけるCGプロダクション~

2012.03.26

  • 3ds Max
  • アニメ
  • 学生・初心者
3DCGといっても最近ではずいぶん細分化されてきた。
様々な業界があり、様々なデザイナー・アニメーターがいる中で、ツールやワークフローなど細分化されていくのは必然である。
サンジゲンのやり方もその中の一つであり、唯一の答えではない。
 
しかしながら、すべての仕事に対して別々な環境を作ることは不可能である。
今回の企画は細分化されつつあるプロダクション環境などについて、いろんなスタジオにお邪魔してディスカッションしながら情報を共有していきたいと考えている。
とはいえ、堅苦しくはしたくないと思っているので安心してほしい。

さて、そもそも私はこのように考えている。
10数年CGに携わっていると様々な変化を感じ、様々な方向性へと進んでいく人々に出会う。
そうしていく中で多くの仲間達と出会い、情報交換し、少しづつそれぞれのビジョンに向かって進んでいくと。
とはいえ、各社の状況や環境、人材に関してはなかなか共有出来ていない。
本質的にできない部分もあるが、話をしていくなかではなるほどと思えることは多い。
 
私の持論、私見ではあるが、CG業界というものは存在せず、各アニメ業界、ゲーム業界、CM業界、遊技機業界など、それぞれ納品する形態によって業界があるのだと考えている。
そんな中、サンジゲンはアニメ業界に在籍していて、その狭い業界の中で独自のノウハウや環境を作っている。
言い換えれば、サンジゲンはアニメに特化した環境づくり、スタジオづくりを目指している。

サンジゲンの環境

ではまず、サンジゲンの環境を紹介しよう。
 
サンジゲンはアニメの3DCGを主軸としている。
CG表現の幅はアニメだけで全てを網羅することは出来ないが、サンジゲンとしては、現状日本ではアニメがベストで、それにマッチした表現を目指すことが求められていると考えている。
そのために特化した環境を模索・構築しているのが現状だ。
 
ハードウェアはHPのワークステーション(Z400、Z600、Z800)を中心にしているが、すべてシングルCPUで、メモリも12G程度で押さえている。
これらとは別に、レンダリングファームがあり、Z200を60台、自作のブレードマシン40台がある。
これらの環境構築においては、1枚1枚のレンダリングが非常に軽いという特徴を汲んでいる。
スペックの高さよりも台数でクリアした方が効率的だからだ。
CGのプロダクションにおいては、すこし思想の違う部分かもしれない。
 

また、ソフトウェアは Autodesk 3ds Max をメインソフトとして、環境を構築している。
私自身、Maya、Softimage、Ligthwave 等を使用してきており、他のソフトウェアへの抵抗感は薄いが、会社としての投資を含めて考えると、なかなか移行しにくい。
 
人材面の環境について。
2006年設立当時のスタッフ構成は以下の通り。
アニメーター・モデラー 6名
当時は全員がゼネラリスト。
2007年頃から、モデラーとアニメーターを分けるようになった。
2011年からVFXの部署もつくり、制作も導入。
2012年1月現在のサンジゲンのスタッフ構成は以下の通りだ。
3DCGモデラー10名
3DCGアニメーター35名
VFX(撮影)7名
ラインディレクター5名
制作5名
他4名
 

 
ワークフローをあげるなら次の通りだ。
1. 絵コンテ打合せ
ここで演出内容や必要なモデル等、カット制作の要素が確定される。
2.  アニマティクス
絵コンテから読み解き、レイアウト、ラフアニメーション作業。
必要なモデルも分業の場合ラフの場合もあるが、簡単なものなどは作ってしまう。
3. セルルック・アニメーション
レンダリングし、Pencil+2の処理もいれて、仮合成しながら作業。
めり込み、揺れもの、表情、モブなどの作業
4. ストラクチャ・アニメーション
色彩、背景美術などを撮影にデータを渡せるような状態にする。
3DCGアニメーション工程は一度ここで終了
5. 撮影
ボカシ、光等の処理をのせて、完成させる。
BGオンリーカットなど、撮影側で担当することもある。
6. 編集へ
 
サンジゲンの動向として、コンスタントに作品を作り続け、さらにアニメ作りのメインストリートに出て行くためには、アニメーターの増強は必須である。
モデリングを軽く見ているわけではないが、アウトソーシングしやすい工程であるため、社内では重要な部分、コアな部分の担当として采配を考えている。

今後について

リサーチ等含め考えているのは「制作」のあり方だ。
サンジゲンとしては3DCGを中心にアニメづくりを、と考えているため、サンジゲンのやり方に特化した「制作」が必要になる。
制作を委託するやり方や、独自のスタッフ教育が必要になると考えている。
いくつかのアイデアをもとに実行中だが、実際に作品を通じて構築させていくことは間違いない。
さらに、3DCG以外の部分(撮影や色彩、背景)も非常に重要であると考えているため、今後の作業フローは大きく変えていきたいと思う。

さて、このような感じでサンジゲンのスタジオは現在も進化中である。
最初に思い描いたビジョンや途中で変わっていったもの、それらが入り交じって、今のサンジゲンがある。
自分達の立ち位置、3DCGをやっている人たち、各業界のなかでの地図上でサンジゲンがどこにいるのか?
そういうことも各スタジオの主たる方々とお話させていただくことで、認識できると経営面においても計画しやすくなると確信している。
 
また、読者には様々な3DCGをやっているスタジオの動向や方向性などを読み解いていただいて、「今後の方向性につなげていってもらえる一つの方法論」になると、とてもうれしい。
 
 

著者

松浦 裕暁

松浦 裕暁

株式会社サンジゲン代表取締役社長、株式会社ウルトラスーパーピクチャーズ代表取締役社長、株式会社ライデンフィルム代表取締役社長

製品購入に関するお問い合わせ
オートデスク メディア&エンターテインメント 製品のご購入に関してご連絡を希望される場合は、こちらからお問い合わせください。