チュートリアル / ATA企画の mental ray ビジュアライゼーションテクニック
第2回:詳しく知ろう mental ray

更新日 2009.05.16

mental rayを実際に使ってみる前に、今回はmental rayにの中に入り込んだ詳しい話をしておきたいと思います。
じらすわけではないのですが、今までラジオシティなどを使用していたユーザさんなど、mental rayとはどういったレンダラーなのかを知ることによって今後作業していく上でアドバンテージになるでしょう。

mental rayは、独mental images によって開発され、レイトレース法をベースとして反射・屈折・グローバルイルミネーション(GI)・コースティクス・被写界深度・ディスプレイスマップ・他多数などをサポートする同社の主力製品です。
また、フォトンマップ技術により、光の物理的な現象を再現することが可能です。

mental rayは1989年から開発が続いており、最初にSoftimage|3Dが内部レンダラーとして統合しました。現在では3ds Max、Maya、AutoCAD、RevitなどのAutodesk製品にも搭載されています。
また、3Dソフトウエアに依存せずに動作するmental ray Standalone もあります。
マトリックス、スパイダーマン3など数多くの映画・TVなどでも使用されており、世界中で高く評価されているレンダラーです。

3ds Maxに完全に統合されているため、通常のスキャンラインを使用するのと同じ感覚でソフトウェアの違いを感じずに作業することができます。
作成したシーンをmental rayでレンダリングを開始すると、まずシーンデータはmental rayレンダリングエンジンに取り込まれ変換・再構築されます。その後にレンダリングが開始されます。
しかしながら、mental rayは3ds Maxに完全に統合されているためこれらの処理をユーザは気にせずに全て自動で行われます。
mental rayは3dsMaxを使用しているユーザには非常に使いやすいレンダラーなのです。


mental rayは色々な効果をもたらすことが可能

ではここで通常のスキャンライン同様に実際に使用した例をお見せしておきます。

通常のスキャンラインからmental rayへのレンダラーの変更は簡単です。
【レンダリング設定】の【レンダリングを割り当て】を通常のスキャンラインからmental rayレンダラーに変更するだけです。


レンダラーの設定変更

この状態で、ファイナルギャザーとGIをオフにして計算をすると通常のスキャンライン同様のレンダリングが可能です。ファイナルギャザーとGIについては後ほど説明していきます。




上の画像をみてわかるように、ファイナルギャザーとGIを使用しなければmental rayにて通常のスキャンライン同様の結果を得ることができるでしょう。
また、計算時間にも注目してください。この640x480ピクセルの画像ではスキャンライン17秒に対してmental rayは6秒と3倍弱も短縮されています。


グローバルイルミネーション

mental rayに搭載されている機能の一つとして、グローバルイルミネーション(以下GI)があります。
GIとは光源から照射される光を受けたサーフェイスが反射し、その反射光を考慮し計算する方法です。
通常のローカルイルミネーションではサーフェイスからの反射光が考慮されないので、暗い部分は真っ暗になる為、補助光などを設置する必要があります。
GIを利用すると反射光が考慮される為、補助光がなくてもよりリアルで美しいイメージを作成することが可能です。



ワンポイント

現実世界同様にGIではサーフェイスに当たった光が反射していきます。
実世界は一次反射、二次反射と反射するたびにエネルギーを失っていきます。
mental rayでもその反射回数を指定していくことが可能です。




ラジオシティとmental ray

GIを考慮されたレンダリング法としてラジオシティ法があります。
ラジオシティは数年前までかなり主流な計算方法であり、今現在も使用されています。
私も実際ラジオシティを使用していたのですが、同じGI概念を考慮している為、ラジオシティを使用していたユーザがmental rayへ移行するのは比較的理解しやすいと思っています。
では、mental rayはラジオシティと比べてどのような特徴があるのでしょうか。

・GIとFGを併用することでラジオシティに比べより簡単にハイクオリティなイメージを作成することが出来る。
・mental ray専用マテリアルが豊富にあり、高品質のマテリアルを作成することが可能。 ・コースティクス使用でよりリアルな反射表現が可能。
・mental ray専用ライトの使用が可能。
・FGを使用することにより、GI特有のもやもや・ノイズを簡単に軽減することができる。

その他にも特徴はありますが、簡単に言いますとラジオシティに比べよりハイクオリティなイメージが短時間で作成することができる点が一番の特徴だと思っています。


ファイナルギャザー

ファイナルギャザーではサンプリングされるポイントから光が放たれシーンがレンダリングされます。
と言われてもピンとこないと思いますが、ラジオシティを使っていたユーザですとよく悩まされていたもやもや・ノイズはmental rayでもGIを使用し設定によっては発生します。 それをファイナルギャザーを併用することにより、いとも簡単にそれらのもやもやを取り去り綺麗なイメージを作成することが出来ます。
シーンによってはGIを使わずにファイナルギャザーのみでもハイクオリティなイメージ作成が可能です。
初めて使用するユーザでも、ファイナルギャザーを使うだけでかなり高品質なイメージを作成することができるのできっと驚かれるでしょう。



先ほど使用したものと同じデータにファイナルギャザーのみオンにしてレンダリングした画像。マテリアルは標準、ライティングはデイライトシステムのみ

いかがでしたでしょう。今回はmental rayの歴史やGIとファイナルギャザーを説明していきました。
グローバルイルミネーションやファイナルギャザーといった聞きなれない言葉が出てきましたが、それらの内部を詳しく追及していかなくても、mental rayでは直感的に操作するだけで色々な画像を作成することができるのがわかったと思います。
今後実践でもGIとファイナルギャザーを使用してより詳しく説明していこうと思います。

更新日 2009.05.16
著者プロフィール
多田 朱利
多田 朱利
有限会社ATA企画
カナダ・バンクーバーの建築デザイン学校を卒業後、現地の設計事務所にてCG製作及び図面翻訳業務を行う。帰国後一級建築士の兄と有限会社ATA企画を設立。建築パース・プロダクトCG作成・図面トレース・出張CG講師・デザイン/施工等幅広く業務を行う。最近は執筆・講演活動も行っている。Autodesk Visualization Contest 2007にて最優秀賞、2008年では建築CG部門で4位を受賞。3ds Maxを主軸にmental ray, Maxwell, Vray, Fryrenderを操るCGアーティスト。
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