チュートリアル / 宋さんの3ds Max キッチンスタジアム
第26回:マイクロ サーフェス

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マイクロ サーフェス

身近にあるものをよく見てみてください。物の表面には必ず細かいカスレ傷や凹みが存在します。またよく磨きこんだ花崗岩や大理石のパネルなどを見ても、細かい凹凸や鏡面レベルの細かい差が発生します。どれだけ表面を磨いても多少なりの細かい傷が残るものです。

フォトリアルな最終成果を生み出すためにはこういった細かい傷やへこみを丁寧に再現させる必要があります。全体的なシェーディングのレベルには大きな影響は出ませんが、表面の細かい歪みや光学属性の変化を丁寧に表現することで、描画のクオリティが大幅に向上します。

また、物体全体的にみられる表面処理に関しては、“ラフネス(Roughness)“という属性で処理することになります。
例えばゴム質の物体でも表面処理によってその見えからは大きく変わりますね。

表面仕上げレベルを[粗さ(Roughness)]で変化を持たせた例

表面仕上げレベルを[粗さ(Roughness)]で変化を持たせた例

明らかに形状を予測させるレベルでシェーディングに変化を与える表面の粗さは法線マップやディスプレイスメント マップなどで表現するべきですが、細かい傷やカスレや汚れといった表現は粗さ( Roughness ) にマップを用いて制御すると便利です。

左下の画像は、ボーリングボールを花崗岩のテーブルに乗せたようなイメージですが、花崗岩の表面は様々な鉱石で構成されているので表面属性は多様な表情を見せます。鉱石はその種類によってIORの違いを見せますし、最終的に研磨される場合も同じ研磨器具ではその仕上がりにも差が発生します。

 

ボール自体の傷などもすべて取り払いこの花崗岩のテーブルを均一な反射属性で表現すると右図のようになります。情報量が一気に減ってしまうのがわかります。

旧来のマテリアル設定ではグロスレベルやスペキュラーレベルにマップを施してこのようなサーフェスの表現を行っていましたが、実際の花崗岩を測定すると場所によってそれほどIORの差があるわけではありません。むしろ表面の研磨レベルの違いなどにより表情が変わってくる場合が多いようです。
この花崗岩だけを主役にして計算してみたのが以下の例です。使っているのは[ベースカラー マップ]と [粗さ(Roughness)]マップだけです。

ではボーリング ボールを例にとって、よくボーリング場で目にするボールのカスレ傷を表現してみました。

下のサンプルを見てください。求める画像がどういったものかにもよりますが、どちらのボーリング ボールが実世界のボールに近く見えるかは一目瞭然ですよね。
以前のコラムでも書きましたが、フォトリアルなイメージは目を通して脳が認知する情報量を増やせば増やすほどリアルに見えてくるものです。傷のような些細な情報を適切に加えることで、リアリティーは格段に増していきますよ。でもやりすぎると戦争映画みたいになるので注意してください。
PBSでマテリアルを組んでいく場合はこの現象をしっかり把握することで最終イメージの品質レベルが大きく変化します。

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