トレンド&テクノロジー / PERCH長尾の知っ得!デザインビズ必読ポイント!
第25回:ポートフォリオの構成で印象が180°変わる

更新日 2011.07.04

こんにちは、パーチ長尾です。

前回に引き続き「プレゼン」についてお話しします。
いつもプレゼンター育成セミナーの冒頭で、「プレゼンの本当の重要性」を分かりやすく伝えるために、こんな話をしています。

図1:プレゼンセミナーでの話
図1:プレゼンセミナーでの話

(図1を見ながら読んでみてください)
「外部の制作会社さんへ仕事をお願いすることもあるかと思います。そんなときのことを思い出しながら考えてみてください」

「ここにAさん、Bさん、という2人のクリエイターさんがいます。それぞれに会ってみるとAさんについては『Aランクの能力を持っている』と感じ、Bさんについては『Bランクの能力を持っている』と感じました。
ちなみに実際の能力はどちらも『Aランク』なんですが、Bさんは自分の能力を見せるのが下手で、あなたには『Bランク』の能力としか感じられません。さて、あなたならどちらに仕事を依頼しますか?」

こう聞くと、全員がAさんに仕事を依頼すると答えます(ときおりBさんに依頼する、というボランティア精神あふれる方もいますが)。

「では、あなたが売り込む方の立場だったらどうでしょうか?
もしくは上司や社長にプレゼンするときだったらどうでしょうか?
きちんと自分の能力を伝えることができているでしょうか?」

こんな話をすると、皆さんが「プレゼンの本当の重要性」に気づいてくれて、真剣にプレゼン技術を学ぶ姿勢になってくれます。

適切なプレゼンができると、あなたの能力を「正しく」見せることができます。
そして優れたプレゼンができると、あなたは自分の能力を「高く」見せることができます。

そんなプレゼン技術を伝えるのが「クリエイター版プレゼンター育成セミナー」で、このコラムはその中から抜粋した内容です。今日はプレゼン力アップのテクニックや重要な考え方の一部をお伝えするので、吸収してください!


ポートフォリオの構成で印象が180°変わる

さて、今日の本題です。
ポートフォリオはクリエイターにとって最も重要なプレゼンアイテムですよね。自分が外部クリエイターに仕事を頼むときや、採用面接で応募者を見分けるときにも、ポートフォリオでその人の能力を見極めると思います。慣れてくると、その人の性格やセンスまで見て取れるから不思議です。

そんなポートフォリオですが、構成によって印象ががらりと変わります。ここでいう「構成」とは「ページの順序」のことです。
例えば、精緻なできばえのモデリング作品が一番はじめにあったとします。見る方は、「モデラー志望なんだな」と思います、自然な反応ですよね。しかし、話を聞いてみるとアニメーター志望でした。こういうのはよくある話ですが、もしその会社がモデラーを募集していないときは書類で落とされてしまうという最悪なケースにもなりえます。

そこで、格言1「自分が得意な分野の作品を一番はじめに入れる!」を実践しましょう。 逆に、「3DCG制作のはじめはモデリングだから、基礎力を見せるにはモデリングがいい」といった考えは相手に誤解を与える元になるので絶対にやめましょう。

図2:格言1「自分が得意な分野の作品を一番はじめに入れる」
図2:格言1「自分が得意な分野の作品を一番はじめに入れる」


できの悪いものを入れない

次に気をつけたいのは、格言2「できの悪いものを入れない」ということです。これも人間の真理の問題を誘発します。私たち人間は優れたものを見せられた後に、悪いものを見せられると、「全体の評価を悪い方に引き下げる」という特性を持っています。
心理学を語ると突然堅苦しい物言いになりますが、わかりやすくいうと、
「あなたが町を歩いているのを想像してください。目の前から『おしゃれ』な人が歩いてきます。髪型、ジャケット、シャツ、パンツ、上から下まで見とれていると、すごく汚い靴を履いていました。それを見た瞬間あなたはどう思いましたか?」
ほとんどの人は最後の靴で、「おしゃれかと思ったけど、たいしたことないかも」と思ってしまいます。

クリエイターも同じです。「この人はセンスが悪いかもしれない」「失敗するかもしれない」といった印象を与えてしまうんでしょうね。

自分の能力をしっかりと伝えたいからいろいろな作品を入れたい、ちょっと作品が少ないから少しできの悪いものも入れよう、といった考えは自分の評価を下げる元になるので絶対にやめましょう。

図3:格言2「できが悪いものを入れない」
図3:格言2「できが悪いものを入れない」


プレゼンテーションの誤解を解くと、能力は伸びるのに・・・

プレゼンの重要性に気づいたら、当然うまくなるために勉強をはじめることになると思います。でも「プレゼンの技術」に関することでは、多くの方に誤解があるように感じます。

これもプレゼンセミナーのはじめに聞いているんですけど、どのセミナー会場でも同じ反応で、みなさん笑っています。

「プレゼンの勉強をするのに話し方の本を読んだことがある方は手を挙げてもらえますか」
そうすると多い会場では7割くらいの方が手を挙げてくれます。
「多いですねえ。では、その本を読んで少しでもプレゼンがうまくなった方は手を挙げてください」
すると、皆さんクスクスと笑い出して、誰も手を挙げないんです。自分だけじゃなくみんなも効果がなかったことがおもしろいのか、思い出し笑いなのか、皆さんハッと気がついたのが楽しいのかもしれません。

そこで私が、「話し方って実は高等テクニックで、長年の修行が必要なんです、落語家さんだって大変そうでしょ。それから、人のプレゼンを見ると、『昨日、プレゼンのテクニック本を読んできたな』とわかってしまうことがありますよね」と言うと、皆さん納得されるようです。話し方だけで相手を説得できたらこんな楽なことありません、それよりも中身が大事なんだと思います。

正しい技術と考え方を学べば、プレゼン力やコミュニケーション力が伸びて、クリエイターとしての評価は高まりますから、ぜひ誤解を解いてください。


質の高いプレゼンテーションにある《3要素》

私は年間で70回、多いときには100回くらい人前でしゃべるんですが、その都度しっかりと時間をかけて準備をします。そして自分で作った理論や人が作った理論の効果を試して、より効果的な理論へと熟成させ、エッセンスを取り出して、誰でも使えるわかりやすい理論に仕上げていきます。
そんなことを数年続けていると、優れたプレゼンには3つの要素があることに気がつきました。

例えば、Apple コンピュータのプレゼンテーションはすばらしいことで有名ですから、それを想像しながら考えてみてください。

1:聞いている人が《聞きたいこと》《望んでいること》を伝える
2:わかりやすく、企業イメージを感じる《グラフィック》
3:聞いている人が引き込まれる《心理テクニック》

この3要素が、優れたプレゼンには入っています。

つまり、ビジネスマンであり、グラフィックデザイナーであり、心理学者である、必要があるということです。Apple はすべての人材を整えてイベントに臨んでいるんでしょう。
これが優れたプレゼンに隠された真実だと思います。

ではこの3要素を自分のプレゼン力強化に取り入れていけばいいことになりますよね。
しかし、ちょうどこの3つの仕事をしたことがある方はいいですが、普通そんな偶然には恵まれませんし、今更仕事を変えるわけにはいきませんから、それぞれを少しずつ学んでいけばいいと思います。
できたら3つの職業が持つ技術の中から、プレゼンに関する技術だけをピックアップできたら早く学ぶことができていいですね。

図4:3つの要素があれば高い効果が現れる
図4:3つの要素があれば高い効果が現れる

3回にわたって、人生を豊かにするプレゼンについて話をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。自分自身が高く評価される、仕事がとれる、そんなプレゼン技術を身につけるきっかけになったらうれしい限りです。

次回は、また違った視点でクリエイティブアップにつながる話をしたいと思いますので、ご期待ください。



・本連載(第12回∼第16回)でもお話ししていた「3DCGのためのカラーマネジメント」について、専門的な情報を発信することになりました。具体的な設定方法等も分かりやすく解説していきますので、ご期待ください。

CGWORLD.JP「CG de カラマネ!」 http://cgworld.jp/regular/cg-cms/

・「パーチ長尾のブログ」とfacebookを始めました。クリエイティブやビジネスの抽斗になりそうな情報について、自由に書いていきます。

パーチ長尾のブログ http://ameblo.jp/perch-com/
長尾健作facebook http://www.facebook.com/profile.php?id=100000629129154

更新日 2011.07.04
著者プロフィール
長尾 健作
長尾 健作
株式会社パーチ
大手制作会社での、デジタル化の推進、ビジュアライゼーション事業の起ち上げを担当。ビジュアライゼーション事業の起ち上げでは、営業戦略立案、人材戦略立案/組織作り/人材教育、サービス開発、技術開発、設備計画の立案など事業起ち上げに必要な全て行程の責任者として参画。独立後はビジュアライゼーション事業を起ち上げる、または拡大をされる企業様のサポートを行うコンサルティングサービスを提供。また、これまで経験から問題が起りやすい点や必要となる教育内容を解決するセミナーや、ツールを開発しています。
HP:www.perch-up.jp/

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