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第19回:広告業界のクリエイターのクリエイティブ力の秘密<3>

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こんにちは、パーチ長尾です。

デザインプロダクションにいた頃、先輩がよく雑誌を見ていました。BRUTUS とかNumber だったと思います。当時は「好きな雑誌なのかなあ」と思っていましたが、それは現代文化を知る方法だったのだと、後から気づきました。その後 NIKE、adidas の仕事をすることになったとき、「サッカーのことと、サッカーが好きな人たちの感覚を知らないといけないなあ」と焦りました。やっぱり日頃の情報収集は大事ですよね。

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図1 「広告業界のクリエイティブ力 分解図」
代表的な6つのクリエイティブ力をブログの中で紹介。今回は「Idea」


でも雑誌や広告を眺めていても、いざ仕事になった時にイメージが湧いてこない、のは、なぜでしょうか?


引き出し作りのこつ

たくさんの書類がしまってある書類棚から「必要な書類を出す」ときのことを想像してみてください。たとえば、すぐに書類が見つかる棚は整理が行き届いていて、「分類名」がついているんじゃないでしょうか。そして棚を開けると更に詳細な分類名が書かれたタブがついていると思います。

この現実の棚の「整理術」を活かしていきましょう!
雑誌や広告を眺めたときに、
・分類名
・詳細な分類名
をつけていけばいいんです。
でも、実際にやってみると問題が発生しました。

どんな分類名にするのか? がはじめの問題点でした。そこで書類を分けるのと同じような分類名をつけてみましたが、これではアイデアをうまく引き出すことができませんでした。たとえば、「広告主が所属する業界」で分類してみると、同じ業界の広告を作るときにはある程度参考になりましたが、別の業界の時には参照できませんので、アイデア数が減ってしまいます。そのため、全く新しい表現を求められたときには特に困ってしまいました。


アイデアを引き出すのに最適な分類名とは?

実際の棚を引き出すように、仕事でアイデアを引き出すときのことを思い浮かべてください。どんな仕事にも「目的(コンセプト)」があり、それに基づいて作り上げていくことになると思います。
そして、広告のデザインもビジュアル作りにも「目的(コンセプト)」があり、それに基づいていろいろなアイデアを考え、目に見える物に作り上げていきます。

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図2 広告アイデアを引き出すために必要な分類方法
「コンセプト」が分類名になる


どうやらココがポイントのようです!
広告作りは必ず「目的(コンセプト)をいろいろなアイデアに広げていく」ことをしますが、ここで参考となる物が欲しい、つまり引き出しが欲しいんです。
そこで、書類棚の分類名に変わるものとして、「コンセプト」を採用することにしました。

雑誌や広告を眺めたときに、必ずコンセプトを考えるようにします。そしてそのコンセプトを覚えるようにします。
そうすると似たようなコンセプトの時に引き出しを開けることができるようになります。この方法なら業界に縛られることなく、「アイデア」という最も重要な軸に沿って引き出しを見つけることができるので、広く、新しい表現の参考となる物を探し当てることができます。


自分の仕事に最適化

分類名を「目的(コンセプト)」にすればいいことがわかりました。後はより引き出しやすいような分類名の付け方を工夫していきましょう。たとえば図3のビジュアルを作った ときは、こういうコンセプトでした。

【製品に関すること】
・写真展でも利用できるほど高品質なプリント
・コンパクトなボディー

【ビジュアルに関すること】
・写真家のオフィス
・写真展に出す写真を選んでいる
・現代的な雰囲気

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図3 ビジュアル制作におけるコンセプト(例)


このコンセプトに合った広告や写真を探し、たくさん並べてみました。その中から参考にしたのは、

・現代の広告に流行な色合い(雰囲気)があるので、その色合いを採用
・写真家やクリエイターのオフィスに共通な雰囲気など

この2点を核となるアイデアに追加していきながら、全体のイメージを構築していきました。制作前により具体的なイメージを持つことができたので、制作の迷いは少なくなり、コンセプトに近い物ができました。

自分の仕事に合わせた分類ができてからは、雑誌や広告を見るときに最適なコンセプト(分類名)がつけられるようになりました。そのため年々引き出しの数が増え、仕事の品質が上がっていきました。
今は電子書籍やデータベースが発達しているので便利になりましたねえ。私たちも積極的に利用して、より品質の高い引き出しを増やしています。


今回は、ビジュアル制作や物作りに携わるプロの「アイデア作り、アイデアソース作り」を構造的に解析し、誰にでもできるように理論化してみました。
ぜひ自分の仕事にあわせて活用してみてください!

次回は、仕事をグループで行う際に必要な管理業務《ディレクション》についてご紹介しますので、ご期待ください。

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