BBC Post Production Bristol、 BBC のヒットドラマ「Casualty」でAutodesk Lustre とAutodesk Smoke を活用

BBC Post Production Bristol、 BBC のヒットドラマ「Casualty」でAutodesk Lustre とAutodesk Smoke を活用
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消費者の嗜好が秒刻みで変化する世界にも、いつも変わらぬ安心感を与えるものがあります。イギリスの公共放送 BBC1 の「Casualty」は架空の病院"Holby City Hospital" の救命救急部門を舞台にスタッフと患者の生活を描いた医療ドラマですが、 1986 年の放送開始以来、おなじみのテーマ音楽やグラフィックイメージ、つい引き込まれてしまうストーリー展開で視聴者を魅了し続けています。

現在は第 22 シリーズの放送中で、救命医療ドラマシリーズとしては世界最長記録を誇ります。当然ながら、この 21 年間は絶えず変化する視聴者の期待に応えるために、キャストやコンテンツ、ストーリー展開だけでなくビジュアル面にまで、抜本的な変更を何度か行ないました。

「Casualty」のコンサルタントディレクター、 Keith Boak 氏が最も重視しているのは、ルック(ビジュアル感)です。同氏は 2007 年初めに制作チームに加わり、セットや大道具、衣装やメイクから、照明、撮影方法、カラーグレーディングに至るまで、ビジュアルに関するあらゆる見直しを任されました。

ここで BBC Post Production Bristol のクリエイティブの参加の話が浮上しました。BBC Post Production Bristol は BBC の民営完全子会社である BBC Resources Limited 社の一部門で、エミー賞受賞の自然ドキュメンタリー「Planet Earth」やイギリスのテレビ局 E4 のドラマ「Skins」第 1 シリーズを手がけました。仕事獲得のためのアプローチ、グレーディングチームと Autodesk® Lustre® の威力を示すためのテストを経て、第 22 シリーズの中盤からカラーリストの Jonathon Prosser 氏が起用されました。彼の任務はビジュアルアイデンティティの刷新とアメリカのトップドラマに匹敵する魅力的なスタイルの構築でした。

「シリーズのルックに一貫性を持たせるのが重要な任務の1 つでした。"Casualty" のような番組の難しい点は大勢の人が関わっていることです。 50 分間の各話ごとにプロデューサー、演出家、撮影監督がいて、それぞれ独自の撮り方や映像センスを持っているのです。よってシリーズ全体に一貫したルックを持たせることが私にとって最も大きな課題でした。」と Prosser 氏は語ります。

このドラマはほぼ 1 年中放送されているため、 Prosser 氏には休む暇がありません。「しかし、クリエイティブ工程の見直しによって、グレーディングに使える時間が増えました。以前は 5 ~6 時間だったのが、最近は 1 日半ほどかけてグレーディングを行えます。これは皆がそれだけプロフェッショナルなグレーディングの重要性を認識していることを意味しています。」

しかし、Prosser 氏にとって全てが順調だったわけではありません。特に悩まされたのは典型的なイギリスの天気です。「Casualty」の撮影はスタジオのセットで行うよりもブリストル市街でのロケが多く、どんな天気でも撮影スケジュールをこなさなければなりません。また、通常は放送の 3 ヶ月前に撮影するので、放送時と撮影時の季節のずれに悩まされることもありました。「シーンを編集するときに天気のつながりを持たせるのが大変でした。晴れた日という設定のときは日が差しているように、美しい 9 月の太陽で輝く映像をクリスマス特別編では冬のシーンに仕立てなければならないのです。」

「これまではカメラでやっていた高度な照明効果をLustre で作り出すことができました。」とProsser 氏は続けます。「撮影の後でも効果を加えられるので、制作の柔軟性が大幅に向上しました。」たとえば、マスクを使用して画像内のあまり重要でない部分の光量を減らし、その画面の中で一番大事なところに焦点を当て、視聴者の視線を集めることができます。

「Casualty」のルックには病院内の慌ただしい雰囲気も必要です。「ドラマの性質上、場面転換は速くなりますし、カメラクルーは救急外来のフロア内を動き回って連続したシーンを撮影するため、ステディカムの長回しショットが多用されます。また、俳優たちの肌の色もさまざまです。そんな中で、クリエイティブディレクターが求めるスタイルのビジュアル感を実現できたのは、Lustre のトラッキングツールのおかげです。」と Prosser 氏は語ります。

Lustre のトラッキングツールでは画像の一部を切り出し、その領域内でのグレーディングが容易に行えるため、カラーリストはショット内の他の部分は維持したまま、登場人物の顔をグレーディングして肌の色を調節することができます。この処理は自動化されており、ショットのトラッキングと解析により主要な顔の特徴の情報が保持されるので、さまざまなカメラのショットで顔の大きさが変わっても、カラーリストが適用したシェープのサイズが自動的に調整されます。

「Lustre を使って微妙なビネット(輪郭のぼかし)を加えることもできました。視聴者の目を特定の人物など画面中の重要な部分に引きつけるための効果です。一部のビネットでは焦点のぼかしも行いましたが、従来はカメラでない処理でした。」と Prosser 氏は述べています。

爆発シーンからワイヤーを消去したり、死体役の俳優が誤ってまばたきしてしまった時でも目を閉じさせるなど、「Casualty」のリアルな演出にはエディティング・フィニッシングシステム Autodesk® Smoke® も活躍しています。

こうした変革のおかげで「Casualty」のビジュアルとスタイリッシュ感はさらに磨かれました。それは医療現場そのものの臨場感を伝える救命現場シーンに顕著に見られます。「"Casualty"は進化を遂げました」と話す Prosser 氏。そしてこれからの 21 年間も視聴者を魅了し続けるためには常に進化しなければなりません。

休む間もなく 2009 年秋には第 23 シリーズがスタートします。 Prosser 氏は再びプロの技を発揮して巧みなグレーディングを手がけることでしょう。

導入製品/ソリューション ・Autodesk Lustre
・Autodesk Smoke
PDF bbc_smoke_lustre_story_jp_0225.pdf
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