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カプコン Interview 「BIOHAZARD 6 映像表現を支えるリードアーティストのこだわりとアイデア」

カプコン Interview 「BIOHAZARD 6 映像表現を支えるリードアーティストのこだわりとアイデア」
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Visual Effect

続いて、ゲーム中の全般的なエフェクト制作を統括されたリード・ヴィジュアルエフェクト アーティストの黒田氏にお話を伺った。

・液体表現でのこだわりポイント

バイオ6のエフェクトでは、一般的なビルボード表現ではなく 、「モデルパーティクル」 と呼ばれるモデルデータの連番アニメーションの使用頻度が高いという。モデルパーティクルは、立体データゆえに表情や質感、絵的なバリエーションが出しやすいというメリットがある。また、場合によっては高解像度の連番テクスチャを使用するよりもデータ容量の削減が可能なケースも多いそうだ。

血しぶきのエフェクトでは、RealFlowでシミュレーションしたデータがSoftimageに読み込まれ、形状、パターン数、タイミングの修正が行われた。しかし、ゲーム用に最適化されたポリゴン数であるがゆえに、どうしても硬い印象を受けてしまう状況が発生した。この問題を解消するために、カメラの見た目からモデルのシルエット(ふち)を透明化するモデルエッジスムージングという処理をランタイム上で施す工夫が行われたという。

・空気感でのこだわりポイント

本作では空気感を重要視した絵作りが行われている。ディレクタが理想とする空気感を実現するために、事前に入念なすり合わが行われ開発が進められた。

ゲーム中で空気感を演出する際には、フォグフィルタがよく使用される。画像の例で解説すると、単純にフォグを濃くすると遠景の街頭が霞んで都市の雰囲気が犠牲になってしまう。そこで、ディフューズブレンドフォグ(フレームバッファを参照し、明るい部分にフォグフィルタをかけない調整)を使用して、遠景の光を活かす空気感の演出が行われている。

左から、フォグなし、フォグ適用、ディフューズブレンドフォグ適用

ゲームでは演出上の理由で遠くにいる敵をあえて見せたくないケースも多い。一寸先は闇という演出を兼ねてフォグは多用されるが、その際も背景が死んでしまわないように、こういった丁寧な調整でクオリティ向上が図られている。

・ポストエフェクトのこだわりポイント

ある程度ビジュアルが完成した後に、画をつめる最終工程がポストエフェクトだ。MTFrameworkの編集環境をご覧ください。

様々なフィルタを重ねることで狙った効果を表現していることがわかる。なお、フィルタを多用する時には、インゲーム用のブルームフィルタやモーションブラーをオフにするなど処理コストの折り合いをつけているという。

アナモルフィックレンズ調のレンズフレアを再現したシーン。本作では、キーカラーとしてブルーを基調としていることもよく分かる一場面だ。

バイオ6のゲームアクションは、激しく全体の動きも速い。激しい中に止まった対象が存在すると、臨場感が損なわれてしまう。そこで、エフェクトでも動きのある素材をふんだんに使用して、画面内で静止しているものが無いように注意してトータルの空気感を演出しているという。なお、エフェクトチームでも前述の頂点プッシュを利用して背景の揺れものを表現したケースもあったそうだ。

お気づきかもしれないが、カプコンのエフェクトチームとは、密度感ある絵作りを実現するための様々な作業を担当している。画面全体のフィニッシャーとして、フィルタ、ライティング、モデル修正、特殊効果、背景オブジェクト修正など自由に様々なデータにアクセスしてトータルの絵作りに関わるという。このため、エフェクトチームでは、色彩感覚、空間における色の配置、全体の色のバランスに対する的確な視野を持つような人材が理想であるという。

ゲームを楽しくするための仕様変更は開発ではつきものである。仕様変更から派生する様々なリクエストにも、素早く臨機応変な対応が出来るように常日頃から心がけて準備をしておくことが重要だという。決め打ち映像ではなく、360度どの角度から見ても魅力的なアウトプットができることを目標に今後も努力していきたいと黒田氏は締めくくってくれた。

Animation & Cinematics Frameworks

次に、リード インゲームシネマティック アーティストの宮崎氏に、バイオ6におけるアニメーションパイプラインについて伺った。

ゲーム中のアニメーションは、次の3つに分類できる。

•バトル:ユーザが操作するゲームプレイパート
•インゲームシネマティック:シチュエーションにあった専用アクションや演出
•カットシーン:リアルタイムデモムービー

インゲームシネマティックとは、バトルでもなくカットシーンでもないゲームの幅を広げるものである。特殊な状況をユーザに体験してもらう場面やシチュエーションに合った専用アクションを使用する場面、敵や仲間の動きを演出するといったパートだ。次の動画をご覧頂くと、インゲームシネマティックがどういう場面かがよく分かるであろう。

インゲームシネマティックとカットシーンで異なる部分にプログラムの処理方法があげられる。カットシーンでは、キャラクタの挙動、背景、VFXなどのゲームプレイに関係するプログラム処理はオフ状態になっており、リアルタイムにアニメーションの描画処理を行なっている状態と言える。一方、インゲームシネマティックは、これらのプログラム処理は完全にオフにせずに、場面によって一時的に挙動を乗っ取る形の処理が行われている。このため、プログラマとの折衝や複数セクションにまたがるやりとりが発生してくる。どうしても管理が複雑となり、製作工程が長期化することがネックになっていたという。

そこで、宮崎氏はバイオ6プロジェクトからは、インゲームシネマティックの専任部署を創設することでパイプラインの効率化を図った。

旧体制では3ヶ月かかっても完成しなかったゲームシーンも、新体制では1週間で全体構成が整うほどの効率化につながった。プレビズを高い精度で素早く作成出来ることと、90%のデータをアニメータのみで構築出来ることが大きな効率化につながっている。

インゲームシネマティック制作は、さらに3種類の分類化が行われ、それぞれに適した管理運用が行われた。

•ユニットコントロール - モーション(状態)の遷移を設定 (実装数:2632モーション、427シチュエーション)
•アクションメイク - 特定の協力アクション、地形に応じたアクション、カメラとの連動(実装数:1128モーション、335シチュエーション)
•インゲームデモ - 演出、ゲーム説明のためのデモ(実装数:147シーン)

インゲームデモは、ゲームの仕様変更に伴い様々な演出変更が発生する。そこで、修正コストをおさえるためカットシーンと比較すると簡易的なフィジックスや簡易的なフェイシャルが用いられている。

工数を的確に削減したことで、147シーンものインゲームデモを完成させることが出来たという。

本作では7人のプレーヤーと大量のNPCが登場する。そこで、専用のアクションを除いて、インゲームで操作して遊ぶモーションデータについては共通利用されている。(走る、歩く、はしご、銃を撃つ、ドアを開けるなど)

モーションは男性が基準で作成され、MTFrameworkのランタイム処理で女性キャラにリターゲット処理が行われている。女性キャラの手足を男性キャラの手足の位置に近づける演出調整は、Softimage上のコンストレイント・パラメータの編集によって行われた。こうして、男性・女性問わずにモーションデータを効率的に共通利用する仕組みを利用することで、大幅にデータ容量や工数を削減することに成功したという。

「エクスプレッションやコンストレイントがミックスしている複雑なリグが快適に動くのはSoftimageの魅力です。Mixerクリップの使い勝手の良さやSchematicの優れた視認性も快適なアニメーション環境の理由だと思います。」とは宮崎氏のコメント。

〈 次ページへ続く 〉Cut Scenes

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