凸版印刷株式会社 
3ds MaxによるCG技術を核に創る 住空間ビジュアル提案の新しい形

凸版印刷株式会社 3ds MaxによるCG技術を核に創る 住空間ビジュアル提案の新しい形
  • 3ds Max
  • 建築・製造・広告
柴田 裕志 氏
主任
柴田 裕志 氏
鈴木 高志 氏
凸版印刷株式会社
情報コミュニケーション事業本部
トッパンアイデアセンター
クリエイティブ本部
部長
鈴木 高志 氏

2008年1月。日本を代表する総合印刷会社・凸版印刷は、Autodesk® 3ds Max® など最先端のCG技術を中心に、同社が保有する撮影技術や画像処理技術を組合せ、住宅設備業界における商品提案を総合的に支援する「住空間ビジュアル研究室」の開設を発表した。凸版印刷は、主力の印刷事業のみならず、印刷技術を応用したエレクトロニクス製品の開発やデジタル画像処理に関する取組みで知られ、特にAutodesk 3ds Max、Autodesk® Maya® などオートデスク製品を活用した3D CGやバーチャルリアリティ技術による先進的な取り組みは、わが国のビジュアライゼーション分野をリードしている。

今回の住空間ビジュアル研究室の開設は、このビジュアライゼーション分野における最新成果の一つ。近年わが国の住宅設備業界では、視覚化された分かりやすい商品提案が重視されているが、同研究室が提供する新サービスは、このニーズに応えて3D CGを活用した効率的なビジュアル制作フローを提供して、注目を集め始めている。プロジェクトを主導する、CG企画部の鈴木高志氏と柴田裕志氏に話を伺った。

得意分野のコラボレーションで品質と生産性を高いレベルで両立

アングル的に撮影が難しいシーンも対応可能
アングル的に撮影が難しいシーンも対応可能

凸版印刷のビジネスの広がりの中でも、住宅設備業界は特に大きなボリュームを占めるフィールドである。実際、同社では、住宅設備メーカー各社がプロモーションの核としているカタログやショールーム映像なども数多く制作している。それらの制作工程において、近年大きな課題となっていたのがビジュアライゼーションに関する問題だ。商品開発競争が激化するなか、商品の世界観やコンセプトを明確に分かりやすく伝えることが強く求められている。これとともに、その商品を使った魅力的な生活シーンや住空間を的確に視覚化することが、重要となっている。

「従来、そうした住空間のビジュアライゼーションの制作は写真撮影で行っていました。つまり、デザイナーが住空間のスケッチを描き、商品を"こんな風に見せましょう"と提案。OKをもらったら、スタジオにその通り住空間を建て込んで撮影していたんです。しかし、手描きスケッチでお客様が持つ多様なイメージを残らず引きだせるか、というとどうしても不十分な部分がありました」(鈴木氏)。

 また、撮影作業自体にも問題があった。前述のとおり、住空間の撮影はスケッチを基にシーンごとに建て込んで、撮影が終わればこれをバラして新しい建て込みを作り直す、この繰り返しで進められていた。当然、その度に多額の費用と時間が発生し、煩雑な作業となっていたのである。同社が制作する住宅設備機器のカタログでは、こうした住空間イメージを10カットから多い時は100カット前後も掲載している。つまり、カタログを1冊制作するたびに、建て込み~撮影~バラシ~建て込みの作業ローテーションが何10回も繰り返されることになるのである。

「撮影作業は長い時は2週間近くに及び、立ち会いのお客様ともどもスタジオに缶詰めになるのが普通でした。そのコストや時間のロスの大きさは言うまでもなく、お客様にとっても大変な負担だったわけで。そこに私たちはCG活用のニーズを発見したのです」(柴田氏)。すなわち、掲載する商品の世界観にフィットした住空間イメージを顧客から的確に引きだし、それをズレなく効率的に具現化できるような――そんな新しい住空間ビジュアル提案のシステ厶が求められていたのである。鈴木氏らはそれを、3ds Maxを主体とした高度なCG技術を活かして実現しようと考えたのだ。

「住空間CGライブラリー」

CGライブラリーにある住空間に家具をレイアウトしてシーンを構築していく
CGライブラリーにある住空間に家具をレイアウトしてシーンを構築していく

「出発点は、住宅や住宅設備の最新トレンドを踏まえた3D住空間を、3ds Maxで複数パターン作っておこう、というものでした。必要に応じそこから最適な空間/シーンを選び、お客様の新商品をレイアウトして提案していくわけです」(鈴木氏)。

この3D住空間を構成する建築空間や内・外装材、家具・小物類、植栽・風景、人物などのCG素材はデータベース化され、「住空間CGライブラリー」として構築していく。そこから最適なパーツを選んで組み合せ、各商品にフィットする住空間を生成しようというのだ。その基盤にあるのはもちろん、同社が培ってきたCG技術や、カタログ制作を通じて得られたお客様のニーズ・ノウハウの蓄積である。しかし、従来実物を撮影して使っていただけに、CGで作る3D住空間も、スタジオ撮影した写真と遜色ないハイレベルなフォトリアルが要求された。

「当社では1990年代半ばから3D CGの活用を進め、その流れの中で市場にあるほぼ全てのCGツールを検証してきました。その中でお客様から提供される商品のCADデータとの相性や、表現力・生産性などを比較して、最も使いやすく高機能な製品を選びました」(鈴木氏)。

シーンにお客様の商品をはめ込んでライフスタイルを提案
シーンにお客様の商品をはめ込んでライフスタイルを提案

 そして、そんな鈴木氏たちが選んだのが3ds Maxだった。今回のCG制作の主題となる住空間のような空間表現では、3ds MaxとV-Rayの組み合せが圧倒的に優れている。――制作スタッフ全員がそう口をそろえたのだ。

「住宅の室内のような閉ざされた空間のビジュアライゼーションでは、繊細な光の回り方のアレンジなどが重要なポイントになります。時間と手間がかかる絵づくりですが、3ds MaxとV-Rayの組み合せなら、簡単に思い通りの絵が作れるんです。また、いざという時、ネットワークレンダリングで台数を多く回せるのも大きなメリットでした」(柴田氏)。

もちろんCG以外の技術やノウハウも必要となる。たとえばトレンドを捉えて提案に反映させるためのマーケティングやトレンド分析も重要だった。

「実はトッパングループでは化粧材など建築素材も造っており、住設分野のマーケティング情報やトレンド分析情報も豊富にあります。つまりこのプロジェクトは、トッパングループが持っているさまざまなノウハウを結集したものなんです」(鈴木氏)。

時代の風がCGに対する期待を後押ししている

独自のトレンド分析によるライフスタイルコンセプトの1つ「Happy Bloom」
独自のトレンド分析によるライフスタイルコンセプトの1つ「Happy Bloom」
レンダリングには空間表現に優れたV-Rayを使用
レンダリングには空間表現に優れたV-Rayを使用

開設初年度の2008年、研究室は詳細なマーケティングリサーチとトレンド分析により、9つのライフスタイルコンセプトに住空間トレンドを集約。これに基づき住空間CGライブラリーの整備を進めていった。実運用ではこの9つを基に商品に合せ最適なスタイルを選び、住空間を作りあげていく。ベースとなる住空間の選択からインテリア配置、内外装材の選択、そして3ds Maxによる空間演出・ライティングと、きめ細かくニーズに応えたディティールの作り込みを効率的に進められるシステ厶が完成。2週間も缶詰めになった撮影立会いは不要となり、お客様の立会いはCGのアングル確認のみの1~2日で済むようになったのである。

 ――そして開設から1年。商品だけ撮影しCGと組み合わせたり、全てフルCGで作るなど、CGも撮影も自社内で完結できる強みを活かした柔軟な対応が評価され、同研究室の活動は大きな注目を集め始めている。

「たとえば大空間など、撮影では難しいロケーションやアングルにも容易に対応できる点もとても好評です。フロー改善や高付加価値など他社との差別化を求める時代の風が、3D CGの活用に対する期待を後押ししている実感があります。今後はシステ厶の活用をさらに拡大し、業界全体の効率化に寄与していきたい。そのためにも、3ds Maxにはいっそうの進化を期待したいですね」(鈴木氏)。

凸版印刷株式会社
本社所在地:東京都千代田区神田和泉町1番地
創業:1900年
代表者:代表取締役社長 足立直樹
資本金:1,049億8,643万円 (2008年3月末現在)
連結売上高:1兆6,703億5,100万円 (2008年3月末現在)
従業員数:11,181名(2008年3月末現在)

導入製品/ソリューション Autodesk 3ds Max
導入目的 ・住空間ビジュアル研究室のメインツールとして
・住宅トレンドを踏まえた高品質な住空間シーンの制作
・CG制作作業全般の効率化、生産性向上
導入効果 ・V-Rayとの組み合せによる空間表現の品質向上
・複雑かつ繊細なライティング作業の効率化
・ネットワークレンダリングによる生産性向上
今後の展開 ・住空間CGライブラリーの質量双方の更なる充実
・住空間ビジュアル研究室のフィールド拡大
・リアルタイムツールによる更なる作業の効率化
PDF 凸版印刷株式会社.pdf (pdf - 1879Kb)
製品購入に関するお問い合わせ
オートデスク メディア&エンターテインメント 製品のご購入に関してご連絡を希望される場合は、こちらからお問い合わせください。