前田建設工業株式会社 
3ds Max 2008+mantal rayで生み出すワンランク上の建築CGアニメーション

前田建設工業株式会社 3ds Max 2008+mantal rayで生み出すワンランク上の建築CGアニメーション
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  • 建築・製造・広告
由井 三平 氏
前田建設工業株式会社
建設本部
建設エンジニアリング・設計部
建築設計グループ
副部長
由井 三平 氏

前田建設工業は、わが国の建設業界でも、特にチャレンジ精神あふれる社風で知られる、大手ゼネコンである。各種の先端的な建築/土木技術への挑戦はもちろん、3 次元設計への取り組みにも積極的で、3 次元 CG を核にしたデザインビジュアライゼーションの可能性にも早くから着目。その積極的な導入/活用を進めてきた。具体的には、1987 年頃から各種の CG 技術を業務に導入し、広く設計業務の支援全般に活用してきた。現在では、建築パースやアニメーションなどによる各種のプレゼンテーション用途への利用はもちろん、新工法や施工プロセスの検証、あるいは設計初期段階におけるボリューム検討や色彩設計に至るまで、その活用フィールドは大きく広がっている。そんな同社が CG 制作におけるメインツールとして統一的に活用しているのが、「Autodesk® 3ds Max® 2008」(以下 3ds Max )なのである。

同社建築エンジニアリング・設計部の副部長を務める由井三平氏に、3ds Max の導入経緯と活用法について話を聞いた。

試行錯誤の果てに行き着いた3ds Max環境

※以降、掲載の物件画像はすべて「PLAZA VERT」プロバスト提供

「実は私たちが 3ds Max をメインツールに採用したのは意外と最近のことで、2006 年なんです。それ以前は、主に別の CG 製品を使っていたのですが、ある時期、その CG ソフトが一新されて、私たちにとって非常に使い勝手の悪いものになってしまったんですね。そこで、ちょうどクオリティアップを図りたいと考えていたこともあり、ツールを一新すべく別の 3 次元 CG を検討し始めたのです」。

言うまでもなく、プロユースの 3 次元 CG ソフトも、近年は多種多様な製品が販売されるようになっている。当然、由井氏もさまざまな CG ソフトを試用し、比較検討しながら選び抜いていった。

「その時期はかなり試行錯誤しましたが、最終的に私たちが行き着いたのは、やはり 3ds Max でした。モデリングやレンダリングなどの基本的な性能の高さはもちろんですが、プラグインが豊富で多様な表現/効果を容易に試せること、そしてマニュアル類も数多く出ているのでデザイナーが学びやすい点が非常に魅力的だったのです」

同社の CG 制作チームは総勢 10 名もの CG デザイナーを擁していたが、3ds Max への移行は、由井氏の期待以上にスムーズに進んでいった。当初は、モデリングだけ別のモデリングソフトを使うなどの試行も行われたが、最終的にはこれもすべて 3ds Max で作ったほうがモデリングしやすいという結論が出たのだという。そして、約 1 年後には、すべてのクリエイティブワークを 3ds Max で完結させる制作環境が確立されたのである。

「レンダリングも同様で、3ds Max 搭載の標準品を使っています。V-Ray や Maxwell Render などをテスト的に試用していますが、実装されているmental ray も素晴らしい絵が出ています。以前は重いとか設定が難しいといわれましたが、最近のバージョンアップやパソコンの性能向上により、ずいぶん使いやすくなっていますよ。実際、最近私たちはこの mental ray によるアニメーションに挑戦したんです」

mental ray でよりハイレベルなアニメーションを

3ds Max では、一貫したレンダリング用インターフェイスで緊密に統合された、複数のレンダラーを使うことができる。高速処理できるスキャンラインレンダリングと、より高品質なレンダリングが可能な mental ray を使い分けることが可能なのである。

「当社の場合、通常のパースやアニメーション制作においては、スキャンラインレンダリングで仕上げるケースがほとんどです。mental ray によるレンダリングは、高品質だが時間がかかるというイメージが強く、時間的制約の強い通常の制作業務では少々使いにくかったというのが、正直なところでした」。

だが、由井氏が率いる CG チームでは、コンペティション、そのほかのプレゼンテーション用途や社内向けの各種 CG 制作業務以外にも、グループ外の取引先などから CG 制作を請け負うことがある。多くの場合、それはプロモーション目的で使われるビジュアライゼーション制作であり、仕上がりにも通常よりワンランク上のクオリティが要求されるのである。

現況空撮映像との合成シーン。空撮した映像からカメラパスを造り合成
現況空撮映像との合成シーン。空撮した映像からカメラパスを造り合成

「今回のアニメーション制作の仕事は、長年お付き合いのあるマンションデベロッパーからいただいたもので、千葉に建つ新しい大型マンションのプロモーション用のものでした。モデルルーム内に設けたシアタールームなどで放映する 4 分 30 秒ほどのムービーですが、これまでになく高い品質が求められたのです。そこで、このアニメーション制作に mental ray を使ってみよう、と考えたのです」。

由井氏のこの決断の背景には、同時期に行われたハード環境のリプレイスがある。この頃、CG 制作チームのコンピュータの更新が進み、クアッドコア/デュアル CPU を搭載した最新のワークステーションが導入されたのである。つまり、由井氏はエイトコア CPU のパワーを、これも 3ds Max の大きなメリットであるネットワークレンダリング機能を生かして結集し、mental ray によるレンダリングを快適に走らせようと計画したのだ。

mental ray でよりハイレベルなアニメーションを

ガラスの色の表現はクライアントの要望が高く、繰り返し変更された。そのためガラス部分だけのマスクを作って対応した

3ds Max では、一貫したレンダリング用インターフェイスで緊密に統合された、複数のレンダラーを使うことができる。高速処理できるスキャンラインレンダリングと、より高品質なレンダリングが可能な mental ray を使い分けることが可能なのである。

「当社の場合、通常のパースやアニメーション制作においては、スキャンラインレンダリングで仕上げるケースがほとんどです。mental ray によるレンダリングは、高品質だが時間がかかるというイメージが強く、時間的制約の強い通常の制作業務では少々使いにくかったというのが、正直なところでした」。

だが、由井氏が率いる CG チームでは、コンペティション、そのほかのプレゼンテーション用途や社内向けの各種 CG 制作業務以外にも、グループ外の取引先などから CG 制作を請け負うことがある。多くの場合、それはプロモーション目的で使われるビジュアライゼーション制作であり、仕上がりにも通常よりワンランク上のクオリティが要求されるのである。

桜の散る効果はパーティクルを利用。1度には計算しきれず、高木/低木/木の陰など10レイヤほどに分割して計算した。

「今回のアニメーション制作の仕事は、長年お付き合いのあるマンションデベロッパーからいただいたもので、千葉に建つ新しい大型マンションのプロモーション用のものでした。モデルルーム内に設けたシアタールームなどで放映する 4 分 30 秒ほどのムービーですが、これまでになく高い品質が求められたのです。そこで、このアニメーション制作に mental ray を使ってみよう、と考えたのです」。

由井氏のこの決断の背景には、同時期に行われたハード環境のリプレイスがある。この頃、CG 制作チームのコンピュータの更新が進み、クアッドコア/デュアル CPU を搭載した最新のワークステーションが導入されたのである。つまり、由井氏はエイトコア CPU のパワーを、これも 3ds Max の大きなメリットであるネットワークレンダリング機能を生かして結集し、mental ray によるレンダリングを快適に走らせようと計画したのだ。

3ds Max を核に置いた強力な制作環境

「狙いは大成功でした。さすがにエイトコアCPUのワークステーションは強力でしたし、マルチコア対応の 3ds Max 自身がそのパフォーマンスをフルに引き出してくれたのです。この組み合わせは想像以上に強力ですよ。」

アニメーションの製作期間は、トータルでおよそ2ヶ月だったが、製作途中でも毎週のようにクライアントに対するプレゼンテーションが求められ、その度に仕上がったシーンの建物の色味/質感などの細かい表現はもちろん、昼/夜の環境光を変えたバリエーションや植栽の季節による変化、繊細な動きの表現まで、高いクオリティと多彩な表現が要求されたのである。3ds Max と mental ray、そしてエイトコアCPUマシンという、ベストマッチかつ強力な制作環境でなければ、このクオリティとスピードを実現するのは容易ではなかったろう。

「最初は不安もあったようですが、最終的な仕上がりにはお客様にも満足いただけたようです。次はぜひHDTV品質のアニメや、竣工写真レベルの映像を mental ray の機能を最大限利用して、実現したいですね。例えば設計図からストレートにCG化するだけで、作り手の技量にかかわりなく一定以上の品質のフォトリアルCGが出来上がる環境が理想。3ds Max と mental ray というツールの力でスタッフの基本的なクリエイティブを高いレベルで標準化し、その上で個々人のスキルを高めていきたいですね。」

前田建設工業株式会社
創業 :1919 年
資本金 :234 億 5,496 万 8,254 円(2007年3月末)
完工高 :4,252 億円 (第 62 期)
代表取締役社長 :前田靖治
従業員数 :3,440 名(2007年3月末)
事業概要 :土木建築工事その他建設工事全般の請負、企画、測量、設計、施工、
監理およびコンサルティング他

導入製品/ソリューション Autodesk 3ds Max
導入目的 ・より高品質な建築 CG 制作のメインツールとして
・静止画からアニメーションまで、幅広い建築ビジュアライゼーションへの展開
導入効果 ・アニメーションにおけるレンダリング品質、そのほかの飛躍的向上
・静止画からアニメーションまで高品質で対応可能な制作体制確立
・CG の活用フィールドを、社内デザイン検討から競合用プレゼン、外部企業発注品まで拡大
・社外企業からの受注案件の拡大
今後の展開 ・さらに幅広く高品質な建築ビジュアライゼーションへの展開
・3ds Max の操作スキルの高いレベルでの平準化
PDF 前田建設工業株式会社.pdf (pdf - 1550Kb)
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